保存鉄道車両巡りの旅2

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今はなき貨車改造駅(その1)

2015-12-09 12:26:00 | 貨車改造駅

貨車改造駅は設置から30年近くが経ち、更新や駅そのものの廃止で姿を消したものあります。これらをまとめてみようかと思います。


●駅そのものが廃止された貨車改造駅

◆深名線幌成駅(1995年9月4日廃止)

国鉄民営化前後に貨車改造駅舎になりました。
深名線の貨車改造駅はここだけで、他の駅では廃止時まで旧来の木造駅舎や待合室が使用され続けました。大赤字線ということから、合理化しても焼け石に水であると判断されたからでしょうか。
ヨ3500を改造したと思われる幌成駅舎は、2018年10月時点でも幌成集落の会社敷地内に置かれています。


◆宗谷本線芦川駅(2001年7月1日廃止)
木造駅舎の更新で貨車改造駅舎が置かれました。利用者皆無のため駅そのものが廃止されました。


◆宗谷本線智東駅(2006年3月18日廃止)

国鉄末期に貨車改造駅になりました。かつての木造駅舎は駅ホームより高い場所にあり、貨車改造駅舎が置かれていた場所とは違いました。
画像は列車が来ないことを確認して線路内で撮影しています。15年以上前のことであるためご容赦いただけるとありがたいです。






この駅で特筆すべきは、貨車改造駅舎が旧美幸線仁宇布駅にあるトロッコ王国へ移転して保存されていることです。
旭川支社の貨車改造駅舎にはトイレが設置されています(しかし現在はほとんどで施錠され使用出来なくなっています)。


◆江差線吉堀駅(2014年5月12日廃止)

かつては交換可能駅でしたが、合理化のため棒線化されました。駅舎はかつての線路上に置かれています。江差線木古内~江差間が廃止されたことにより廃駅になりました。


◆江差線桂岡駅(2014年5月12日廃止)

吉堀駅と同様の経緯で貨車改造駅かつ棒線駅になりました。この駅も江差線廃止に伴い廃止されています。


ホームと同じ高さに駅舎を置くのが函館支社独特です。この駅もかつては交換可能駅で、貨車改造駅舎は撤去された本線部分に置かれています。非常に狭い島式ホームが目を引きます。


◆江差線中須田駅(2014年5月12日廃止)

吉堀や桂岡と同様にホームと同じ高さに駅舎が設置されていますが、スペースの都合からか待合室に出入りする動線がクランク状になっています。これなら地面に直接駅舎を置いた方がスッキリしたのでは・・・?


◆根室本線花咲駅(2016年3月26日廃止)

利用者皆無のため廃止された駅です。駅舎の塗装は何度か変更されています。


釧路支社の貨車改造駅にはトイレが設置されていますが、旭川支社とは違い駅舎の外側からトイレへ入るようになっています。現在は施錠されておりトイレの臭突も撤去されています。
また、デッキや窓を埋めているのも関わらず律儀に標識灯を残していることも特徴です。


◆留萌本線瀬越駅(2016年12月5日廃止)
留萌本線留萌~増毛間部分廃止により廃駅になりました。1926(大正15)年に仮乗降場として開業して以来、駅員が配置されたことはなく駅舎も無かったと思われます。
国鉄民営化前後に車掌車を改造した待合室が設置されました。しかし海に近い事から腐食が激しく、1995~2003年の間に貨車改造駅舎は撤去されています。貨車改造駅だった期間は8~16年間程度だったと思われます。
代替としてコンクリート造りの待合室が作られました。


◆留萌本線礼受駅(2016年12月5日廃止)

留萌本線留萌~増毛間部分廃止に伴い廃止された駅です。国鉄末期~JR化すぐ頃に合理化のため貨車改造駅舎が設置されました。
2012年頃に古い塗装を剥がして再塗装する大規模な補修が行われましたが、海風をまともに受ける場所であることから3年程で錆汁まみれになってしまいました。
出入り口妻面の窓がありませんが、最初からこの状態だったのか、補修の際に埋められたのかは分かりません。


トイレの臭突が撤去されています。換気口の右上にあるものは屋外用コンセントで、電動の臭突扇を作動させるためのものです。


◆留萌本線舎熊駅(2016年12月5日廃止)

旭川支社標準の形態ですが、外板にサイディングが張られています。この駅も海沿いにあるため、サイディングが張られる前は塗装が剥がれボロボロでした。
以前はサイディングが張られておらず、礼受駅と同様の塗装でした。


サイディングは薄めの材料が使われています。トイレ窓までサイディングボードで埋められています。どうせ使わないから埋めてしまったのでしょう。
礼受駅と舎熊駅ではストーブ用煙突も撤去されています。ストーブを設置することが無くなったので不要と判断されたのでしょうか。


◆函館本線蕨岱駅(2017年3月4日廃止)

ヨ3500を改造したと思われる貨車改造駅舎です。かつて木造駅舎があったであろう場所に置かれています。


江差線吉堀駅(廃止済み)と同様の形態でトイレが無く、デッキ部分は3カ所が出入口となっています。残る1カ所は閉塞され用具入れや配電盤室になっています。


室内の様子。壁と天井に内装板が貼られています。旭川支社の貨車改造駅は天井が原形のままむき出しだったため、処理の仕方に違いがあります。


◆釧網本線五十石駅(2017年3月4日廃止)

釧路支社の標準的な形態の貨車改造駅舎です。他の釧路管内の貨車改造駅とは、色は違えど同じイメージのツートンカラーで塗装されています。


トイレの臭突は撤去されています(壁面に屋外用コンセントがあることから、当初は設置されていたと思われます)。
釧路支社の貨車改造駅舎の特徴として、元のデッキ開口部を埋めているにもかかわらず尾灯を残しているものが多数見受けられます。いっそ加工ついでに埋めてしまった方が作業が簡単かと思うのは、模型的な発想でしょうか・・・。


◆石勝線夕張駅(2019年4月1日廃止)
石勝線夕張支線廃止により廃駅になりました。
1985年に駅が移設された際に貨車改造駅舎になりました。
ワム29500が2両(29756・29900)とワム80000(86579)1両の計3両を組み合わせていました。車輪を付けたまま設置された点が珍しいです。
夕張駅は1990年に再度移転したため、2代目夕張駅と貨車改造駅舎は5年程使われただけでした。
貨車改造駅舎は石炭の歴史村(夕張市)に保存されていたようですが、現存するのかは不明です。


◆釧網本線南弟子屈駅(2020年3月14日廃止)

こちらも釧路支社標準の形態です。屋根に煙突の跡が無いことから、ストーブが取り付けられたことは無いようです。


釧路支社のもう1つの特徴として、下回りのバネ吊り装置の一部が残されたままの個体が多く見受けられます。この画像では台枠の下に伸びる突起のようなものです。他地区では大多数が撤去されています(当然ながら貨車改造駅舎になってからは使用する物ではありません)。

なお南弟子屈駅は廃止前日の2020年3月13日が最終営業日でしたが、車両不具合と悪天候による運休で実際に最後に停車した列車は3月9日21:03発の釧路行だったようです。その後は列車が運行されることなく廃止を迎えました。


●駅は現存するものの、貨車改造駅舎が撤去された駅
かつては該当する駅がありましたが(恩根内、瀬越、夕張、節婦駅・東静内駅・春立駅・日高三石)後に駅そのものが廃止されたため現在は該当駅がありません。

 

 

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