「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「無制限に時間があると、いいものは作れない」
これは、先日放送されたNHKの番組「スイッチインタビュー」で、シンガーでタレントの堂本光一さんがプロスケーターの羽生弦さんとの対談の中で語っていた言葉です。
番組では、お二人が作品を生み出すまでの過程や向き合い方について熱く語っていたのですが、その中で創作への向き合い方として堂本さんが語っていたのが冒頭の言葉なのです。創作への向き合い方として「期限を区切る」こと、それに加えて「悩んでいるときって良い発想が生まれないから、考えてなければいけないことを一旦置いて普通の生活をしていると、その後風呂に入っているときに、メロディが下りてきたりする」と話されていました。
この話を聞いていて、彼らのような壮大な創作活動ではないにしても、私たちは日常の仕事や生活の中で「忙しいから考える暇がなかった」、「忙しいから良いアイデアが浮かばなかった」など、「忙しい」ことを言い訳にすることが結構多いのではないだろうか。そして忙しいからこそ、反対に自らの納期を設けてアイデア出しをするということが、発想をするためには重要なのではないだろうかと感じました。
それでは、なぜ納期を設けた方が良いアイデアが生まれるというようなことが起こるのでしょうか。それには様々な理由があるかと思いますが、一つには締め切りを設けないと“制約がある中でどのように工夫するか“という、アイデアの源ともなる集中力が散漫になったり、緊張感がなくなったりしてしまうということがあるのかもしれません。
また、パーキンソンの法則(1958年に英国の歴史学者・政治学者のシリル・ノースコート・パーキンソンが「仕事は、完成までに利用可能な時間をすべて満たすように拡大していく」という考え方を提唱)が働いてしまうということもあるのではないでしょうか。
身近な例で考えてみると、納期までに十分な余裕がある仕事をしようとする場合、すぐに仕事にとりかかって完成させることもできるのに、そうはせずに納期ぎりぎりまで手を付けず最後に一気に完成させるというようなことがあります。これはパーキンソンの法則でいうところの仕事を完成させるのに全ての時間をかけてしまっているということです。そしてそのような場合、時間をかけたからといって必ずしも完成度が高くなるということでもなく、案外短納期で仕上げた方が精度の高い仕事につながったというような経験を持つ人もいるのではないでしょうか。
それでは、こうしたパーキンソンの法則が働いてしまうことがないようにするためには、一体どうすればよいのでしょうか。
それには堂本光一さんも話していたように、仮に納期が先の仕事であったとしても自ら納期を少し短めに設定してみるのがよいと考えます。短い納期の中で、限られた時間や資源などを最大限に活かして、まずは一所懸命に考えてみる。それを繰り返していると、たとえばお風呂に入っている時など何か別のことに取り組んでいるときに、ふと「アイデアが下りてくる」というようなことがあるのではないでしょうか。
「次から次へとアイデアが泉のように湧いてくる」というような人でなければ、まずは「時間に制約を設けて考える」というように地道に取り組んでみることから始めることが、良い発想を得る一番の近道なのではないでしょうか。制約があるからこそ、その中でどう工夫するかということが、アイデアの源になるように考えています。