保存鉄道車両巡りの旅2

鉄道車両の静態保存車を紹介するブログです。

旭川市西神楽南 ヨとワム80000

2022-06-29 22:21:50 | 上川(北海道)

場所:旭川市西神楽南16号

保存車両:ヨ3500またはヨ5000(番号不明)、ワム80000(番号不明)

(2022年6月28日訪問)

 

かなり奥地に存在する車両です。住所は西神楽ですが、国道237号線やJR富良野線とは美瑛川をはさんで対岸側にあります。

 

いずれもショップや事務所に使用されていると思われます。ワム80000は側面にガラス戸を付けて居室に改造しているようで、大きな屋根の中に取り込まれています。

 

ワム80000の反対側。側面引戸を開放状態にして窓を付けているようです。妻面には住宅用と思われる換気口が取り付けられています。

妻面に雨樋縦管が無いこと、側面上部ドアレールが車端まで達していないことからワム80000形の中期型かと思われます。

 

ヨ3500またはヨ5000です。妻面に貨車改造駅舎のようなアクリル板の風防が取り付けられています。

地面より少し高くなっていますが、車輪が残っているのではなく軸箱守(と言うのでしょうか?)のフレームのみ残っているようです。廃貨車(ダルマ貨車)として販売された状態や貨車改造駅舎では見られない処理の仕方です。ここへ来る前はどこで活用されていたのでしょうか?

 

2024年2月29日 現存を確認


(撤去済)新冠町 道の駅付近にあったオハフ46

2022-06-25 21:38:33 | 今は亡き保存車


場所:新冠町中央町1
保存されていた車両:オハフ46-505
(2011年9月14日訪問)

新冠町中心部の国道235号線沿いに保存されている車両です。「新冠レ・コード館(道の駅)」のすぐ東側にあります。
ライダーハウスとして利用されていましたが、2012年頃に廃業したようです。


足回りは無いダルマ状態です。
車内はカーペット敷きになっていますが、現役当時からその状態だったそうです。函館区に所属し札幌~函館間の夜行列車に使用されました。
オハフ46-500番台はオハフ46の北海道仕様です。原形はスハ43で、台車振替でオハ47なったものをさらに改造しています。製造から3度改番されたことになります。


客車を見学していると偶然日高本線の列車が通りがかったので、現役車両とのツーショットを撮影してみました。普段は日高色のキハ40-350番台が使用されているはずですが、珍しいことに(?)この日はキハ40-1715でした。

※2022年6月25日追記

2022年6月24日に訪問したところ、この車両が撤去されていることを確認しました。

当方が最後に現存を確認したのは2019年9月24日です。ネット上で2020年11月に解体されたとの情報を見つけましたが、詳細は不明です。

この保存車の裏を走っていた日高本線は2021年4月に廃止されています。新冠の街から鉄道があった痕跡が消えつつあります。


旭川市 元旭川競馬場の機関車

2022-06-16 22:24:30 | 上川(北海道)

場所:旭川市神居町台場278

保存車両:旭川競馬場4tディーゼル機関車、トロッコ、国鉄ワキ5000(番号不明)

(2022年6月15日訪問)

 

旭川市内の台場地区で保存されている車両です。台場小学校の近くです。

かつて存在した旭川競馬場の構内で働いていた機関車です。

 

なぜ競馬場に鉄道があったのかというと、ここでは馬がソリを牽いて速さを競う「ばんえい競馬」が行われており、そのソリの輸送のために必要であったからです。

ばんえい競馬で使用するソリは重りを載せており、レースにもよりますが1つあたり450Kg~1t近くあります。それらのソリをゴール地点からスタート地点まで輸送するために鉄道が使われました。多くのソリを短時間で効率よく運ぶには鉄道が適しており、旭川競馬場以外でもばんえい競馬を開催している(開催していた)競馬場には全て鉄道がありました。

 

機関車の後ろには当時使われていたトロッコが置かれているようです。上の箱状の荷台は当時からあったものなのかこの地に来てから載せられたものかは不明です。

 

機関車は日本車輌製の4tディーゼル機関車で、UDLという製品名の産業用機関車です。鉱山等での使用を考慮してキャブがとても低いことが特徴です。

ここではレールに載せられた状態で置かれており、レール幅は762mmです。

ばんえい競馬場の鉄道でこのようなまともな機関車を用意していたのは旭川だけだったそうで、他の競馬場では自動車部品や建設機械の部品を組み合わせて手作りした怪しげな機関車が活躍していました。

 

放置されているような状態ですが、よく現役時の姿を保持しています。

旭川競馬場は2008年のレースを最後に使用されなくなり、2009年に施設が解体されたそうです。ばんえい競馬自体は2006年が最後のレースだったようで、この機関車がここへ来たのもそれ以降かと思われます。どのような経緯でやって来たのでしょうか?

 

機関車側面の星マークは、旭川市の徽章(市章)です。

 

この場所では奥にワキ5000の廃車体が置かれており、倉庫に活用されているようです。

 

ワキ5000は番号不明ですが、角屋根の後期型です。

 

2024年2月29日 現存を確認


ワム60000とワラ1の違い(見分け方)

2022-06-10 22:51:56 | 廃車体あれこれ

国鉄時代の二軸貨車であるワム60000とワラ1。両者は積載量は違うもののよく似た外観で、当ブログ内でも両者を取り違えている箇所や「どちらか分からない」などと記載していた部分が多数あったかと思います。

この度ふと思いつきで両者の見分け方を調べてみました。ネット上では見分け方を紹介している方が多数いらっしゃるため何番煎じのネタか分かりませんし、廃車体を趣味にする者として今まで無頓着だったことは大変恥ずかしいことですが、何かの参考にして頂ければと解説させて頂きます。

 

撮影場所:北海道深川市納内町

車両:ワラ1(番号不明)

(2022年6月10日撮影)

これはワラ1の廃車体ですが廃車当時の塗装のまま一度も再塗装されていないようで、番号や標記は消えているためこれらから形式を特定することは不可能です。では、どのように見分けましょうか?

 

(納内町のワラ1です)

ワラ1だと見分けるポイントの1つめが妻面の突起です。妻面上部の中央には大きな通気口が付いていますがその両側に2つずつ(片側妻面で計4個)のリベットがあります。

これがあればワラ1、無ければワム60000だと見分けられます。

保存や再利用に際してわざわざ削り取ることは無いと思いますが、個体によっては腐食でリベットが脱落しているものもあります。

 

(納内町のワラ1です)

次にワラ1だと見分けるポイントは、側面引戸レールの位置です。

ワラ1は側面の下端とほぼ同じ位置にレールがあり、ワム60000は下端より少し上にレールが取り付けられています。

 

撮影場所:北海道三笠市幌内町2丁目287 三笠鉄道村

車両:ワム66172

(2010年10月1日撮影)

三笠鉄道村で保存されているワム60000です。車号が残されていますが、先ほど記載した見分け方には当てはまっているでしょうか?

 

(三笠のワム66172です)

妻面上部の通気口の左右に突起がありません。

 

(三笠のワム66172です)

下側の側面引戸レールが、車体裾(側面下端)から少し上側に取り付けられています。

なおワム60000のうち初期型と呼ばれる車両(ワム60000~61299の1300両)は、側面と妻面の接合部に凸部があるため(側面が妻面より凹んで見える。俗に「額縁」と呼称)この見分け方を使わなくても一発で判別可能です。この方法はワム60000後期型(ワム61300以降の7280両あまり)とワラ1を見分ける方法と言えます。

 

撮影場所:北海道旭川市東旭川町倉沼

車両:ワム60000(番号不明)

(2011年4月12日撮影)※2022年時点で撤去済

ここからは例題編です。ワム60000後期型です。妻面の突起が無いこととドアレールの位置で判別可能ですね。

 

撮影場所:北海道山越郡長万部町双葉 JR函館本線二股駅

車両:ワラ1(番号不明)

(2016年1月5日撮影)

貨車を改造した駅舎に転用されたワラ1です。側面引戸部分に壁を作り住宅用のアルミ戸を取り付けているので、オリジナルのドアレールは撤去されています。

 

(JR二股駅です)

しかし妻面上部にはワラ1の証である4カ所の突起がしっかり残っています。塗色の関係で少し見にくいですが、うっすら雪が積もっています。

 

撮影場所:北海道根室市納沙布

車両:ワム60000(番号不明)

(2014年6月18日撮影)

おそらく日本最東端に位置する保存車(放置車)と思われる車両です。

海岸まで約30mということと濃い海霧が頻繁に発生する場所なので車体は腐りかかっていますが、ドアレールの位置と妻面リベットが無いことからワム60000後期型だと分かります。

 

撮影場所:北海道標津郡標津町北1条西2丁目 根室標津駅転車台跡

車両:ワム60000、ワラ1(いずれも番号不明)

(2019年7月18日撮影)

ここには2両の廃貨車が置かれていますが、手前がワム60000後期型、奥がワラ1のようです。

ワラ1はワム60000よりわずかに全高が大きいようですが、このように下回りが失われてかつ真っ平ではない地面に置かれていると車高では区別出来ません。

加えて放置車では周囲に雑草が生い茂っていることも多いため(ドアレールが見えない)、妻面上部の突起が唯一見分ける方法となることもあります。逆に建物に取り込まれたり後付けで屋根が取り付けられているケースもありますので、そうなると妻面上部が見えない場合もあります。

 

古くからのファンの方々や保存車趣味の方々には常識のようなことだったかもしれませんが、自分自身の備忘録も兼ねて記事として残しておこうと思った次第です。

これまでに投稿した記事内でもワム60000とワラ1の区別が付いていない箇所が多数あるかと思いますが、見つけ次第訂正していきます。