カウンターの上で一息ついていると誰かが私を見つけた。すぐに出された命令に少し慌てながら、一番下の女の子は新聞紙を丸めて即席の凶器を作った。まさかそれで上手くいくとは、最初から考えていなかったような顔をして。けれども、私は既に機敏な動作ができる状態ではなかった。その一撃は私の息の根を止めた。光沢のあるカウンターの上に醜く潰れた私を、重ねたティッシュでさっとすくった彼女は、そのままゴミ箱の中に落とし入れた。
「アホ!」
紙くずたちに交じって、私は自然と落ちていった。
「丸めてから捨てろ! そのまま捨てるな!」
女の子は、その朝ずっと怒られ続けているのだった。私の出現が、またその原因を生み出してしまったようだ。
「アホ!」
私が最後に聞いたのはおじいさんの強い言葉だ。あるいは、私は聞いてはいなかったのかもしれない。私はずっと虫であったし、その時は既に虫でもなくなっていたのだから。
「アホ!」
紙くずたちに交じって、私は自然と落ちていった。
「丸めてから捨てろ! そのまま捨てるな!」
女の子は、その朝ずっと怒られ続けているのだった。私の出現が、またその原因を生み出してしまったようだ。
「アホ!」
私が最後に聞いたのはおじいさんの強い言葉だ。あるいは、私は聞いてはいなかったのかもしれない。私はずっと虫であったし、その時は既に虫でもなくなっていたのだから。