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第1,264話 「注意残余」の状態になっていないか

2025年05月14日 | 仕事

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「職場内の業務ミスが増えています」

これは最近弊社が問題発見・課題解決研修を担当させていただいた際に、受講者から聞くことが多いフレーズです。

一人の受講者に詳しく話を聞いてみたところ、職場の人数が以前よりも減っており、その結果個々が担当する業務量が増えているとのことです。その一方で、残業の制限もあることから限られた時間の中で複数の作業を同時並行で行わざるを得ないのだそうです。たとえば見積書を作成している途中に課長に呼ばれたり、別件のチャットの返事を急かされたりすることも多々あるのだそうです。この受講者が言うには、集中して仕事をしたいのにそれができないのが現状であり、このように複数の作業を同時に行っているためどうしても集中力が削がれ、その結果業務ミスにつながっているということです。

人手不足と言われて久しい中ですが、現実の問題としてこのような「マルクタスク」をせざるを得ないビジネスパーソンは少なくないと思います。マルチタスクとは、複数の作業を同時並行で行ったり短時間で切り替えながら行ったりすることです。複数のタスクを同時にかつ連続的に行うことなどによって効率的に進めることができたり、成し遂げた場合の達成感がより強く得られたりするなどのメリットがあります。

しかし、その一方で強く懸念されるのが「注意残余」などによる業務ミスの発生です。「注意残余」とは、作業や行動を終えて次に移る際に注意の一部が前の作業に残っており、次の作業などへの集中が妨げられる状態を指す心理学用語です。終了したはずの前の仕事のことが気になって集中できていない状態のことを言います。

この言葉は、2010年頃にアメリカの組織心理学者ソフィー・ルロイによる研究で広く知られるようになったものです。ソフィー・ルロイは仕事の時間と注意の管理及び中断が仕事のパフォーマンスに与える影響を調べ、仕事や生活の中で注意力を高める方法を研究しているとのことですが、最近はこの注意残余という言葉を聞くことが多くなったと私自身も感じています。

実際、私自身も仕事が短期間に集中しているときに、複数の業務を同時に並行して行わざるを得ない状態になると、目の前の仕事に集中できなくなり、後からメールの文章に誤植などのケアレスミスがあったことに気が付くといった、注意残余の状態になってしまっていることを自覚することがあります。

このようなことは誰にでも起こりえることですから、それを避けるためにも注意残余に対する対策を考えなければなりません。そのためには、やるべきことの優先順位をつけたり、事前に段取りをしたり、現在行っている業務以外のものは一旦視界から遮断したりするなどといった方法が考えられます。しかし、これらはまさに時間管理の手法と同様のものですので、何も注意残余だけに関わる特別なことではありません。

とはいえ、特に仕事上のミスの防止や注意力の維持を考える上では、注意残余というものの意味などをきちんと知っておくと、心理的な疲労やミスの連鎖を防ぐヒントになるのではないでしょうか。

もしあなたがマルチタスクを行っている中で、なかなか集中できない状態になってしまっているようでしたら、注意残余の状態になっていないかどうか、冷静に自身を見つめてみる必要があるかもしれません。

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