中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第1,170話 部下に遠慮してしまう上司が与えてしまう影響

2023年06月14日 | 仕事

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「圧をかけていると思われませんか?」

これは、先日弊社が監督職研修を担当させていただいた際に、受講者から質問された言葉です。研修では、監督職の役割をはじめ様々な内容について確認や練習をしていただきましたが、その一つとしてコミュニケーションにおける「質問の仕方」の演習をしていただきました。そのときに冒頭の質問を受けたのですが、その受講者が言うには「部下に指示した仕事の進捗状況を尋ねることは、部下へ圧力をかけることになってしまうと思います。ですから、質問したくてもしない方がよいのではないでしょうか。」とのことでした。

この研修では、他の受講者からも「部下を叱ったり注意をしたりするなんてとんでもない、そもそも叱ったり注意をしたりすることは、親が子どもに行うことであって、部下に行うことはよくない」、「部下に伝えたいことがあるのであれば、あくまで助言にとどめるべきだ」と考えているとの話もありました。

さらには、「喫煙のために離席する部下がいて、その都度記録をしたところ、離席時間は1日に2時間にも及ぶことがある。その間、問い合わせの電話が入っても、本人がその場にいないために、電話をかけてきた人を待たせてしまっている。そのことを指摘したいけれど、嫌われたくないのでついニコニコしてしまう。このままではいけないと思うけれど、どうすればよいのでしょうか」などの質問もありました。

この話を聞いて、皆さんはどのように考えますか?

部下を育成することは昔も今も簡単なことではありませんが、これらの話を聞いていて私がまず感じたことは、そもそも部下育成以前の話であり、上司があまりにも部下に対して腰が引けてしまっているのではないかということです。そして、そのために自分にはできない理由をつけているようにさえ感じられてしまいました。

それではなぜここまで腰が引けてしまうのでしょうか?

理由は様々ありそうですが、まず部下をはじめ周囲の人に嫌われたくない、自分に対して自信が持てないということがあるのではないでしょうか。

当人にとっては、4月に監督職に昇格し新たに部下育成が任務として加わったものの、経験がなかったり周囲にモデルとなる人がいなかったりなどで、監督職としてのイメージが全くつかめておらず、何をどうしてよいかわからずに不安で一杯ということなのかもしれません。

だからこそ、新任時の監督職研修で監督職の役割を学ぶことには大きな意味があるのですが、同時にいくら研修で講義を聞いたり、ロールプレイングなどの演習に取組んだり練習を重ねても、それは実践されなければ何の意味もないことになってしまうのです。実際に職場で部下に対し具体的に質問や指摘をし、改善を求めるといったことをしなければ、こちらの考えは伝わらず、行動を変えることはできないのです。

それでも苦手と思う方は、まずはあまり大上段に構えずトライしてみる。そして旨く行ったところ、いかなかったところを確認しながら、経験を積み重ねていっていただきたいと思うのです。

部下の指導や育成は上司の大事な役割です。嫌われたくないという理由で部下に指摘すべきことを放置してしまうようなことは、くれぐれもしてはいけないということです。それは見て見ぬふりをすることと同じ行為であり、その状態を続けると前向きに仕事をしている人のモチベーションまで下がることにもつながります。その結果、やがて職場全体の雰囲気が悪くなり仕事の生産性までも下がることになってしまいかねません。

上司の皆さん、嫌われることを恐れずに、勇気をもって部下に声をかけてみてください。

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

人材育成のホームページ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。