四季・めぐりめぐりて

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万葉歌碑「 高麗錦 紐解き放へて 寝るが上に・・・」

2022年07月18日 | 歌碑・句碑


万葉歌 :萬葉集 巻十四東歌三四六五「高麗錦 紐解き放へて 寝るが上に 何と為ろとかも あやに愛しき」
作 者 :未詳 相聞歌
揮 毫 :中西 進(万葉研究者・文学博士)
建立日 :平成2年(1990)11月10日
建立者 :日高町教育委員会 (現日高市)
所在地 :埼玉県日高市高麗本郷 巾着田

500万本の曼珠沙華群生地として知られる日高市の巾着田。巾着田とは高麗川が蛇行したその形が
「きんちゃく」の形に似ていることから呼ばれるようになりました。
その巾着田には何度も行っており、万葉歌碑が建立されていることは知っていましたが、中々歌碑
の写真を撮る機会がありませんでしたので、今回はこれを目的に行ってきました。
歌碑は日和田山を背にして建立されています。
話が逸れますが、日高市という地名は高麗川村と高麗村が合併した際に付けられた地名(合併時は
日高町)です。日高の「高」は、高麗川村、高麗村の「高」からで、「日」はこの日和田山からと
言われています。




【 碑文(歌)】 萬葉集 巻十四東歌三四六五
    巨麻尓思吉
    比毛登伎佐
    氣弖奴流我
    倍尓安杼世
    呂登可母安 
    夜尓可奈之
    伎 
 
進書
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【訓読】 高麗錦紐解き放けて寝るが上にあどせろとかもあやに愛しき
【仮名】 こまにしき ひもときさけて ぬるがへに あどせろとかも あやにかなしき
【大意】 高麗(こま)の錦の紐を解き 共寝したのにこれ以上
     あの娘(こ)はどうしてほしいのか たまらないほどいとおしい
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【碑陰】
    万葉の歌碑
  高麗錦 紐解き放けて 寝るが上に
   何と為るとかも あやに愛しき
     (万葉集巻十四. 三四六五)

  この歌は、東歌の一首で高麗郷との
  かかわりを述べる学説がある。
  文化の香り高いまちづくりをめざす
  人々に万葉の詩心が永く受け継がれ
  るよう祈念し、文学博士中西進先生
  揮毫 によるこの歌碑を高麗郷巾着田
  の地に建立したものである。

   平成二年十一月十日
    日高市教育委員会

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※ 現在の元号である『令和』の考案者は、この中西進先生だと言われています
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【歌碑の傍らに設置されている解説版】

   万葉歌碑
      巻十四⁻三四六五
       未勘国相聞往来歌百十二首の一首です。

    
    <碑文と同じにつき省略>

  「高麗錦の紐を解いて共寝をしているのに、この上、一体どう
 しろというのか、無性に可愛くてしかたがない」と歌っています。
  高麗錦とは朝鮮半島北部の高句麗で、様々な色糸を用いて織ら
 れた高級な絹織物の総称です。古代では高句麗の事を高麗と表現
 していました。
  この歌は東歌を集めた巻十四の未勘国に収められています。
 注 未勘国 国名がわからない。
   相聞往来歌 恋の歌
                平成二十九年九月
                     日高市教育委員会


散策日:令和4年(2022)7月8日(金) 

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