四季・めぐりめぐりて

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大谷ヶ原萬葉公園の万葉歌碑

2022年11月30日 | 歌碑・句碑


萬葉集 巻十四東歌三三七八 「入間道の 大家が原の ・・・ 」の歌の元となった場所の比定
地とされ、この歌の歌碑が建立されている
  入間郡越生町大谷の『大谷ケ原萬葉公園・大亀沼』
を再訪してきました。

元々、この歌碑は越生町越生の越生町立図書館前に平成8年5月建立されたものですが、歌に相応しいこ
こ大谷ケ原萬葉公園に移設されたようです。前回訪れたのは歌碑が移設される前のことでした。
移設日は分りませんがここ1,2年の間かと思われます。『大谷ケ原萬葉公園説明板』と『野田宇太郎文学
散歩踏査の地の碑』は歌碑移設以前からあり、歌碑はこの両者の間に移設されています。
なお、大谷ケ原萬葉公園説明板の説明文は書き換えられて新しくなっていました。




【碑文(歌)】
  入間道の 大家が原の いはゐつら 
     引かばぬるぬる 吾にな絶えそね
     




                           (2019.06.20越生町立図書館前に建立時撮影)
【碑陰碑文】
  日本最古の歌集である萬葉集 巻十四東歌三三七八
  相聞の部 武蔵国の歌。讀人不詳。
  「伊利麻治能 於保屋我波良能 伊波為都良 
   比可婆奴流ゝゝ 和尓奈多要曾祢」

  「現在の埼玉縣入間郡越生町の大谷ヶ原(大家ヶ原)に
  大龜沼があって、そこに生い茂っている水草の蔓を引け
  ば、ずるずると抜けるように、いつまでも私との仲が切
  れないでいて下さい」、という意。
  梅の名所である越生の里に、人を慕う万葉人のやさしい
  心が今も匂っている。
       平成八年五月吉日  上林猷夫書
             (元日本現代詩人會會長) 
                 越生町教育委員会建立





大谷ケ原萬葉公園 説明板  
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    大谷ケ原萬葉公園
  い り ま ぢ の お ほ や が は ら の い は ゐ つ ら
  伊利麻治能 於保屋我波良能 伊波為都良
  ひ か ば ぬ る ぬ る わ に な た そ え ぬ
  比可波奴流奴流 和爾奈多要曾禰

  (大意)入間路の大家が原のイハヰツラが引けばゆるんで抜けるように、私との
    仲が、きれてしまわないようにして下さい。
                     (『日本文学大系6 萬葉集三』より)

 『萬葉集』巻十四の東歌に収められているこの歌は、大谷ヶ原の地名や大亀沼、高砂沼がある越生町大谷のこ
とを詠んだものといわれている。室町時代の史料に、大谷に水田があったことを示す記述があり、古くから水田
を潤す灌漑用の沼が利用されてきたものと思われる
 文政七年(一八二四)刊行の『武蔵名所考』に、「大亀の沼とて五反ばかりの池あり、(中略)萬葉にイワヰ
ツラをよみたるは此池より生ぜる藺(いぐさ)なるべし」とあり、明治初年に編纂された『武蔵国郡村誌』には、
「於保屋我波良 俗に大谷ケ原と云う…」と記されている。
 「文学散歩」という語を生み出した、詩人で評論家の野田宇太郎は、ここを訪れ、「大家が原と万葉歌」を著
している。(『東京文学散歩 武蔵野編 下』)。
 大亀沼は、昭和六十一年(一九八六)から四年間の工期で堰堤改修工事が行われ、周辺は平成四年から三年を
かけて公園として整備され、現在も、沼水は水田用水として重要な役目を担っている。
 地元でイヷッッラと呼ばれていた「いわいづら(じゅんさい)」jは、今では絶えて見ることができないが、
昭和三十年頃までは自生していた。萬葉の昔を偲ぶ憩いの場として散策していただきたい。   
  令和四年三月吉日                  越生町教育委員会
                            越生町観光協会
                            大谷ケ原萬葉公園整備推進協議会

  ※原文は、平成十六年十月、奥富善二良氏(越生町文化財保護委員・大谷在住)による。
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大亀沼






散策日:令和4年(2022)11月25日(金)

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