津吹みゆさんは、昨年の『東京ホタル』では、優しさや可憐さを前面に出したフォーク調の曲で新しい一面を見せてくれました。
ところが、3月30日に発売された彼女の新曲『壇ノ浦恋歌』は全く違った感じの曲になっています。
タイトルに「壇ノ浦」という地名が入っていて、ご当地ソングではあるのですが、それよりも女の情念の歌といったイメージが強く、彼女のこれまでにないタイプの曲と言えるでしょう。
壇ノ浦は源氏と平家の古戦場として有名で、小泉八雲の「耳なし芳一」に登場する琵琶法師を連想しますが、この曲のアレンジも伴奏に琵琶の音が使われています。
平家の滅亡を決めた壇ノ浦の戦いの哀感を心に秘めた感じで、主人公の女性の激しい恋の思いが歌われていて、「女の命 まるごとあげる」「あんたの他に なんにもいらん」といった印象の強いフレーズが使われています。
彼女の歌唱もいつになく力が入っていて、聴き応えがあります。また、途中にある民謡調の部分では伸びやかな歌声を聞かせています。
作曲は彼女の師匠の四方章人氏で、作詞は彼女の曲では初めての、たきのえいじ氏です。
この曲で彼女の演歌歌手としてのスケールが大きくアップすることは間違いないでしょう。