場所:台湾 高雄市鼓山區鼓山一路32號 打狗鐡道故事館
保存車両:台湾電力L03
(2014年3月19日訪問)
この記事(その3)では、打狗鐡道故事館に保存されているL03ディーゼル機関車について詳しくご紹介します。非常にマニアックな内容で全ての方にご理解頂ける内容ではないと思います。
この機関車は1986(昭和61)年にドイツ・クルップ社で製造され、台中の火力発電所専用線で石炭輸送に従事していました。
2012年まで使用されましたが、2014年3月8日に保存のため打狗鐡道故事館に搬入されました。
1枚目画像からは普通の凸型機に見えます。しかし足回りは非常にゴツく、ボギー式台車にしては妙な印象です。
真横から見ると何とこの車両、中央で分断されています。そのため「凸型のD型機(B-B軸配置)」ではなく「B型機関車×2」ということになります。
しかし通常考えられるB型機重連とは違い、片方のユニットには運転台がありません。そのためアメリカ式ディーゼル機関車などに見られる「Aユニット・Bユニット」のようにも見えます。
連結部分です。棒状の専用連結器で連結されており、画像では繋がれていませんが総括制御用の電気ケーブルと空気管があります。
この構造からアメリカ式機関車のA・Bユニットとは違い、常時連結されたまま使用されたことが分かります。つまり輸送量にあわせて運転台の無いユニットを増解結することは考えられていません。
クルップ社の銘板です。
それにしてもなぜこのような珍妙な機関車が登場したのでしょうか。
液体式ディーゼル機関車黎明期には動力伝達機構の未熟さもあり(回転する台車に対応する推進軸・自在継手が作れなかった)、3軸固定式の機関車までしか作れなかったり、4軸固定ロッド式(極端に言えば無理矢理D型機を製作した)が登場するなどしました。
しかし1981年になればボギー式台車の機関車製作に何も障害は無かったはずです。それなのになぜ普通のD型機を作らずに「B+B」とも言える機関車を作ったのでしょうか?
考えられる理由としては、使用路線に極端に急な曲線があったり、急に勾配が変わる箇所があったため通常の機関車が入線出来なかったからでしょうか。しかしそれならB型機を複数作って重連させる方がよっぽど素直な発想です。
結果的に謎だらけのままですが、この機関車について何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたらお知らせ頂けると嬉しいです。