保存鉄道車両巡りの旅2

鉄道車両の静態保存車を紹介するブログです。

【台湾】花蓮市 鉄道文化園区の車両たち

2015-05-07 20:38:00 | 台湾


場所:台湾 花蓮縣花蓮市中山路71號 鉄道文化園区
保存車両:多数(画像と共に紹介)

花蓮市にある鉄道保存施設です。かつての花蓮駅の場所が整備され、当時の車両や鉄道施設が保存されています。なお現在の花蓮駅は、この場所より3kmほど離れた場所にあります。

SLはLDT103で、日本統治時代の1942(昭和17)年に日本の東急車両で製造されました。自重40tの堂々たる外観ですが762mm軌間のナローゲージ用で、ナロー時代の台東線で1969(昭和44)年まで活躍しました。
現在の花蓮駅前で保存されていましたが、2014年にこの鉄道文化園区へ移設されました。


LDT103の後ろに置かれているのは、LCC5801です。こちらもナローゲージ用で、ボギー台車を履く有蓋貨車です。
自重10t荷重15tで、この車両もナローとしては大型かと思います。


LOC7363無蓋貨車と、LCC5006有蓋貨車です。
これもナロー用です。LOC7363は自重3.3t荷重7tです。LCC5006はかなり古典的な外観で、自重2.8t荷重5tと、現在日本国内で使われている5tコンテナ並でしかありません。
台東線のナローゲージ車両は、連結器は朝顔型に似たピンリンク式ですが列車全体にブレーキをかけるためのエアーホースが付きます。長編成でナローとしては高速で走行する事情ゆえかと思います。


LFT7602タンク貨車です。台湾で最古の「糖蜜車」だそうです。台湾はサトウキビの栽培が盛んで製糖工場も多数あったため、その製品輸送に使われたのでしょうか。


小さな車両ですが大切に保存されています。自重4.8t荷重6t積載容量6.5立方メートルとされています。古い車両のためか足回りは簡素です。

これらの貨車は全て、軸重(車輪1軸にかかる重さ)6t以下になるように設計されているようです。そのためナロー時代の台東線の許容軸重は7~10t程度だったと思われます。これは762mm軌間としてはかなり立派な線路であり、日本国内では5t以上の軸重に対応できる路線は多くありませんでした。


夜はSLがライトアップされます(撮影したのは夕方ですが)。

鉄道文化園区は2015年4月時点では8:30~17:00開園、月曜と祝日は休園とされていますが、糖蜜車以外は休園日でも自由に立ち入れる場所に保存されています。
かつて現花蓮駅前で保存されていたナローの気動車や寝台車もこの鉄道文化園区へ移設されたという情報を聞いたことがありますが、訪問当日は見当たりませんでした。


【台湾】高雄市 橋頭糖廠の車両たち(その2)

2015-05-05 10:12:00 | 台湾

場所:台湾 高雄市橋頭区糖廠路24号 橋頭糖廠
保存車両:多数
(2015年4月19日訪問)

(その1)に引き続き、橋頭糖廠に保存されている車両をご紹介します。
No,941機関車と貨車3台、No,918機関車です。この貨車は側面に金網が取り付けられています。


番号不明(ナンバープレートが付いていますが、画像からは判読不能)と貨車。後ろには人車があります。


No,849機関車と貨車と人車。貨車は金網が張られ籠のような外観のものと有蓋車があります。どれも小さな2軸貨車です。


SLも保存されています。1948(昭和23)年にベルギー・TUBIZE社で製造された353号機です。
旗山糖廠(高雄市旗山区)で使用されていたそうです。


No,942機関車とNo,913機関車と貨車です。
1両目の貨車には何やら資材が詰め込まれています。3両目と4両目の貨車は、観光客を乗せるため屋根が取り付けられています。


No,920機関車と貨車(平車)。機関車はレストア待ちなのか放置されているのかあまり状態は良くありません。


番号不明の機関車とNo,908機関車。こちらはさらに状態が酷く、No,908はボンネットカバーがありません。放置されているのか、これから整備されるのでしょうか・・・。


こんな貨車も保存されています。自動連結器とピンリンク式連結器を装備しています。これは施設内に3線軌条(762mmと1067mm)があり、そこで双方の貨車を繋ぐアダプター役の貨車かと思われます。
台枠上の箱は、デッドウエイトだと思います。


正面から見た様子。貨車は762mm線路に載っています。自動連結器が偏って取り付けられていますが、これが3線軌条があったことを物語ります(自動連結器をセンターにすると、4線軌条にしなければなりません)。
しかしこの方式ですとアダプター役の貨車の向きは固定され、方向転換すると1067mm規格の貨車を連結出来なくなります。

橋頭糖廠では五分車の動態保存も行われ、貨車を改造したトロッコに乗車する事も出来ます(訪問当日は都合により未乗車)。

【台湾】高雄市 橋頭糖廠の車両たち(その1)

2015-05-03 21:34:00 | 台湾

場所:台湾 高雄市橋頭区糖廠路24号 橋頭糖廠
保存車両:多数
(2015年4月19日訪問)

高雄市北部の橋頭糖廠で保存されている車両たちです。
台湾ではサトウキビの生産が盛んで、橋頭糖廠は日本統治時代に建設された製糖工場です。現在では工場は閉鎖されてしまいましたが、当時の設備を利用した見学施設になっています。そして原料輸送や製品出荷のためにナローゲージが敷かれていました。
軌間762mmであり、国際標準の1435mmの約半分であることから「五分車」と呼ばれています。

機関庫が残され、静態保存と思われますが多数の機関車が留置されています。


機関庫前に置かれているNo,950機関車と番号不明の機関車。足回りはロッド無しの3軸です。


このNo,13機関車のみは軌間1067mm用です。一般的な自動連結器が取り付けられています。機関車前のレールが3本あるのが分かるでしょうか。1067mmと762mmが3線軌条になっていると思われます。


当時のヤード跡と思われる場所でも多数の車両が保存されています。No,923機関車と貨車と人車。貨車は原料のサトウキビや製造した製品の輸送に使われていたのでしょうか。


No,918機関車と3両の貨車。


貨車はいずれも2軸で連結器はピンリンク式です。このような車両がガチャガチャと走り回っていたんですね。


番号不明のレールカー。自走できるようですが、正面には前照灯のみでワイパーや警笛が無いなど変な車両です。屋根上のピンク色っぽいものはパトライトかと思います。
職員輸送や巡回に使用されたかと思われます。


そしてこのレールカーは、車体中央部に運転席があります。床から飛び出しているレバーは逆転レバーやマスコン(スロットル)、丸いハンドルは手ブレーキだと思います。
このような構造だと「これ以上簡略化する余地が無い」ほど構造が単純になるメリットがあります。しかし運転士の前後に乗客や荷物を載せるので、運転士の視界が最悪になるデメリットがあります。
余談ですが、旧ソ連にもこのような構造のレールカーが存在しました。


番号不明の機関車。同じような外観の機関車でも、ライトや警笛の取り付け方がそれぞれ違うのが面白いところです。
これも下周りは3軸です。Nゲージのバックマン(後に河合商会で販売)のCタイプディーゼル機関車のような下回りです。

(その2)へ続く

【台湾】花蓮縣 光隆博物館の車両たち

2015-05-01 21:35:00 | 台湾


場所:花蓮縣新城郷康楽村加湾1-2 光隆鉱石博物館
保存車両:LCK31、DR2058、DR2066、DR2067、DR2068、貨車(番号不明)
(2015年4月19日訪問)

台湾東部の街花蓮。その花蓮駅の隣に北埔駅があり、北埔駅より北へ約3km離れた光隆鉱石博物館に保存されている車両です。

SLは762mm軌間のナローゲージです。
このLCK31の来歴は複雑です。1912(大正元)年にドイツ・コッペル社で製造されました。日本到着後は国鉄旭川工場で組み立てられ、「ケ204」として留辺蘂へ配置され湧別軽便線(現在の石北本線)で使用されました。
しかしわずか5年後の1917(大正6)年に湧別軽便線が1067mmに改軌されたため廃車され、台湾へ渡り台東付近の軽便線で使用されました。第二次世界大戦後も長く使用され、廃車後はこの地で静態保存されています。


LCK31の後ろには貨車が保存されていますが、これは1067mm軌間の貨車です。
形式は不明ですがかなり古典的な外観で、日本なら大正から昭和初期にこのような貨車が製造されていました。


軌間が異なりますので、保存されているコンクリート台には762mmと1067mmの2種類の線路が敷かれています。画像は、両者が隣接する部分。


柵の内側の敷地内にも車両が保存されています。たくさんのバイクが停まっていますが、従業員用の駐輪場かと思われます。


(この画像のみ許可を得て撮影)
DR2050形気動車が4両保存されています。物置か従業員の休憩所に使われているようです。
DR2050形は、ナロー時代の台東線での最速列車「光華号」に使用されました。1982(昭和57)年に台東線が1067mmへ改軌されると光華号は廃止されました。
しかし状態の良いDR2000形(気動車)とDR2050形(気動附随車)は台車を1067mmのものに交換し、普通列車に使用されました(車体は軽便サイズのままでした)。
現在でも現役の車両がいて、軽量な事から動態保存のSL列車に使われているようです。