保存鉄道車両巡りの旅2

鉄道車両の静態保存車を紹介するブログです。

【デンマーク】オーデンセ デンマーク鉄道博物館の車両たち(その3)

2015-11-05 19:41:00 | 北欧4ヶ国

場所:デンマーク王国 オーデンセDannebrogsgade24 デンマーク鉄道博物館
保存車両:多数
(2015年9月2日訪問)

(その2)記事からの続きです。
718号電車です。1933年に製造され、デンマーク初のSライン(近郊電車。ドイツではSバーンと呼ばれます)としてデビューしました。1972年までの長期にわたり活躍しました。


フォードV8を改造したモータートロリー(保線等の巡回車と思われます)です。


SNNB3です。1910年に製造されたC形タンク式蒸気機関車です。小さな車体に似合わない大きなスノープロウを装備しています。


1501号です。1981年に製造されたディーゼル機関車です。おそらく電気式と思われ、出力3300馬力、自重115t、最高速度175km/hです。
なお、同形機は2015年時点でもまだまだ現役で客車や貨車の牽引に活躍しています。この1501は第1号機ということから保存されているのでしょうか。


1112号です。1954年に製造されたディーゼル機関車で出力1500馬力、自重98.6t、最高速度133km/hです。
なおこの機関車はいわゆる西側諸国での標準機として各国へ納入されており、ハンガリーではM61という形式です。その他にスウェーデンやノルウェー、西ドイツ等にも納入されています。


片側の側面は大きく欠き取られ、巨大なエンジンが収まっている様子を観察出来ます。また運転室にも立ち入ることが出来、運転シミュレーターが設置されています。


博物館の屋外にも多数の車両が保存されています。これらの中には動態保存されているものがあり学校休暇日には走行するそうですが、訪問当日は走行しておらずどれが動態保存車なのかは不明です。
手前側の客車はFE12140で、1929年に製造されました。


MH322です。1961年に製造されたディーゼル機関車で、入換に使用されたと思われます。ドイツにもほぼ同形態の機関車がいます。


114号貨車です。小型で古典的な外観ながら、三角の屋根が珍しい形態です。


ME35です。客車の様な外観ですがエンジンを積んだ気動車です。


一番手前はME35、その後ろは同じように客車の様な気動車であるM5です。


番号は不明ですが「シュガータンカー」とされる貨車です。1958年に製造され、後継車が登場した1972年に引退しました。
「シュガートレイン」と聞くとサトウキビ運搬列車を思い浮かべますが、デンマークでは気候的にサトウキビは育たないと思われますので、この貨車は糖蜜輸送用ではないかと思います。


1846号です。説明板を撮り損ねてしまったので電車なのか気動車なのかは不明です。片側は3軸台車になっています。


No,322です。1864年に製造されましたが、当初から側面が無い遊覧客車だったのか、元は普通の客車だったのかは不明です。


503383号貨車です。2軸のタンク車です。


この車両のみは近くで観察する事が出来ず、博物館建屋の窓越しに撮影しています。
戦車を載せた長物車です。戦車も含めて保存されているのか、イベント等でたまたま置かれていたのかは不明です。

3回に渡りデンマーク鉄道博物館をご紹介しました。デンマークの鉄道にゆかりの深い貴重な車両が多数保存されています。各車両には詳細な説明板が設置されており、量・質ともにデンマークナンバー1の保存施設です。

【デンマーク】オーデンセ デンマーク鉄道博物館の車両たち(その2)

2015-11-05 14:39:00 | 北欧4ヶ国


場所:デンマーク王国 オーデンセDannebrogsgade24 デンマーク鉄道博物館
保存車両:多数
(2015年9月2日訪問)

(その1)記事の続きです。
1枚目画像は、現在デンマークで活躍する特急型気動車・IC3の実物大モックアップです。


自動車に鉄輪を付けた車両です。1933年に誕生し、線路の巡回に使用されたと思われます。
自動車のタイヤを鉄輪に置き換えただけで線路を走行出来るのは、標準軌の強みでしょうか。


No,931です。1910年に製造され、1958年まで使用されました。動輪2軸の4-4-2(2B1)の軸配置の急行用蒸気機関車です。


No,994です。1937年に製造されたC形(動輪3軸)の大型蒸気機関車です。


6388号貨車です。何かの容器が積まれていますが、積荷は分かりません。
貨車の前のものは「モータートロリー」というもので、1928年から使用されていたそうです。現在の日本のアントに当たるような入換用機械ではないかと思います。


No,994の隣には、保線用の軌道自転車や巡回車が保存されています。


20308号貨車です。DSB(デンマーク国鉄)の標記や王冠のマークが描かれています。


この貨車には一段高い場所に手ブレーキ(ハンドブレーキ)を扱う小屋が設置されています。その中にも人形が配置されているのは芸が細かいです。
列車全体にブレーキをかける貫通ブレーキが無い当時は、ブレーキをかける際には車掌や制動手が各車両を渡り歩いて手ブレーキをかけていました。動く車両の屋根を歩くので危険であり、当然ながら列車全体にブレーキが作用するには時間がかかりました。
こんな方式が使われていた頃は、列車は1日に数往復しか走っておらず速度が低い時代でした。


No,345です。D形のタンク式蒸気機関車です。


1号客車です。サロンワゴンと称され1871年に製造されました。下回りは見えませんが、3軸客車です。
車内には豪華なソファが並んでいることから、貴賓車か王室用だったと思われます。


1275号客車です。1932年に製造され、1982年までの長期間使用されました。


S2号客車です。1854年に製造されたサロンカーです。台枠と車体だけになっており足回りは失われています。
木材がむき出しの状態ですが、大きな窓が設置されていることから往時の豪華さを偲べます。


8号客車です。1900年に製造され1939年まで使用されました。こちらもサロンワゴンで、車内には大きなソファが設置されています。


これは王室専用客車に掲げられているものです(客車全体の画像は無し)。デンマークの国章です。先程のサロンワゴンも王室専用車に随伴して使用されたのでしょうか。

(その3)に続く


【デンマーク】オーデンセ デンマーク鉄道博物館の車両たち(その1)

2015-11-05 00:34:00 | 北欧4ヶ国

場所:デンマーク王国 オーデンセ Dannebrogsgade24 デンマーク鉄道博物館
保存車両:多数
(2015年9月2日訪問)

デンマーク中央部のフュン島オーデンセにある鉄道博物館です。デンマークで最大の鉄道保存施設で、多数の車両が保存されています。
オーデンセ駅のすぐ裏にあり、かつての機関区を改装したものと思われます。画像が多いため3記事に分けてご紹介します。


No,45です。動輪2軸のテンダー式蒸気機関車です。1869年から1928年まで使用されました。古い車両ですが最高速度は90km/hだそうです。


12と書かれた車両。かなり古典的な蒸気機関車ですが、連結器や前照灯もあるため立派な鉄道車両のようです。入換に使用したのでしょうか?


714号です。日本だと明治時代のマッチ箱客車の様な車両で、側面から各個室に乗車するタイプの客車です。


1号客車です。先程の714号と比べるとかなり豪華な車両です。「1」という番号から貴賓車だったのかもしれません。


No,125です。1882年に製造され、同時期に開業した簡易線で活躍しました。簡易線用のため自重は23.3tと軽い機関車です。1948年まで使用されました。


No,8です。除雪用の貨車で、機関車に後押しされて使用されたと思われます。単に雪を左右によけるだけではなく、すくい上げるような形態が好まれたのでしょうか。


No,40です。1868年に製造され、1947年まで使用されました。動輪2軸のテンダー式機関車ですが、先輪が無く0-4-2の軸配置が珍しいです。


2804号です。デンマークに鉄道が開業した際の第一号の貨車として1862年に製造されました。貨物だけでなく乗客を乗せる事もあったようです。
車両の手前には荷車と荷扱いをする係員の人形が置かれています。ここの博物館は随所に人形や小物が配置され、車両の現役当時を彷彿とさせる展示が行われています。


No,78です。1875年に製造され1934年まで使用されました。デンマークは雪が多いためか、どの機関車も前面に大きな排障器が取り付けられています。デンマークの国旗を模したと思われる赤白のバンドが煙突に巻かれています。


No,318です。1898年に製造され1958年まで使用されました。この機関車は、タンク式の蒸気機関車です。


57号です。1953年に製造され、入換などに使用された小型の機関車かと思われます。


No,10 498です。1900年に製造され1935年まで使用されました。何と2階建て客車で、全長9.7mの2軸客車ながら全高は4.2mもあります。
1階は側面から出入りする形で2階は外階段を利用することから、車内で1階と2階を行き来する事は出来ませんでした。こんな巨大な車両を作れるのも標準軌だからこそでしょうか。


オリエント急行の客車も保存されています。3929号です。
側面にはデンマークのコペンハーゲンとフランスのパリを結ぶサボが取り付けられています。余談ですがオリエント急行が走っていた当時は海を跨ぐ鉄道橋が無いため、客車は連絡船で航送されていたと思われます。


4247号です。こちらは食堂車です。


4247号の室内。客席には人形が配置され、テーブルの上の料理まで再現されています。厨房部分では料理中のコックや鍋類まで再現する拘りようです。
このように展示されると引退した車両も生き生きとして見えますね。

(その2)へ続く


【ドイツ】ベルリン ドイツ技術博物館の車両たち(その3)

2015-11-01 14:41:00 | ドイツ

場所:ドイツ ベルリンTrebbiner Straße 9 ドイツ技術博物館
保存車両:多数
(2015年8月27日訪問)

(その2)記事からの続きです。
手前の青い車両は202-003-0です。1971年に試作された、交流誘導電動機を搭載した電気式ディーゼル機関車です。


202-003-0の反対側の前面。何んとも異様な形ですが、後年に高速度試験を行う際に改造されたそうです。この高速度試験のデータが、現在も走るICEの開発に役立てられているようです。


V180-0075です。1965年に製造されたDR(東ドイツ国鉄)のディーゼル機関車です。


V200-018です。1957(昭和32)年に製造され、DB(西ドイツ国鉄)で使用されました。液体式ディーゼル機関車です。先のV180とは同世代の機関車で、東西に分割されたドイツでそれぞれ活躍していました。
日本ではDD13やDD51などの設計で大出力の液体式変速機開発に四苦八苦していた頃に、このような大型の液体式ディーゼル機関車が実用化されていたことに、ドイツの技術水準の高さが窺えます。


VT95形レールバスです。「795-465-4」と標記されています。附ずい車(キサハ)や制御附ずい車(キクハ)も含めると1000両以上が製造され、ローカル線で活躍しました。
この車両を参考に作られたのが、日本のキハ01~03です。


一番手前は入換用の小さなディーゼル機関車です。標準軌の車両ですが、バッファーの高さからこの車両の小ささがお分かり頂けるかと思います。


標準軌の二軸貨車に、ナローゲージの機関車が載せられています(形式不明)。


軌間600mmのナローゲージの蒸気機関車です。ナベトロが連結されています。


鉱山で使われた電気機関車です。画像では切れてしまっていますが、パンタグラフは通常の物の他に斜め側面へ開く物が搭載されており、3器設置されています。使い分けていたのでしょうか?


ベルリンのSバーン(地下鉄または近郊電車)で使用された車両です。下回りは無く、前面のみがカットモデル状態で置かれています。


扇形庫の横に置かれていた鉱車。軌間508mmかそれよりも狭いかというような小さな車両です。プランター代わりになっているのか草が生えています。

3回に渡りドイツ技術博物館の車両をご紹介しました。帰国後に調べたところ、撮影し損ねている車両がいくつかあったことが分かりました。くまなく探したつもりだったのですが、改めてこの博物館の広大さを感じさせられます。