おりこうにしていると予定より早く世間に出られることになった。久しぶりに歩く街はまるで未来社会のように感じられる。世の中の動きにすっかり乗り遅れてしまったようである。おじさんがサッカーの試合につれていってくれた。今は2021年だった。
チャカチャンチャンチャン♪
「えっ? なんでオリンピックなの? 奇数年なのに」
「黙ってみんかい」
「なんでなんでちゃんと説明してよ」
「何もわかっとらんようだの」
チャカチャンチャンチャン♪
「どういうこと?」
「宇宙戦争じゃよ」
「そんな……。誰も教えてくれなかった」
「ふん」
「それで勝ったの? だから今があるんだよね」
「何もわかっとらんの」
チャカチャンチャンチャン♪
「あれは?」
スタジアム上空に巨大な円盤が居座っているのが見えた。
「奴らの母船じゃ」
「えーっ?」
「今の人類は奴らの監視下に入っとる」
今ここにある自由が不気味に感じてきた。
「さあ、選手入場じゃ」
「あれ? あのユニフォームは……」
「初めてか。まあ驚くのも無理もない」
「まるで裸みたいだ!」