城 名:酒井氏陣屋
別 名:-
形 態:陣屋(館)
築城者:酒井重勝
時 期:江戸時代初期
指 定:-
所在地:埼玉県比企郡滑川町福田1205成安寺一帯
埼玉県比企郡滑川町福田1205に所在する曹洞宗心田山成安寺(じょうあんじ)の境内一帯は、徳川家旗本酒井氏の
陣屋跡と推定されるとのことから訪ねてみました。
酒井陣屋初代酒井重勝は、徳川家康の伊賀越えに同行した家臣の1人のようです。
徳川家旗本酒井重勝(1549-1613・通称は与九郎または作右衛門尉)は、徳川家康の家臣として活躍し功績をあげ、
家康の関東入府(天正18年(1590)8月1日)に伴い武蔵比企郡福田、岡部、上総山部郡土気合わせて2000石を知行
される。慶長3年(1600)の関ヶ原の戦い後に加増を受け5000石となる。福田村に建てられた酒井氏陣屋は、江戸
の旗本屋敷が整備される寛永期頃まで重勝一族の本願地として何らかの形で存続していたものと推定されています。
成安寺の開基は酒井重勝で、同寺には酒井氏陣屋領主の歴代墓所があります。
陣屋当時の遺構は残っていないようですが、どこかしら陣屋を思わせるところもあります。
成安寺の寺号標 ここから山門・本堂まではかなりの距離がある参道です。
寺号標の前を県道173号(ときがわ熊谷線)が走っていますが、寺号標と県道の間に側道があります。
参道沿いに立つ石仏、庚申塔が並んでいます。
左側の少し高い所には舗装された道路が走っていて、成安寺境内に車両で行く場合はこちらの道を。
木がこんもりしたところは馬頭観音堂
山門 中々の雰囲気があります
山門を抜けると前庭とでも言いましょうか、池があります。
池越しに馬頭観音堂を
塀に囲まれた境内へ
境内
お約束の六地蔵尊
本堂に掲げられた山号額(扁額)
角度を変えて本堂を
本堂の左上にも池があります
墓所の一角にある酒井氏の墓所 (全部は掲載できませんが)
初代酒井重勝から重之、重頼、重春、重見までの5代にわたる墓石があるようです。
成安寺境内(敷地内)に所在する馬頭観音堂(福田馬頭観音)
木の枝の影で見づらいですが馬頭観音堂の説明板
馬頭観音堂正面
馬頭観音堂右側面
観音堂裏にある板碑 滑川町内最大の板碑で高さ 323Cm
上記板碑の右方にある「建長の板石塔婆(板碑)」
建長の板石塔婆説明板
滑川町最古の板碑で町指定文化財とのこと
参道付近の模様です。
ここ一帯に酒井氏の陣屋があったとの推定ではありますが、本当にこの場所にあったと思える風景です。
と、ここまで2日続けて訪問して撮った写真のなかからセレクト(オーバーかな)したものをアップし、一応、
酒井氏陣屋跡と推定されるという成安寺を紹介した本稿を書き上げました。
しかし何か物足りない。馬頭観音堂裏の2つの板碑は2つが並んだ写真があった方が分りやすいだろう。観音堂
の向拝格天井の馬姿絵の写真もあった方がよいかもと考え、3度目の訪問をしました。
そしてこれが、だいぶ剥離していますがあらためて撮ってきた観音堂の向拝格天井の馬姿絵
2つの板碑を1枚に収めたもの
この日、丁度、成安寺の住職さんが観音堂の周りを掃除しておりましたので、ここが酒井氏陣屋跡と推定されてい
るとのことですので連日にわたりお邪魔させてもらっていますと挨拶をし、折角、住職さんにお会いできたのです
から、「陣屋跡の遺構が残っているところあるのでしょうか?」とお聞きしてみました。「いや、ここに陣屋はな
かった。重勝がこの寺を開基したが、陣屋があったのはあそこの方です」と、寺から200mほど離れた北方にある道
路のほうを指し、場所を教えてくれました。
更に、いろいろな方のブログ等を参考にして冒頭に書いた知行地比企郡福田、岡部、上総山部郡土気のことに触れ
ますと、「岡部ではなく岡です」とのことでした。
現在は深谷市の一部となっている岡部であるなら岡部藩があったから変だなと薄々感じてはいましたが、「岡」な
らすぐ近くの東松山市にありますから納得できます。
成安寺のある場所に陣屋がなかったとしても、みなさんあくまで成安寺一帯を推定とし、成安寺と特定しているわ
けではありませんから決して間違っているわけでありません。
イヤー、まさかこんな話が聞けるとは思っていませんでしたから3度も行った甲斐がありました。
陣屋があった場所は写真中央の道路を入っていったあたりだと教えていただきました。
たまたま近くの方が庭先の畑で作業をしていましたので、「この辺に家康の家臣であった酒井氏の陣屋があったと
お寺の住職さんからお聞きしてきたのですが分りますか?」と尋ねてみましたが、分らないとのことでした。
酒井氏や陣屋のこと自体を知らないような感じでした。
このあたりに酒井氏の家来が2人住んでいたとの住職さんの話でした。
住職さんが教えてくれた陣屋のあったところとはこのあたりだと思います。
陣屋があってもおかしくはないような雰囲気のところです。
陣屋があったとされるところの前の道路から成安寺方向を。
どちらに陣屋(館)があったにせよ、このあたり一帯が酒井氏の陣屋跡には変わりはないわけですから・・・
散策日:平成29年(2017)10月30日(月)・31日(火)・11月4日(土)