眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

記憶の1行ノート

2024-08-25 16:15:00 | コーヒー・タイム
「ごゆっくりどうぞ」

 ゆっくりするとは、寝かせておくことだ。触れ続けてはならない。ファスト・フードのようにがっついてはならないのだ。


 道を変えてみると随分と早く着いて驚いた。そちらの方が近い道(近道)だったのだ。当たり前のようにいつも歩いている道が、実は回り道だった。本当は三角形なのに四角形と思い込んでいたので、ずっと気づかなかったのだ。ぬーっと行ってひゅーっと行けばいいところを、かくかくと行っていたのだ。知らない間、随分と時間を損してしまった。しかし、たくさん歩けたと解釈すると得をしたとも言える。


 おはようも返ってこない。そんなことくらいで億劫になる。無力感に包まれて、情けない気持ちになる。合わないのでは? ここではなないのでは? 場違いなのでは? だんだん身動きが取れなくなる。
 予感だけで書き出してみたノートは、1行だけで止まっている。そんなノートが無数にある。何かあったはずなのは、錯覚だろうか。あなたにもそんなノートはあるだろうか。


(誰かほめてくれた人がいたな)
 過去の記憶を引っ張り出すのだ。何でもいい。
「ミスタッチが少なくて助かってます」
「単語の使い方が上手いですね」
「いつも鮮やかな寄せですね」
「ずっと低かったのに普通よりも背が高くなった」
 そうだ。おばあちゃんが、自分基準で僕の背を高く解釈してほめてくれたのだった。ありがとう、おばあちゃん。僕はまだ頑張れるよ。


 過去の記憶からいいとこだけ引っ張り出して、自分を元気づける。1行くらいの言葉が、侮れないものだった。
(覚えているのは1行でもいいのだ)


 あなたが書き出したそれが大いなる1行かもしれない。







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