中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

うちの業界は特殊だから・・・

2013年09月10日 | コンサルティング

NIHシンドローム(Not Invented Here syndrome)という言葉があります。他の国や他の業界で作られたことを理由に、その商品の採用を拒否することを「病気」にたとえています。Not Invented Here、つまり「ここで発明されたものではない」から、ここでは使えないというわけです。

私たちが企業に研修の提案をするときに、このNIHシンドロームに遭遇することがあります。

ある中堅電機メーカに研修プログラムを提案したときのことです。

その会社の教育担当課長にひと通りプログラムの説明したところ、大変前向きな反応がありました。

「よくできた研修プログラムですね。」と担当課長。

「はい。いくつかの会社で実施して大変好評でした」と私。

「ほう、どこの会社ですか?」

「X社とY社です。」

「え?それは建設業と食品メーカですよね。電機メーカ向けのプログラムじゃないんですか?」

「電機業界では実績がありませんが、エンジニアが対象ですので御社にも最適だと思いますが。」

「うーん・・・他の業界は一緒かもしれないけど、電機業界って特殊なんですよ、本当に。」

実は全ての会社がこういう反応を示すわけではありません。私たちの説明を聞いて「なるほど」と興味を示す担当者もいます。しかし残念ながら「うちの業界は特殊だから・・・」という反応の方が多いようです。中には他業界の話が出たとたん、それ以降の話に一切耳を貸さない人もいます。

うちの業界は特殊、我が社は特殊という発言の裏には「他の連中と一緒にされたくない」というプライドが見え隠れします。だからと言って耳をふさいでしまうと、貴重な情報やアイデアを逃してしまうことになります。それによる損失は決して小さくはありません。

あくまで私の感覚ですが、NIHシンドロームにかかっている割合は規模に関係なく、業績はやや悪いか下降気味の企業が多いように思います。

業界や業種に関わらず、良さそうなものは積極的に情報を集め、自社に適用できないかを考える教育担当者は間違いなく優秀です。知識量もさることながら、常に考える習慣が身についているため、結構鋭い指摘や厳しい要求をしてきます。

私たちはそうした指摘や要求を歓迎します。研修を少しでも良いものにしようと思うなら、それは自然なことだからです。

(人材育成社)

 


プレゼンテーションは贈り物

2013年09月09日 | コンサルティング

今夜のニュース番組で、オリンピックの東京招致団のプレゼンテーションが大変良かったという声がIOC委員の方々から聞かれました。たしかに、全体がひとつのストーリーとなって、しかも各プレゼンターが熱の伝わるプレゼンをされていました。

プレゼンといえばアメリカや欧州の国々の得意技という印象があります。なかでもアメリカは「国技」と言えるほど上手な人がたくさんいます。オバマ大統領や故スティーブ・ジョブズ、TEDに登壇してくるアメリカ人のプレゼンの巧さは、日本人が到底及ぶところではありません。

それでも東京招致団のプレゼンがIOC委員の心を掴んだのは、「一所懸命さ」が前面に出ていたからだと思います。

もちろん日本のプレゼンの、しっかりしたジェスチャやはっきりとした口調、熱意の伝わる態度は素晴らしいものがありましたが、プレゼンの「技巧面」から見ればやはり欧米のプレゼン・スターたちには及ばないことは明らかです。

見ての通り日本のチームにスティーブ・ジョブズはいませんでしたが、練習量とチームプレーで結果を出しました。

IOC委員は、あまり表現力が豊かではない日本人の熱弁に触れ、「(東京招致団は)きっとものすごく練習をしたんだろうなあ!」と思ったに違いありません。

「プレゼンテーション」は企業研修の中でも人気が高いコンテンツのひとつです。プレゼン講師の中にはアメリカのMBAや外資系企業でプレゼンの経験を積んだ方が多くいます。ビジネスにおいては、ロジカルでスマートなプレゼンはたしかに切れ味の良い武器です。

ただ、今回の東京招致団の努力を見て、プレゼンテーションとは武器ではなく、心を込めた言葉の贈り物(プレゼント)なのだと実感しました。

日本流のプレゼンテーションを学ぶ研修もこれからは大いに「あり」ですね!

(人材育成社)


東京オリンピック2020:そのときの自分を考える

2013年09月08日 | コンサルティング

2020年のオリンピックの開催地が東京に決まりました。派手な招致活動ではありませんでしたが、地に足の着いた地道な努力が実を結んだように思います。これから7年の間に解決すべき課題はいろいろありますが、明確な目標ができたことで前向きに取り組んでいくことができるでしょう。

さて、自分の歳に7を足すと2020年にはXX歳。ずいぶんと先のことのように思えます。逆に7を引いてみると2006年はついこの間のことのように思い出されます。

誰でも自分過去を考えると「あのときこうしておけばよかった」と思うことが少しは(いや、たくさん)あるはずです。しかし、時間は未来に向かって一方向にしか流れません。

「学ぶ」ことは、明日できることをより良くするため、今日の一部を使って「投資」することです。研修ではいつも言うのですが、会社の中には学ぶ機会がたくさんあるはずです。

上司や先輩だけではなく、他の部署の口うるさい課長、細かいことばかり言う取引先の担当者・・・心の中で「嫌なやつだ」と思って忘れてしまえばそれまでです。しかし「なるほど、そういう考えもあるのか」と思い留めておけばそれで十分「学び」になっています。

サラ・コールドウェル(Sarah Caldwell、1924年-2006年)は、アメリカの音楽家でオペラの指揮者、音楽監督として有名な人です。次の言葉は彼女によるものです。

”Learn everything you can, anytime you can, from anyone you can, there will always come a time when you will be grateful you did.”

”どんなことでも、いつでも、誰からでも出来る限り学びなさい。そのことに感謝する時がきっと来ます。”(訳:人材育成社)

サラ・コールドウェル没後7年目の今年、7年先の東京オリンピックのときに自分がどれだけ学べているのだろうと考えてみました。はたして「2013年の自分」に感謝できるだろうかと思うと、不安でもあり楽しみでもあります。

(人材育成社)

 


時代映し出す社員研修(朝日新聞より)

2013年09月07日 | コンサルティング

今日の朝日新聞(別紙be)に社員研修の記事が載っていました。それによると、最近は「お笑い研修プログラム」がうけていることのことでした。なかでも「ツッコミュニケーション」研修が一番人気だそうです。

たとえば、上司が以前話したことを忘れて同じ手柄話を始めたとき、「前に聞きました」とはっきり言うと角が立つので、「すごいですね~。でも、この話、7回目っ!」とツッコミで切り返すのだそうです。こうした技を身につけておけば、コミュニケーション不足に陥らないというわけです。

さて、ここで皆さんにお聞きしたいのですが、弊社もこうした「お笑い研修」を行うべきでしょうか。

おそらく、私(平野)のことを知る人は、「あなたが講師ならやるべきでしょ!」と言うことは想像に難くありません。実際、私は普通(?)の研修でも笑いを取ることがあるので、そうした研修を企画するのは難しくありません。

しかし、私としては実施したい気持ちはやまやまではありますが、やはりやるべきではないだろうというのが結論です。

コミュニケーションにおいて、ユーモアは大切な役割を果たします。ただし、私たちが研修でよく行う「ほめる、しかる」が人間関係の潤滑油なら、ユーモア(笑い)はスパイスだと思います。

スパイスはあくまでもコミュニーションの中味を引き立てる脇役です。「お笑い研修」はスパイだけを使う料理教室のようなものではないでしょうか。

たとえば、この研修を受けたあなたの上司が部下とのコミュニケーションを活性化しようとしてギャグを連発するようになったらどうでしょうか・・・。おそらく、ほとんどの場合は頭痛のタネ(それも強力な)を社内にばらまくことになると思います。

弊社のコミュニケーション研修は正統派、直球勝負ですが、いつも多少のスパイスを効かせてあります。

もちろん、もっとスパイスを効かせてほしいというご要望があればよろこんで!

(人材育成社)

 


進化するには時間がかかる

2013年09月06日 | コンサルティング

これは5億5千万年前のカンブリア紀に生息していたピカイアという生き物です。ピカイアは、カナダのバージェス頁岩(けつがん)から化石が見つかり、原始的な脊索(せきさく)動物であることがわかりました。

脊索動物といえば、脊椎(せきつい)動物である私たち人間もその仲間です。どうやらピカイアは私たちのご先祖様だったようです。

弊社の仕事は、企業や自治体の人材育成を外部からサポートすることです。1人の新入社員が組織の中で知識や技能を身につけて成長するまでには時間がかかります。

人が日々の仕事の中で一歩一歩成長していく様子は、近くで見ていると分かりにくいかもしれませんが、私たちのように外部の人間からはよくわかることがあります。

数年前に新人研修の受講生だった人が、いつの間にか私たちの仕事の担当者となり、研修の企画から実施までを仕切ったりする様を見ると、まさに「進化した!」と思ってしまいます(失礼かとは思いますが・・・)。

「うちの会社はなかなか人が育たなくて困る」とおっしゃる経営者の方もいます。しかし人材育成はもともと時間がかかるもの。促成栽培は不可能です。

ピカイアと比べるのは時間のスケールが極端に違うのでナンセンスですが、もう少し長い目で見てあげても良いのではないでしょうか。

(人材育成社)


大人こそ考える力を鍛えましょう

2013年09月05日 | コンサルティング

「小論文を学ぶ」 (長尾達也著、山川出版社 、2001年、1,200円・税別)をご紹介します。この本は大学受験の小論文の参考書ですが、現代人の「考えるための知的道具」を簡潔に解説している大変優れた本です。

はっきり言って、高校生よりも大人にとって難しい本です。なぜなら、社会に出てから要求されることは「わかりやすいこと」ばかりだからです。

先日、このブログでも「『わかりやすい』という危うさ」という題で書いたように、ビジネスの現場では何もかもがわかりやすくなければならない、という暗黙の掟があります。

しかし、すべてのビジネスが単純な原理原則だけで動いているとは限りません。したがって、わかりやすいことそれ自体が危ういのではなく、わかりやすくするために大切なことを切り捨てしまうことが危ういのです。

そして・・・

 その表現は難しいからもっと簡単にしてください。

 ひと目でわかるように簡単な図形で表現してください。

 それはズバリ一言でいえばどうなりますか?

・・・こうした「思考の切り捨て」をビジネススキルと称して講義している研修講師のなんと多いことでしょう(私もその一人かもしれませんが)。

さて、この本を読み始めて数日経ちましたが、ほとんど進んでいません。難しいというより、読みながら考えさせられてしまうからです。

深く考えるということが、これほどしんどいとは思いませんでしたが、思考力は確実に鍛えられています。本書をご一読されることをお勧めします。

http://blog.goo.ne.jp/jinzaiikuseisha/e/e37fca65c05e4ee26a8a0506024f9de7

(人材育成社)

 


エンジニアのコミュニケーション能力

2013年09月04日 | コンサルティング

私が「エンジニアのためのコミュニケーションの技術」という本を書いたのは今から8年前です。

大雑把に内容を紹介すると、(1)エンジニアにもいろいろなタイプがあり、それぞれ「ツボ」が異なる、(2)エンジニアのコミュニケーション能力は低くない、むしろ「文系職」よりも高い、(3)考え方、見方を変えれば優れたコミュニケータになる・・・といったところです。

本を出した当初、多くの経営者の方々(中小企業の社長さんがほとんどです)から「是非うちの技術屋たちのコミュニケーション能力を改善してくれ。彼らの話し方はまったくダメなんだ」という依頼がありました。

私の仕事は「話し方教室」ではないのでお断りすることが多かったのですが、それでも数件の「エンジニアのコミュニケーション改善案件」をやらせていただきました。

しかし、正直に言うと、あまり成果は上がりませんでした。

理由は明白です。まず、社長さんは、自社のエンジニアのコミュニケーション力が貧弱だと思っている。一方、当のエンジニアたちは社長は何もわかっていないし聞く耳も持っていないと思っている。要は「話し方」ではなく、このギャップが問題だったのです。

その後、研修やコンサルティングを重ねるうちにこうしたギャップの埋め方が分かってきました。

はっきりと言えることは、短期のスキル中心のトレーニングではギャップを埋めることはできず、ギャップをお互いに認識するところから始めて、徐々に信頼し合う企業文化を育てていくしかないということです。

まどろこしいようですが、それ以外の方法はありません。それでも一度「信頼」に基づいた企業文化ができあがれば、何があっても揺るがない会社になることは請け合います。

さて、これまた7年前の文章ですがご興味があればご一読ください。

(なぜエンジニアの話は通じないのか)

http://www.jinzaiikuseisha.jp/column/003.html

(人材育成社)


竜巻

2013年09月03日 | コンサルティング

昨日越谷市で発生した竜巻の映像が、ニュースでたびたび流されていました。地震もそうですが、人の力では防ぎようのない自然災害に対してはただ「備える」しかありません。

では、「備える」とはどのような意味を持つのでしょう。具体的な対策をいきなり考えるのではなく、起こるか起こらないかわからない事象をどうやって見積もればよいのかを考えてみます。

ここに登場するのがリスク(risk)という考え方です。

自然災害のような外部要因による、コントロールできない危険のことをハザード(hazard)と言います。リスクとはハザードが生じる可能性(確率)と生じた時の損害の大きさを掛けたものです。すなわち・・・

リスク=発生確率×損害額 となります。

たとえば、雨が降ったら中止にせざるを得ないイベントがあったとします。

イベントが中止になると準備にかけた費用など、諸々の合計で100万円の損害が発生するとします。また、イベント当日が雨になる確率が50%だとすれば、このイベントがもつリスクは、100万円×50%=50万円となります(マイナス50万円のリターンと言い換えても良いでしょう)。

この「50万円」というリスクを評価し、何らかの手を打つのか、あるいはあえて打たないのかを判断することが「備える」ということです。

ここでご注意いただきたいのは、確率がゼロという事象はほとんど存在しないという事実です。たとえば、竜巻、津波、大地震、落雷などの自然災害によって損害が生じる可能性は小さいかもしれませんが、現実をみる限り一定の確率があると考えるべきです。

これからは企業にとっても、リスクの大きさを見積もった上でそれを評価し備えること、つまり「リスクマネジメント」がますます重要になってきます。

企業は、迫り来るさまざまなリスクに対して、どのように対処していくべきか・・・弊社の「リスクマネジメント研修」を受講されることをお勧めします。いや、真面目な話です。

(人材育成社)

 


ロコモコとアロハシャツ

2013年09月02日 | コンサルティング

ロコモコは、ハンバーグにグレービーソース(ウスターソースとケチャップを煮て作る)をかけて、目玉焼きと細切りにしたレタス、角に切ったトマトをご飯の上に乗せたどんぶりです。

ロコモコの名前の由来ですが、ロコはLocal(地元)、mokoはハワイ語の混ざる、らしいです(Wikiより)。元々はハワイの日系人が営んでいたレストランで、若者向けのファストフードとして出されていたようです。今ではハワイ料理のひとつとして日本でも人気があります。

料理としては素朴というか垢抜けない感じがしますが、私はこれが大好きです。神奈川大学(横浜キャンパス)の門を下った近くにあるバーで、ランチタイムにロコモコを出すのですが、とても美味しく、よく食べに行っていました。

ハワイといえばアロハシャツも日本からの移民の方々が和服を利用して作ったという説が有力です。私はアロハも好きなのですが、さすがに仕事で着ることはありません。ただ、ハワイでは男性の正装として通用しています。日本の気候もハワイに近くなってきた昨今、アロハも日本の正装として認めて欲しいものです。

さて、ロコモコとアロハ、ハワイを代表する2つのアイテムを創り出したのが日系の方々だったというのはたいへん誇らしい気がします。

経営学や心理学など、企業研修で使われる概念や用語の多くはアメリカからの輸入です。ロコモコやアロハのような有力な(社会科学上の)理論はないものでしょうか。これから出てきてほしい・・・いや出てくるはずです。期待しましょう!

(人材育成社)

PS:先日のブログ「イプシロン、がんばれ!」の最後に書いた(この意味が分かった人は多分、理系です)について、どういう意味か?との質問が来ましたのでお答えしておきます。これはε-δ論法(イプシロン-デルタろんぽう)にかけたものです。要は「限りなく近づく」と言いたかったわけです。解説は以下を参照してください

http://blog.goo.ne.jp/jinzaiikuseisha/e/b3639b4bfd5f854ae1896f088a8fde0a

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n38327


招き猫が集団で

2013年09月01日 | コンサルティング

瑞穂町にあるホームセンターでたくさんの招き猫を見ました。これだけの集団で福を招いている様子はなかなか壮観です。一種の「気」のようなものを感じました。

招き猫の由来には諸説あるようですが、江戸時代の後期から流行りはじめたようです。こうしたラッキーアイテム(good luck charm)には四つ葉のクローバーや蛇の脱け殻など世界中にいろいろなものがあります。

ラッキーアイテムは国や民族独自の文化から生まれたものですが、「幸運」という概念はそうした違いを超えて広がりやすいようです。

だいぶ前に聞いた話ですが、ラスベガスで、Lucky cat(招き猫)を持っているとギャンブルに勝てるという噂が広まったことがあったとか。

ギャンブルはさておき、こうした「モノ」に願いを託すことは悪くないと思います。

ラッキーアイテムとは、それが目に入ったらちょっとだけ前向きな気持ちにさせてくれる、そんな存在です。招き猫のユーモラスな顔としぐさはまさにそんな役目にぴったりだと思います。

しかし、オフィスにこんなにたくさんの招き猫があったら、かえって気が散るだけですよね。

(人材育成社)