AKB48の旅

AKB48の旅

DOCUMENTARY of AKB48 The time has come

2014年07月08日 | AKB
これまで4作の中では一番のできだと思う。

見始めてまず感じたのが、心地よさというか暖かさのようなもの。これまでの3作には多かれ少なかれあった、身構える感じ、尖ったところやささくれ立つ感じがなくて、最初から何の抵抗もなく、すっと映画に入り込めた。冒頭が西山怜那さんの上京シーンだったからかなとも、当初は思ったけど、見続けて行って、それがどこから来るものなのかが、だんだん見えてきたように思う。

高橋監督の視点が完全に「内部」になってる。インサイダーになってる。それも単なるインサイダーと言うだけではない。あらゆるシーンが、メンバーに寄り添いメンバーの心の内側から見た景色、そんな編集意図になってる。そんな統一された視点で終始一貫してる。だから適度な緊張感を維持しながらリアルではあるけど、物語としての感情のうねりが伝わってくる。各エピソードが心地良いリズムを刻む感じで、一瞬たりとも飽くことなく、一気に見通せてしまった。

もちろん取り上げられたエピソードのすべてを、私が相当程度まで知ってるというのはある。その時その時のハイコンテクストが分かるということが背景にはあるんだろう。けれども基本、これはAKBファンが見る映画なんだから、そういう割り切りは有りだと思うし、正解だと思う。

"No flower without rain"の時も、似たようなことを書いた気がするけど、今回はもう完全に病膏肓に入るというか。監督自身がAKB物語のメタ構成要素となり果てた、そんな風に強弁してみようか。

それがドキュメンタリー映画としてどうかと言われれば、前作同様、本作も対象との距離感を喪失してると見なせるわけで、形式上のドキュメンタリー映画としては失格なのかも知れない。けれどもAKBが巨大な物語という性格を色濃く持つ以上、それも単なるリアルではなくて、リアルヴァーチャル連続体という性格を帯びる以上、この作り方がベストなんではないか。前作からさらに一歩踏み込むことで、映画という枠組みにおいて、ついにはAKBの本質的な面白さを掴んだ、手が届いた、そう評価させていただきたい。

あとはエンディング曲の「愛の存在」が素晴らしかった。一聴したインパクトとしては「ファーストラビット」クラスかな。歌詞は抽象度が高くて、「ファーストラビット」の前田さん、「After rain」の高橋さんのような、露骨な当て書きではないよう。「少女たちよ」のアップデートな感じ。