保存鉄道車両巡りの旅2

鉄道車両の静態保存車を紹介するブログです。

【ノルウェー】オンダルスネス駅付近の保存車両たち

2014-07-25 21:50:00 | 北欧4ヶ国

場所:ノルウェー王国 ムーレ・オ・ロムスダール県オンダルスネス オンダルスネス駅
保存車両:ノルウェー国鉄CB2系21226客車、8256025-5貨車、2軸貨車(形式不明)
(2014年7月18日訪問)

ノルウェー国鉄ラウマ線(ラウマ鉄道)の終点であるオンダルスネス駅周辺でに保存されている車両です。
フィヨルドの深部に位置し、大型客船も寄港するなどフィヨルド観光の中継地になっています。


駅舎のすぐ横に保存されている客車です。かなり古く現役で走っている同じ型の車両は無いそうです。経歴は不明ですが、屋根にはトルペード式ベンチレーターが設置されています(日本でも明治や大正時代に製造された車両にこのベンチレーターが付いていましたが、国鉄や私鉄含め昭和40年頃には全滅しています)。


車内は開放されており、休憩所に使われているようです。非常にきれいに保たれており、日本のように保存してるけど埃が積もりっ放しということはありません。


駅舎と道路を挟んだ向かい側に、貨車が置かれています。ここは港の岸壁に通じていた貨物線の跡です。
まだまだ現役の車両に見えます。レールは本線と繋がっていますが踏切部分が砂利で埋められており、ここに置かれたままで保存または再利用されていると思われます。


真横から見たところ。標準軌(1435㎜)の貨車ですが、日本の2軸貨車と比べ異常に長いです。ノルウェーとスウェーデンではこの手の貨車が少数ながら現役で活躍しています。


先程の白い貨車と同じレール上にあります。単なるプレハブのような建物でしょうか。


実はこれ、2軸貨車の下周りを再利用してその上に建物が建てられています。当然ながら鉄道の車両限界をオーバーする大きさですのでこの状態で本線を走った訳ではありません。
なぜわざわざ貨車の下周りだけを利用して建物を作ったのでしょうか?駅構内を小移動する必要があったのかもしれませんが、海のすぐ横で腐食しやすい鉄材を使うなどデメリットの方が多いと思いますが・・・。

【ノルウェー】ナルヴィク駅のSL

2014-07-24 16:32:00 | 北欧4ヶ国

場所:ノルウェー王国ヌールラーン県ナルヴィク スウェーデン国鉄ナルヴィク駅
保存車両:5(形式不明)
(2014年7月20日訪問)

北緯68度、ノルウェー最北の鉄道駅であるナルヴィク駅に保存されている車両です。このナルヴィク駅へ至る鉄道はノルウェー国内の他路線ではなくスウェーデンから繋がっており、運行はスウェーデン国鉄が行っています。
駅のホームに屋根付きで保存されています。


2-B(4-4-0)の軸配置ですが、動輪とシリンダが大きく後退した形態が珍しいです。火の粉除けと思われるタマネギ型の煙突も特徴です。
ケージは標準軌(1435㎜)ですが、それにしては小さな機関車です。


この機関車は1882年に製造され1942年までの長期間使用されました。「Bifrost」という愛称が付けられていますが、これは北欧神話が由来になっているそうです。

日本最東端の保存車とは?

2014-07-01 13:05:00 | 廃車体あれこれ

当ブログでは、保存を目的とした鉄道車両を中心に紹介しています。大雑把な区切りとして、特に国鉄末期に大量に民間転用されたいわゆる「ダルマ貨車」は対象外としています。今回、当ブログで通常は対象外としているダルマ貨車も含めての「日本最東端の車両」を探してみました。
このあたりの顛末は、先に紹介した最北端編と同じです。最北端編の記事を事前にお読み頂くことをおすすめします。


保存を目的とした車両の最東端は、別海町奥行の別海村営軌道の車両たちになります(東経145度12分)。

今回の捜索の条件として、北方四島は対象外としています。これは現状では観光や趣味目的での訪問が実質不可能であるためで、私の政治的思想とは関係がありません。
ネット上で事前に調べたところ、最北端編の時と違い捜索範囲を大幅に絞れる物件を発見していました。まずはこちらをご紹介します。

※2024年2月20日に車両の撤去状況に合わせて加筆しました。


場所:根室市温根元
保存されていた車両:ワラ1(番号不明)
(東経145度46分53秒)
温根元のオンネモトチャシ入口に置かれています。チャシとはアイヌの城の跡で、このオンネモトチャシは日本百名城にも選定されています(※この車両は撤去済みです)。
このワラ1があるお蔭で、捜索範囲はこれより東側約2.5km四方ほどの範囲に限定されました。捜索は前回同様自動車で行い、運転しながらですがかなり細い道まで探しました。そして発見出来たのが以下の物件です。

場所:根室市納沙布
保存車両:ワム60000(番号不明)
(東経145度48分45秒)
納沙布岬灯台より約300m西側に置かれています。1度黄緑色で塗装されたようですがかなり腐食が進み、標記類の判読は不可能です。漁具や資材の保管庫に使われているようです。
「日本最東端」という事以外、現車は特に変哲の無い典型的なダルマ貨車です。

実は納沙布地区には、この他に1件ダルマ貨車があります。順にご紹介します。

場所:根室市納沙布
保存車両:レム5000形レム63?2(「?」部分は判読不能)
(東経145度48分45秒)
2番目に東に位置する廃車体です。扉はシャッターに改造されていますが側面の青帯が良い状態で残ります。
右側に小さく写るのは日本最東端と思われるバスの廃車体です。


場所:根室市納沙布
保存されていた車両:ワム80000(番号不明)
(東経145度48分41秒)
3番目に東にあった車両です(※この車両は撤去済みです)。民家の庭先で物置に使われているようです。


場所:根室市納沙布
保存車両:ワラ1(番号不明)
(東経145度48分30秒)
3番目(かつては4番目)に東にある車両です。同じ納沙布地区でも交番付近からは少し離れた場所にあります。


場所:根室市納沙布
保存されていた車両:レム5000(番号不明)
(東経145度48分28秒)
5番目に東にあった車両です。上記の3番目(かつては4番目)のワラ1とは30m程しか離れていません。車両の背後は海でかなり過酷な環境に置かれていますが、錆以外は現役当時の姿をよく残しています。

続いて納沙布地区からは外れますが、冒頭のオンネモトチャシより東側にある車両を紹介します。

場所:根室市珸瑤瑁(ごようまい)3丁目
保存車両:レム5559
(東経145度48分20秒)
4番目(かつては6番目)に東にある車両です。塗装が剥がれかけていますが良く原形を保っています。


場所:根室市珸瑤瑁1丁目
保存車両:ワラ1形(番号不明)
(東経145度47分48秒)
5番目(かつては7番目)に東にある車両です。現役当時の塗装がそのままで置かれていますが、番号部分は腐食していて判読出来ませんがワラ1形です。

意外なことに東の果てにかなりの廃車体を確認出来ました。オンネモトチャシの貨車は8番目に東に位置していましたが撤去されました(現在オンネモトチャシ以東には5両の貨車が存在します)。
海沿いの地域ですので塩害や強風などかなり過酷な環境ですが、国鉄貨車の頑丈さを思い知らされます。
ダルマ貨車は体系的なデータが存在せずほとんどのファンに見向きもされてこなかった存在ですが、国鉄民営化からもうすぐ30年が経とうとする中で徐々に数を減らしていくことと思います。当たり前に見られる光景が当たり前ではなくなる時代が来ると思うと、記録の大切さを感じさせられます。
(2014年6月調査、2024年2月加筆修正)

2015年12月8日 上記車両の現存を確認。