「とりあえず折句を」

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、縦読み
クジラうえリクエストした水族館マダイが歌うスローバラード、クリスマス

鬼会議(折句の扉)

2018-03-14 01:23:53 | 折句の扉
遅いねと
14時をさしては
他の者が
いちいち述べて
時間を止める

折句「鬼退治」短歌


「出会ったり結ばれたり、祝ったり離れたり、色々と大変ですよ」
「そりゃ人の話だろう」
「関係のないことだぜ」
「準備に追われ、人を招いて人をさばいて、けんかしたり仲直りしたり。結局一つ屋根の下に暮らすものなんだからと言って、和解の道にたどり着く。春が来たと言って喜んで、クローゼットを開いたと思ったら、また閉じて、開いて閉じて開いて閉じて、また季節は巡ると歌ったり……」
「それは人の話だろう」
「そうや」
「問題は鬼としてどう生きるかだろう」
「そうだ、そうだ」
「そうや。それを言うとんねん」
「そうか」
「湯を沸かし、菓子を持ち寄って、茶を入れて、みんなでテーブルを囲んで、これがいいとか、これはよくないとか、評価をつけて、浮き上がり、楽しんで、沈み込み、励まし合って。みんな仲間が大事だと歌って。自分だけの一番を見つけて。高いところに上ったら祝って、傷ついては、お大事に」
「それは人の話でしょ」
若い鬼は退屈そうにつぶやいた。
猫は鬼の間を縫ってパトロールをしていた。みんな小さな存在には目が留まらない。


お前さん
人間賛歌
絶やさない
いいえ上句が
下を呼ぶから

折句「鬼退治」短歌


「みんな人の話じゃないか!」
「鬼としてはどうするか」
「そうだ、そうだ」
「そうや。それを言うてんねん」
「そうだろうか」
「ずっとそれを言うとんやないか」
「それが指すものを100年以内に述べよ」
「勝手に課題を出すな」
「自由じゃないか」
「自由を履き違えるな」
「履き違えているのはお前らの方だ!」
「誰に言ってるんだ?」
「選別して、手にとって、カートに入れて、精算して、持ち帰って、洗って、切って、炒めて、味付けて、盛って、食べたら、また洗って、洗って洗って洗って、まだ洗うのか、いつまで洗うのか、いつまでも洗うのか、洗い続けなければならないのか」
「そんなのは人の話だろうが」
「なりたいのか?」
「対比じゃないの」
「俺たちは他でもない鬼だろうが!」
「そうだ、そうだ」
「ガッテン、ガッテン」
「チャンネルを変えろ!」
「いや視点を変えろ」
「鬼としてどう生きるかじゃないのか」
「それを言うてんねん」
「それを言えってば」
「それを言うてんねん」
「繰り返しになりますが」
「お詣りをして小銭を投げて、ハンカチを拾って、星をみつけて、手をあわせて、けんかして、仲直りして、ボールを蹴って、蹴飛ばして、ネットを揺らして、飛び上がって、叫んで、裸になって、怒られて、また真ん中に戻って。また戻るのか、また始めるのか、何度でも始めるのか、何度も何度も、始めなければならないのか。男だとか女だとか、丸首とかスキニーだとか、髪型とか煙を好むとか好まないとか、若いとか若くないとか、変わったな、あんた変わったよとか、変わるのか、今日も明日も延々と変わるのか、変わり続けるのか、変わり続けることばかりなのか……」
「人の話じゃないか」
「もううんざりだな」
「なりたいんじゃないのか。染まってんのか」
「鬼の話に戻れ」
「戻る場所なんてない!」
「知らないだけだろう」
「知った風なことを言うな」
「自由じゃないか」
「それしか知らないのか」
「それが指すものを100年以内に述べよ」
「そんなに待てるか!」
「待ってもいいと言う者はいるかね?」
「人じゃない。鬼としてどう生きるかの方が大事だ」
「それだけだよ」
「そうだよね」
「そうや。それをずっと言うてんねん」
「だったら間違ってない」
「そのまま行け」
「現状維持で」
「ここには何もない!」
「俺たちは何も求めていない」
「求めぬ者は去れ!」
「求める者こそそうすればいい」
「よくわからないぞ」
「わかるように聞かないからだ」
「俺がわるいのか?」
「いや、そうは言ってないでしょ」
「じゃあ何が言いたいんだ」
「鬼としての生き方の話でしょ」
「そうだよね」
「あけてびっくり、くれてもハロー、種まき水やり、声かけて、がんばって、しっかりね、すくすくね、強くなれ、美しくなれ、美味しくなれ、なれ、なれ、なれ、大丈夫、きみはきっと大丈夫。挨拶が大事、挨拶だけしっかりね。咲いたら咲いたとよって、よって、よって、みんなどこまでもよってくる、よっていく。散ったら散ったよ、さようなら、また、ここでいつかきっと会いましょう。ええ、それじゃあ。解散。さようなら、お元気で、また会いましょう。ええ、本当に。それじゃあ本当にこれで。はい、気をつけて。道に気をつけて。ええ、あなたも。虫に気をつけて。じゃあ、本当にこれで。じゃあ、さようなら。ところで、あなた最近少し……」
「何の話だ」
「ちゃんと向き合ってよ」
「みなさん静粛に」

「みんな人の話でしょ」
若い鬼は退屈そうに足下をみた。
「扉を開けなよ」
猫は身体を伸ばしてそっと耳打ちした。
「この場所で本を開かずに自分を保つ方法を知りたいんでしょ」


おそろいの
煮物を捨てて
旅色を
一途に追った
12チャンネル

折句「鬼退治」短歌

ジャンル:
小説
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