眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

もう歌詞は覚えてしまった

2019-01-08 03:01:08 | 気ままなキーボード
「わー美味しそうね」

ささやかな光がこぼれて
ショーケースの中を照らしている
博多とんこつラーメン
旭川しょうゆラーメン
どさんこ味噌ラーメン

身に余る光をあびて
五目チャーハンの五目が輝く
「みんな美味しそうね」
皿からあふれかけた皿うどん
チャンポンの上の具だくさん
あんかけチャーハンの上に張りついたあん

最下層にひっそりと
猫の貯金箱は佇んでいる
「みんな僕のことは呼ばないの」
隣の無口な赤い獅子と並べられて
ああなんだか奴は不気味
もうそんなに照らさなくていいのに

すぐ上の段には易々と光を受けた餃子が
自慢の焦げ目を輝かせている

はい。旭川しょうゆラーメン
それに五目チャーハン
あとあんかけチャーハン
と皿うどん
はい。追加で餃子ですね。
ありがとうございます!

みんなが呼ばれるのを
猫の貯金箱はただ見上げるだけ

「ああ、なんかたまんないね」


昼休み時間の終わったフードコート
さっきまでの賑わいはどこへ消えたの
束の間の休息を終えてみんな戻るところへ
戻っていったのだろうか
残ったのは歌い終えることを知らない野鳥たちと
ここにいるしかない僕だけ

みんながいなくなってから
歌声は一層自由で伸び伸びとして聞こえる
こうしている時間に
もうすっかり歌詞は覚えてしまった


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