四季・めぐりめぐりて

近隣の城館跡・古墳などの史跡めぐりなどをぼちぼちながらやっています

埼玉県の国宝について

2023年06月21日 | 史跡・遺跡・文化財


川越市小仙波町に鎮座する『日枝神社』(仙波日枝神社)の鳥居の前に【國寶 日 枝 神 社】と刻まれた
石標が立っていますが、日枝神社って「国宝」でしたっけ?




そしてこちらは、毛呂山町岩井に鎮座する『出雲伊波比神社』ですが、本殿横に【國寶 出雲伊波比神社
本殿】と刻まれた石標がありますが、出雲伊波比神社の本殿も「国宝」ですか?
いえ、上記日枝神社本殿も出雲伊波比神社本殿も国宝ではありません。国指定重要文化財(建造物)です。
しかし、あながち間違いではありません「かつては国宝だった」からです。

では何故「國寶・・・」とあるのでしょうか?
実は旧法である「国宝保存法」時代に国宝指定を受けていましたのでその時に建立したもののようです。昭和25
年(1950)5月30日に「文化財保護法」が施行され、これにともない「国宝保存法」等が廃止されましたが、旧
法の国宝保存法によって国宝指定を受けていたものは、新法の「文化財保護法」に規定する《重要文化財》へと
指定替えになりましたが、【國寶 〇〇〇〇】の石標などをそのまま残しているところが多いのです。埼玉県内
においてもこれら以外にも【國寶 〇〇〇〇】が残る神社等がありますし、県外においても同様です。
例えば高知県の高知城も追手門前に【國寶 高知城】の石標が立っています。また、福井県の丸岡城でも【國寶 
霞ヶ城】(丸岡城の別名)の石標が立っていますが、脇にこの石標が建てられた理由と現在は法律が変わって国
指定の重要文化財ですとの説明版が立てられています。こうした説明版があれば誤解を招くことはありませんが、
【國寶 〇〇〇〇】という文字を見れば「国宝だ!」と思ってしまいますね。
無論、旧・国宝で現・国宝のものもありますし、国指定重要文化財でもすべてが旧・国宝であったかと言えばこ
れまた違います。それは旧法「古社寺保存法、「国宝保存法」から引き継がれたものでなく、新法の「文化財保
護法」施行以降に新規に重要文化財に指定されたものもたくさんあります。このことから、
  旧法「古社寺保存法、「国宝保存法」での『国宝』 = 新法「文化財保護法」での『重要文化財』
と考えてよいでしょう。なお、新法「文化財保護法」では重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いもの
をあらためて国宝に指定しています。「国宝」は重要文化財の一種であり、重要文化財に変わりはありません。
まあ、國寶・ 社などといった旧字が使われていたら「国宝保存法」時代に指定されたものという一つの目安にな
ります。また、石標などの建立年月日からも推定できます。

前置きが長くなってしまいましたが、よくクイズ番組で「国宝が一番多い都道府県はどこでしょうか?」などと
いった問題がありますが、では埼玉県には何件の国宝があるでしょうか?
5件です  新法(文化財保護法)における国宝はわずか5件しかありません。6月1日現在の国宝指定件数は1132件




新法「文化財保護法」における埼玉県での国宝指定第1号は、ときがわ町の「慈光寺」にある

【国宝】書跡 ・ 典籍 ・ 古文書
    《名称》        《員数》           《指定年月日》
   法華経一品経        33巻          昭和27年(1952)3月29日
   阿弥陀経 
   般若心経
    附 筆者目録一巻
      補写目録一巻

ですが、実物は見ることができません。





実物は見られませんが「般若心経堂」に模写(陶器)展示「妙法蓮華経 授記品第六」があります




埼玉県唯一の村の【東秩父村和紙の里・「道の駅 和紙の里ひがしちちぶ」】にある「伝承館」です。
ここに、県内の国宝の指定2番目、3番目の

【国宝】工芸品
    《名称》        《員数》           《指定年月日》
   太刀            1口          昭和 29年(1954)3月20日
     銘 備前国長船住左兵衛尉景光
    作者進士三郎景政
    嘉暦亖年己巳七月日
   短刀            1口          昭和 31年(1956)6月28日
    銘 備州長船住景光
    元亨三年三月日

の【写し】が展示されています。
実物はさいたま市大宮区の「埼玉県立歴史と民俗の博物館」に所蔵されていますが、この太刀・短刀は、
播磨(兵庫県)の地頭であった大河原時基が作刀させたもので、大河原時基は秩父郡大河原郷(現在の東
秩父村)が本貫地で、その縁から写しを作られ展示してあります。






国宝 長船景光・景政合作太刀写




国宝 謙信景光短刀写




御物 長船景光・景政合作太刀写




4件目は行田市の「埼玉県立さきたま史跡の博物館」で管理・展示している

【国宝】考古資料
    《名称》        《員数》           《指定年月日》
   武蔵埼玉稲荷山古墳     一括          昭和 58年(1983)6月6日
   出土品 

この出土品の所有者は国となっています。通常ですとこうした国宝は別の施設、例えば東京国立博物館な
どで所蔵しますが、出土した現地(博物館)で保管・展示することは極めて稀なことです。
この場合ですと、稲荷山古墳と出土品を同一の場所(稲荷山古墳もさきたま史跡の博物館も埼玉古墳群と
言う同一エリア内にある)にあるということです。




稲荷山古墳国宝のパンフレット
実物は博物館の国宝展示室に常時展示されており写真撮影も可能です。



5件中の5件目は熊谷市妻沼の「妻沼聖天山本殿・歓喜院聖天堂」

【国宝】建造物
    《名称》        《員数》           《指定年月日》
   歓喜院聖天堂        1棟          平成24年(2012)7月9日

です。御本殿と言われるものですが、国宝としての登録名称は上記の通り「聖天堂」としています。




平成15年10月から約7年間の歳月をかけて行われた「平成の大修理」によって、長年の時の流れによって
生じた傷みや、剥落した彩色を、建立当時のように華麗な色彩に復元された聖天堂。


以上、今更説明するような内容のものではありませんが、某サイトで旧国宝に関して気になるコメ
ントがありましたので思いつくままに書いてみました。


夏つばき ”一夜花”

2023年06月14日 | 花・鳥・風景


夏つばき 初夏にかけて咲く白い花 朝に咲いて夜には落ちてしまうことから「一夜花」とも呼ばれる
和名:ナツツバキ 別名:シャラノキ(沙羅木) 
花や葉の形がツバキに似ていることから付いた名とのこと

正直、2年前までは夏つばき(ナツツバキ・夏椿)の花はおろか夏つばきというものがあることさえも知
りませんでしたが、知ったのはひょんなことからでした




しとしと降る雨は、傘を差した方がよいか、差さないでも大丈夫かなと微妙でした。運動がてらのいつ
もの散歩道で、夏つばきが咲いているお宅が3軒ほどではありした。うち1軒は道路際に夏つばきの木が
ありましたので外から写真を撮らせていただきました。それがこれらの写真です。
路面にはすでに10輪を超えるであろう花が落ちていました・・・一夜花とはよく言ったものです。

桜は‥『散る』 梅は‥『こぼれる』 菊は‥『舞う』 牡丹は‥『崩れる』 椿は‥『落ちる』
花の終わりの表現はこのようにそれぞれ違います。日本語ってうつくしいですね。








散策・撮影日:令和5年(2023)6月14日(水)

妻沼のあじさい寺 能護寺を久々に 3⃣

2023年06月13日 | 花・鳥・風景

妻沼のあじさい寺 能護寺のあじさいにもう少しだけお付き合いください。
能護寺にはあじさいの季節に何度か訪問しております。あじさいそのものが絵になるのは確かなことです
が、一層引き立ててくれているのが朱色の高欄を持つ鐘楼ではないでしょうか。また、逆に見ればこの時
季はあじさいの花が鐘楼の引き立て役になっているとも言えますが。
そんな能護寺の鐘楼ですが、どこかでこれと似た鐘楼を見たような気がしていました。
そうです。足利市の「鑁阿寺」(国指定史跡足利氏宅跡)の鐘楼もこんな造りであったような。高欄は朱
色でありませんが。








































                                         了
入山(訪問)日:令和5年(2023)6月10日(土)

妻沼のあじさい寺 能護寺を久々に 2⃣

2023年06月12日 | 花・鳥・風景

”妻沼のあじさい寺”能護寺のあるところは、熊谷市永井太田です。平成の大合併によって熊谷市となった
わけですが、以前は大里郡妻沼町でした。
これが ”妻沼のあじさい寺” と呼ばれる所以です。熊谷市に変わってもやはり”妻沼の・・・” であって、
”熊谷のあじさい寺” ではしっくりきませんからね。

自身が初めて”能護寺を訪ねたのは、何年の事であったかは伏せますが、だいぶ昔のまだ妻沼町のころです。
訪問するきっかけとなった新聞記事の切り抜きとともに〈散策記〉を残してあります。ここにその散策記
を全文紹介したいところですが、とても人様に読んでもらえるようなものではありませんので一部だけを。


  == 丁度、俳句大会の会場に本堂があてがわれていて、俳句を詠む老人・老女の姿が多くみられた。 
     「紫陽花三句」と貼り紙がしてあり、課題が与えられていた。 ==








































                                       続く
入山(訪問)日:令和5年(2023)6月10日(土)

妻沼のあじさい寺 能護寺を久々に 1⃣

2023年06月11日 | 花・鳥・風景


妻沼のあじさい寺として知られる熊谷市永井太田に所在する「能護寺」へ久しぶりに行ってきました。
境内に約50種類800株のあじさいが咲き誇ります。開花期間中の拝観をコロナ禍の影響で3年間中止してい
たとのことで今年は4年ぶりの再開のようですが、自身は9年ぶり(記録が正しければ)の入山でした。



能護寺は高野山真言宗の寺院で山号を能満山と号します。
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   能護寺の歴史
能護寺は天平15年(743)、行基により開基。のちに空海により再興されたと伝えられている。現存する本堂は文化11年
(1814)の再建、今に至る。内陣には金剛界大日如来を安置。内陣格天井の十六羅漢は金井烏。外陣に岩崎榮益、樋口春
翠、田島益山、樋口春翆、栄春らによる花鳥獣画が描かれています。
虚空蔵堂には御本尊に虚空蔵菩薩が安置され、丑、寅年の守り本尊、十三詣りの仏様として信仰を集めています。
また、鐘楼堂は明治35年に再建。梵鐘は元禄14年(1701)に鋳造されたものです。また、令和元年~令和2年に屋根瓦の
葺き替え等の修復を行いました。                           《入山券裏面から》

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入山(拝観)料300円を支払って境内へ


































                                        続く
入山(訪問)日:令和5年(2023)6月10日(土)

岡部とうもろこし祭り2023

2023年06月10日 | まつり・イベント


「道の駅おかべ」(深谷市岡・旧岡部町)で6月10日(土)・11日(日)の2日間
  岡部とうもろこし祭り2023
を開催とのことから本日行ってきました。
深谷市(主に旧岡部町)名産の『味来』の焼きとうもろこし、袋入り(1袋12本入り)の販売がありまし
たが、袋入りについては道の駅に着いた直後に売り切れのアナウンスが流れました。
※焼きとうもろこし 1本 250円  袋入り 1袋 2000円(税込み) 



焼きとうもろこしを求める人たちの行列 もっと後ろまで続いています


あまりのお客さんの多さで焼くのが間に合わないようです


並んだ甲斐がありました 


通の駅おかべに行くと必ず買って食べているねぎ焼きフライ 今回は販売元の名刺と一緒に記念撮影
とうもろこし同様にネギも深谷市の名産品ですが、とうもろこしが主に旧岡部町の名産品であるよう、ね
ぎは旧深谷市の名産品。しかし、合併により共に新深谷市の名産品ということに・・・



とうもろこし味来の幟が何本も・・・

訪問日:令和5年(2023)6月10日(土)

古墳巡って「御墳印」

2023年06月09日 | エトセトラ


神社やお寺を参拝したときに頂く「御朱印」から派生した「御城印」や鉄道駅の「鉄印」など色々なものを対象
にした「御〇印」が次々に考案発行されています。古墳を対象にした「御墳印」なるものも既に他県では発行さ
れているようですが、埼玉県においても6月10日(土)から発行されるようです。古墳関蓮としては「御墳印」
以外にも、群馬県で「古墳カード」が発行されています。

「御墳印」の対象古墳は記事にもあるようまだ少ないようですが、史跡指定区分は下記の通りです。
  ◇埼玉古墳群   (行田市) 国指定特別史跡 
  ◇小見真観寺古墳 (行田市) 国指定史跡 
  ◇八幡山古墳   (行田市) 県指定史跡
  ◇地蔵塚古墳   (行田市) 県指定史跡  
  ◇真名板高山古墳 (行田市) 県指定史跡 
  ◇浅間塚古墳   (行田市) 未指定 
  ◇宮塚古墳    (熊谷市) 国指定史跡 
  ◇甲山古墳    (熊谷市) 県指定史跡 
  ◇永明寺古墳   (羽生市) 県指定史跡  ※
  ◇天王山塚古墳  (久喜市) 県指定史跡  ※
  ◇将軍塚古墳   (東松山市)県指定史跡 
  ◇若宮八幡古墳  (東松山市)県指定史跡 
  ◇鹿島古墳群   (深谷市) 県指定史跡 
  ◇吉見百穴    (吉見町) 国指定史跡
 
※を付けた二つの古墳以外は一応訪問済みです。これ以外にも御墳印を発行したらよいだろうと思える古墳が数
多くありますが、当該自治体等の考え方や御墳印の販売場所、更には他市町村との兼ね合い等もあってそう簡単
には行かないのかも知れませんね。
「御墳印」を購入すかしないかはまた別の問題ですが・・・

畠山重忠ガチャ キーホルダー

2023年06月08日 | エトセトラ
「埼玉県立嵐山史跡の博物館」のホームページを覗いてみましたら、刊行物・グッズの中に
   色々な畠山重忠を集めました。  重忠ガチャ
と言ったものがありました。
6月1日から、畠山重忠のイラストや像など計6種類をアクリルキーホルダーにしたガチャガチャを始めたようです。
価格は200円で嵐山史跡の博物館限定のガチャとのこと。
その6種類とは
  「嵐山町所有 畠山重忠像」 ・・・ 菅谷館跡・二ノ郭の土塁上に建っている竹筋コンクリート製の像
  「深谷市所有 畠山重忠像」 ・・・ 深谷市畠山の畠山重忠公史跡公園に建っている愛馬三日月を背負った銅像
  「嵐山町の田畑紗雪さんデザイン 」・武蔵嵐山駅西口・嵐山町ステーションプラザ嵐なび(観光案内所)にあるパネル
  「旭区マスコットキャラクター あさひくん」
  「岡松屋の史跡最中」   ・・・ 武蔵嵐山駅そばにある和菓子屋さん「岡松屋」の看板商品の最中
  「埼玉県立嵐山史跡の博物館」・・ 嵐山史跡の博物館に展示してある重忠公の人形(キーホルダーの図案はイラスト)
で、下掲の写真にある像やイラストなどが使われています。ただし、重忠が討たれた二俣川のある横浜市旭区マスコットキャラ
クター「あさひくん」とはまだ会っていませんので写真はありません。
博物館のホームページに6種類のキーホルダーの写真が載っていますが、使用許可をとっていませんので、代わりに自身が撮っ
た写真を載せたみた次第です。一番下の『埼玉県立嵐山史跡の博物館 刊行物・グッズ』をクリックで当該ページにリンク

なお、キーホルダーゲットのためにガチャガチャに挑戦するかどうかは???です。




 『埼玉県立嵐山史跡の博物館 刊行物・グッズ』

散歩道の初夏の花

2023年06月07日 | 花・鳥・風景

昨日の散歩道の路端に咲いていた初夏の花です。正しくは畑の端の道路に面した所にですが・・・
タチアオイ①


タチアオイ②


タチアオイ3⃣


スカシユリ①


スカシユリ②


フェイジョア①


フェイジョア②


ジャガイモの花

散策日:令和5年(2023)6月6日(火)