眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

歩切れに泣いた人

2024-05-18 16:57:00 | この後も名人戦
「歩切れに泣いているのでしょうか。挑戦者の視線が下の方に落ちていますね。そう言えば先生、駒箱の中には確か歩が数枚余っていたと思うのですが、これを使えば問題は解決するのではないでしょうか?」

「何をおっしゃいます。そんなことできるわけないじゃないですか、田辺さん」

「そうだったでしょうか」

「それはあからさまな反則行為です。即失格の上に次戦より3試合出場停止になってしまいます」

「では先生、駒箱の中にあったあの歩は何だったのでしょう?」

「余り歩といって駒箱の中で休んでる駒ですね」

「余っているのに使えないというのは何か不思議な気もしますが」

「歩というのは将棋の駒の中でも一番酷使されて疲れが溜まるわけです。ですから順番に箱の中で休んでもらって、言わば充電されているわけですね」

「ということは出てくるのは次の対局以降ということですね」

「そういうことです。足りないからといっていきなり出てくるようなことはないですね。棋士はすぐわかりますし、勿論記録係も発見します。カメラにも全部映っているわけですから、そんなおかしなことは元からできっこないんです」

「ほーっ、大変勉強になりました。やはり、将棋は歩からなのですね」

「そういうことです」

「はい。この後も、名人戦生中継をお楽しみください」








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