※今村翔吾(1984年京都府生まれ。17年「火喰鳥 羽州ぼろ鳶組」でデビュー。18年「童神」(刊行時「童の神」に改題)で第10回角川春樹小説賞受賞、第160回直木賞候補となる。20年「じんかん」で第11回山田風太郎賞を受賞、第163回直木賞候補。21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第6回吉川英治文庫賞を受賞。本作で第166回直木賞受賞)
●石垣は楯にも矛にもなる
関ヶ原の戦い直前の近江の国・大津城を舞台に、城の鉄壁の「楯」となる石垣作りの職人「塞王」と、攻め手の無双の「矛」となって城を攻め落とす鉄砲作りの職人「砲仙」との宿命の戦いを描く、武将が脇役で職人が主人公の究極のエンターテインメント戦国小説。
文句なく面白い。そして読みやすい。両者の戦いの場面は迫力満点で、展開もスピード感あふれている。550ページの大作だが、まったく苦にならなかった。
なんとなく眺めている城の石垣。綺麗に積んで行くだけでも大変だろうと感心していたが、戦では楯になり、時として矛にもなって逆襲する仕掛けもあったとは。最後までワクワクハラハラの連続だった。
「懸(かかり)だ!」
「応!」
戦場での突貫工事。興奮するねぇ!
そして塞王も砲仙もその究極の目的は同じ。「戦(いくさ)を終わらせ、泰平の世を築くこと」。いや〜、ほんとに面白かった。
昨年、1000キロブルベの途中に大津に泊まった。ホテルはちょうど三の丸付近。あちゃー、知っていたらなぁ、残念。
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