保存鉄道車両巡りの旅2

鉄道車両の静態保存車を紹介するブログです。

【台湾】高雄市 打狗鐡道故事館の車両たち(その3)

2014-03-29 18:23:00 | 台湾

場所:台湾 高雄市鼓山區鼓山一路32號 打狗鐡道故事館
保存車両:台湾電力L03
(2014年3月19日訪問)

この記事(その3)では、打狗鐡道故事館に保存されているL03ディーゼル機関車について詳しくご紹介します。非常にマニアックな内容で全ての方にご理解頂ける内容ではないと思います。
この機関車は1986(昭和61)年にドイツ・クルップ社で製造され、台中の火力発電所専用線で石炭輸送に従事していました。
2012年まで使用されましたが、2014年3月8日に保存のため打狗鐡道故事館に搬入されました。


1枚目画像からは普通の凸型機に見えます。しかし足回りは非常にゴツく、ボギー式台車にしては妙な印象です。


真横から見ると何とこの車両、中央で分断されています。そのため「凸型のD型機(B-B軸配置)」ではなく「B型機関車×2」ということになります。
しかし通常考えられるB型機重連とは違い、片方のユニットには運転台がありません。そのためアメリカ式ディーゼル機関車などに見られる「Aユニット・Bユニット」のようにも見えます。


連結部分です。棒状の専用連結器で連結されており、画像では繋がれていませんが総括制御用の電気ケーブルと空気管があります。
この構造からアメリカ式機関車のA・Bユニットとは違い、常時連結されたまま使用されたことが分かります。つまり輸送量にあわせて運転台の無いユニットを増解結することは考えられていません。


クルップ社の銘板です。

それにしてもなぜこのような珍妙な機関車が登場したのでしょうか。
液体式ディーゼル機関車黎明期には動力伝達機構の未熟さもあり(回転する台車に対応する推進軸・自在継手が作れなかった)、3軸固定式の機関車までしか作れなかったり、4軸固定ロッド式(極端に言えば無理矢理D型機を製作した)が登場するなどしました。
しかし1981年になればボギー式台車の機関車製作に何も障害は無かったはずです。それなのになぜ普通のD型機を作らずに「B+B」とも言える機関車を作ったのでしょうか?
考えられる理由としては、使用路線に極端に急な曲線があったり、急に勾配が変わる箇所があったため通常の機関車が入線出来なかったからでしょうか。しかしそれならB型機を複数作って重連させる方がよっぽど素直な発想です。

結果的に謎だらけのままですが、この機関車について何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたらお知らせ頂けると嬉しいです。

【台湾】高雄市 打狗鐡道故事館の車両たち(その2)

2014-03-29 17:00:00 | 台湾

場所:台湾 高雄市鼓山區鼓山一路32號 打狗鐡道故事館
保存車両:多数(画像と共に紹介)
(2014年3月19日訪問)

引き続き、打狗鐡道故事館に保存されている車両たちを紹介していきます。
台湾電力L07ディーゼル機関車です。1981(昭和56)年に台湾で製造され、台中の発電所専用線で石炭輸送を行っていました。専用線では2012年頃まで使用されましたが、2014年3月8日に保存のためここ打狗鐡道故事館へ搬入されました。
セミセンターキャブのD型機とごく一般的な形態です。なお文献によってはこの機関車は「L-02」と呼ばれていたり、機関車側面のプレートには「D-3」と表記されていますが、本当の形式名は分かりません。


L07機関車の後ろには貨車が連結されています。
15EF19という荷重15tの長物車で、台湾では「平車」と呼ばれます。
1911(明治44)年に日本車輌で製作され、台湾に現存する車両では最高齢のものです。その希少性が評価されたため永久保存されています。


電源行李車、45PBK32952です。1970(昭和45)年に日本車輌で製造されました。
「電源行李車」とは日本で言う「電源車(カニ24等)」に当たり、発電装置と荷物室(車両によっては郵便室や車販準備室が付いたものもあります)を持ち、冷房電源を必要とするキョ(草冠に呂)光号や復興号客車に連結されて使用されました。
現在のキョ光号はオレンジ系の塗装ですが、この保存車は旧塗装である水色系へ復元して保存されています。


35H22019です。台湾では「煤斗車」と呼ばれ日本では石炭車に当たります。荷重35tのボギー式貨車で、火力発電所への石炭輸送のために大量に製作されました。


台湾電力L03ディーゼル機関車です。前述のL07と同様に台中の発電所専用線で活躍していました。
L07、35H22019、このL03の3両は、2014年3月8日にここへ搬入されました。


荷重35tの長物車(平車)、35G20106です。
何とこの車両には怪獣を模した植栽が載せられています。日本では見られない斬新な活用法?です。貨車の横には、人が入れる程の大きさの卵の殻のオブジェもあります。


車両が保存されている辺りを遠景から。
非常に広大な公園で、談笑する人、ジョギングをする人、凧あげをする人などたくさんの人が思い思いに過ごしています。
もちろん鉄道ファンっぽい人(自分も含め)もチラホラいましたが、鉄道ファンではないであろう中高年の団体や若い女の子2人組も熱心に鉄道資料を見たり車両を観察する様子が興味深い光景でした。
日本ではオタク趣味として嫌悪や敬遠されることもある鉄道趣味ですが、台湾では鉄道に興味を持つことに抵抗は無いようです。産業遺産を大事にする国民性も関係しているでしょう。

L03ディーゼル機関車については、次の記事で詳しくご紹介します。以下その3へ続く。

【台湾】高雄市 打狗鐡道故事館の車両たち(その1)

2014-03-28 13:00:00 | 台湾


場所:台湾 高雄市鼓山區鼓山一路32號 打狗鐡道故事館
保存車両:多数(画像と共に紹介)
(2014年3月19日訪問)

台湾南部の高雄市にある鉄道博物館です。
かつてこの場所は台鐡の高雄港駅でしたが、2008年に廃止されました。2010年に広い操車場跡地を整備した公園に生まれ変わり、鉄道車両や鉄道資料が展示されるようになりました。


DT609です。この機関車はDT580という形式で、日本の9600を原設計としており1929(昭和4)年に日本の汽車製造で製作されました。


この機関車が納入された当時の台湾は日本の統治下にあり、機関車は「800形」という形式でした。その後「D98形」に変更され、第二次世界大戦後にDT580形となりました。


CT259です。日本のC55と同型車で、1938(昭和13)年に台湾へ輸出されました。日本で走っていたものを供出したわけではなく、純粋に台湾向けとして製造されました。
1982(昭和57)年まで車籍があったそうですが、その頃まで稼動状態だったのかは不明です。


日本では流線形のC55(20~40号機)が製造されましたが、「台湾のC55」であるCT250形に流線形車両はありませんでした。
なお「CT259」のナンバープレートを付けた車両が、台南市体育公園にも保存されています。しかしそちらは実際にはCT251です。どうやら保存の際、CT251とCT259が取り違えられてしまったそうです(このCT259は本来の番号に復元されています)。


35G20060無蓋貨車です。
自重17t、荷重35tのボギー式無蓋車で1969(昭和44)年に日本で製造されたそうです。おそらく日本のトキ25000がベースになっていると思います。
無蓋車の後ろには3CK2109という日本でいえば「ワフ」にあたる貨車も保存されています。


35SP32426客車です。1966(昭和41)年に川崎重工で製造された車両です。普通列車用の非冷房客車でかつては台湾全土で活躍しましたが、2014年時点では数えるほどしか走っていません。
日本のスハ43とスハ44を組み合わせたような形態です。

3回に分けてご紹介します。以下その2へ続く


【台湾】新竹県 内湾線合興駅の保存車両

2014-03-25 22:48:00 | 台湾


場所:台湾 新竹県横山郷力行村中山街1段17号 合興駅
保存車両:40TP32210、40TP32275
(2014年3月19日訪問)

台湾鉄路管理局内湾線の合興駅で保存されている客車です。
広い駅構内は現在は1本の本線を除いて公園に整備され、そこで休憩所兼駅待合室として活用されています。


40TP32210という客車です。片側2カ所に両開きドアを持ち、日本で言えば113系電車やキハ45系気動車のような近郊型に当たるでしょう。
日本では近郊型客車的な役割で50系客車が登場しましたが、少し状況が違えばこのような両開きドアの客車も登場したのかもしれません。


こちらは40TP32275です。先の40TP32210と共にインド製です。
ちなみに車両形式の付け方ですが、「40」は積車状態での総重量(40t)、「TP」はThird Passenger car(三等客車)、「32210」は32200形の10号車を示します。


車内には自由に立ち入りできますが、わずかな座席が残るのみでガランとしています。
2014年に訪問した際はどちらの客車もガランドウでしたが、2017年に確認すると40TP32210ではカフェが営業していました。40TP32275も整備されたようで、休憩所になっていると思われます。


この駅はかつてスイッチバック式の駅でしたが、現在は本線上にホームが移設されたためスイッチバックは廃止されています。
黄色い気動車は現在の本線上を走行しており、保存されている客車はスイッチバック時代の引込線に置かれています。


今は無人駅になり使われていませんが、スイッチバック時代のポイントテコや腕木式信号機、信号扱い小屋なども残ります。これらも公園整備の一環としてきれいに保存されているようです。

2017年3月26日 現存を確認


【台湾】台東市 台東旧駅の車両たち

2014-03-23 18:00:00 | 台湾


場所:台湾 台東縣台東市鐵花路369號 台東鉄道芸術村(旧台東駅)
保存車両:台鉄DR2060、DR2067、DR2069
(2014年3月21日訪問)

台湾東部の台東市に保存されている車両です。
この場所はかつて台鉄の台東駅でしたが、1992年に南廻線が開通すると台東新駅とこの台東駅の間は盲腸線として残されました。しかし2001年にこの盲腸線が廃止されたためこの駅は廃止され、台東新駅が台東駅に改称して現在に至ります。


台東市の市街地は今でもこの旧駅付近であり、現在の鉄道駅は街外れにあります。
保存されている車両はDR2050形気動附随車(日本で言えばキサハ)3両です。762mm軌間であった台東線で優等列車「光華号」として使用されました。台東線が1067mm軌間に改軌されてからは状態の良いDR2050形は台車を交換して引き続き使用されました。
下半分が黄色いこの塗装は、ナロー時代に光華号で使用されていたものです。


自重18.4tと軽量なため、気動車に牽引されるだけではなく近年は復活SL列車の客車として重宝されました。
ちなみに池上で保存されている同形は、1067mm対応へ改造後の青色塗装です。
そのため台湾の鉄道ファンからは「ドラえもん(台湾語で小叮噹)」と呼ばれています。ドラえもんは最初は黄色かったのですがとある理由から後に青くなってしまったことに由来しています。


旧駅の跡地は公園に整備され、駅舎やホームも保存されています。しかし訪問当日は改装中とのことで見学出来ませんでした。


付近には古い機関庫や給水塔、転車台も保存されています。