レオパレス21施工不良問題
第三者調査委員会は問題だらけ
レオパレス21施工不良問題 第三者調査委員会は問題だらけ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/250780
耐火性に関する施工不良で1895棟(1月末時点)の賃貸住宅が建築基準法違反に認定され、132
4棟が基準法違反の疑いがあることも発覚しているサブリース大手「レオパレス21」(深山英世社長)
は弁護士ら有識者を集めた第三者調査委員会(委員長=伊藤鉄男・元最高検察庁次長検事)を設置し、3
月18日に中間報告書を提出した。
しかしこの委員会、そして中間報告書にはさまざまな懸念があると、レオパレス問題を追ってきた
ジャーナリストの村上力氏は疑問を呈する。
「そもそも第三者調査委員会は国交省の外部有識者会議(委員長=秋山哲一東洋大学教授))の日程に
合わせて作られました。それでレオパレス問題の原因の一つである国の建築行政の不備や怠慢をきちんと
指摘できるのか疑問です。それに国交省から言われたことだけをやるお役所仕事になってしまうと、その
後もぽろぽろと違法建築が明らかになった場合、不祥事に収拾がつかなくなります」(以下、コメントは
村上氏)
委員会の中間報告書についても問題があるという。第三者委員会の設置当初のお知らせでは、〈「企業
等不祥事における第三者委員会ガイドライン」(日本弁護士連合会)に準拠して、当社から完全に独立し
た中立・公正な専門家のみで構成される外部調査委員会を設置する〉としていた。
「しかし中間報告では<当委員会は、本件調査の独立性・客観性を確保するため、日本弁護士連合会の
ガイドラインにできる限り準拠>となっています(下線は編集部)。「できる限り」などと相当弱腰に
なってしまいましたが、あとで報告書の内容にケチが付いても、言い逃れできるように含みをもたせたの
ではないでしょうか」
■ハイブリッドの不正調査をするかも不明
さらには国交省が設置した外部有識者会議にも問題があるという。
「国交省は違法建築が見つかった賃貸住宅のシリーズは、建築確認制度の中間検査が導入される99年よ
り前に建てられたことを一時期、指摘していましたが、最近になって、99年以後に建てられたシリーズで
も違法建築が見つかっています。そういうことがまだまだ起きているのに、調査委員会による真相究明が
される前から、再発防止のための有識者の人選だけが決まるというのは、普通に考えておかしくないです
か」
レオパレスオーナーたちによる被害者の会は3月11日に、一級建築士による調査報告書を国土交通省
とレオパレス21に提出している。
「しかし中間報告ではこれらの資料について分析していなかった。資料の中には、ハイブリッドなど賃
貸住宅の新しいシリーズが含まれています。第三者委員会ガイドラインでは、類似案件についても調査ス
コープに入れなければならないと記されており、ハイブリッドの不正は『類似案件』として調査しなけれ
ばならないはずですが、それをするかどうかも不明ですね」
また報告書では創業者に責任を押し付けるかのような意図も見られるという。
「中間報告では、創業者の深山祐助氏による指示が指摘され、メディアも違法建築の責任の帰趨をそこ
に求めるような論調になっていますが、現経営陣による隠蔽についての指摘はありません。現経営陣が隠
蔽をしていたのはほぼ間違いない話です。とすれば彼らには、公募増資の問題や善管注意義務、宅建業法
における重要事項の不告知などの法令違反となる疑いも生じることになり、委員会はその点を精査しなけ
ればいけないはずです」
第三者委員会によって国交省や現経営陣にとって都合のよい方向に事態が収束というのか。今後の建
築行政のためにも注視しなければならない。
(取材・文=平井康嗣/日刊ゲンダイ)