福島先生は、
「盲ろうの世界は宇宙空間に一人だけで漂っているような状態だと言
いました。それは単に見えない聞こえない状況を説明しているだけで
なく、自分の存在さえも見失い、認識できなくなるような状況で生き
ていることも意味しています。周囲の世界が徐々に遠のいていき、自
分がこの世界から消えてしまうように感じられるのです。
その真空に浮かんだ私をつなぎ止め、確かに存在していると実感させ
てくれるのが、他者の存在でであり、他者とのコミニュケーションで
す。つまり、他者に対して照射され、そこから反射して戻ってくる「
コミュニケーションという光」を受け止めることによって初めて、自
分の存在を実感することができる。他者とのかかわりが自分の存在を
確かめる唯一の方法だということです。」
福島智「ぼくの命は言葉とともにある」致知出版より
三鷹天命反転住宅をご存知ですか。
荒川修作&ギンズの三鷹天命反転住宅は、ヘレンケラーと時代を生きた
アーティストで、ヘレンケラーの盲ろうの世界を体感するために、デザ
インされたものですが、私はその建築物に2年間住んでいたとこを、福
島先生の本を読みながら思い出しています。
天命反転住宅は、健常者にとっては非常に危険が一杯の建物です。
足が不自由とか目が見えない人は逆に安全なところというこということ
です。凸凹の床、すり鉢のようなキッチン、現に私自身も体験ワークの
時に球体の部屋ですってんころりんしました。
天命反転住宅の使用法に目隠しして、気配を感じながら入るとか、その
部屋は外界の音が遮断され、宇宙空間に一人ほおりだされるような、天井
が墜ちてきて、床が押し上げられるような、回転木馬にのっているような
感じがして来たりで、重力の場がどこにあるのか四つん這いになり探しだ
す始末です。
一年くらい経って自分の手指の爪先から白いものが出て行くのが感じられ
ました。
続く