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第1,169話 部下を評価することは難しい

2023年06月07日 | 仕事

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「部下を評価することが苦手です」

これは、弊社が評価者研修を担当させていただく際に、管理・監督職の皆さんから聞くことが多い言葉です。実際に、上司が部下を評価することは昔も今も簡単なことではありませんが、一方で部下の側からすると「上司から的確に評価されない」結果、部下のモチベーションが下がってしまうことによる、離職の増加という問題が顕在化している組織も実際にあるのです。

人が他者を評価するということはそもそも大変なものですが、組織においてそれをさらに難しくしている原因は一体何なのでしょうか。様々な原因があるかと思いますが、その一つに管理職の中に「評価とは、最終的な数値の判断をすること」だと誤解をしている人が少なからずいることがあるように感じます。

評価には、その前段の段取りがあり、また評価をした後のフィードバックも必要です。つまり、前段、本番、後段の3つのステップを総じての「評価」なのだと私は考えています。しかし、前段と後段を省略して本番でいきなり数値評価だけをしようとしても、評価に関する材料がまったくないことから、感覚的な評価にならざるを得ないわけです。

では、評価の前段では何をすればよいのでしょうか。前段では、管理職は部下を観察したり、部下とコミュニケーションをとったりすることによって、部下が求められている役割を担えているのか。部下の強みや弱みは何か。部下自身は今後どのようになりたいと考えているのか。それは組織が求める役割に合致しているのか。管理職の自分としては部下にどのように成長してほしいと考えているのか。そのためには、マイルストーンをどのように設定するのかなど、様々な観点で見極める必要があるのです。

そのようなプロセスを経ることによって、はじめて評価の際の具体的な指標を設定しやすくなるのです。このプロセスを経ずにいきなり評価指標を設定しようとすると、精神論的なあいまいなものになってしまいがちです。

さらには、前段のステップで上記の観点に加えて何を、いつまでに、どのように行うのかといった定量化もしておけば、次のステップの評価をずっとスムーズに進めることができると思います。

そして後段のステップでは、どのようなに事柄に基づいて、どのような考え方で評価をしたのか、評価の根拠を明確に示すとともに、さらなる成長を目指すためにはどうすればよいかを、上司としての期待とともに共に考えていく姿勢を見せるというフィードバックが大変重要になってくるのです。

そうすることにより、部下が「しっかりと見守ってもらっている」「期待されている」ことを感じることができ、その結果「組織に貢献したい」と強く感じてエンゲージメントが高まり、離職率の低下を期待することができるのです。

冒頭のように、部下評価に対して苦手意識を持っている管理・監督職の皆さん。確かに評価には時間も手間もかかりますし、何より責任を伴うものではあります。しかし、きちんとステップを踏んだうえで部下とともに自身も成長する機会なのだと捉えていただき、前向きに取り組んでいただくようにお願いしたいと思います。

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