保存鉄道車両巡りの旅2

鉄道車両の静態保存車を紹介するブログです。

【ドイツ】ベルリン ドイツ技術博物館の車両たち(その3)

2015-11-01 14:41:00 | ドイツ

場所:ドイツ ベルリンTrebbiner Straße 9 ドイツ技術博物館
保存車両:多数
(2015年8月27日訪問)

(その2)記事からの続きです。
手前の青い車両は202-003-0です。1971年に試作された、交流誘導電動機を搭載した電気式ディーゼル機関車です。


202-003-0の反対側の前面。何んとも異様な形ですが、後年に高速度試験を行う際に改造されたそうです。この高速度試験のデータが、現在も走るICEの開発に役立てられているようです。


V180-0075です。1965年に製造されたDR(東ドイツ国鉄)のディーゼル機関車です。


V200-018です。1957(昭和32)年に製造され、DB(西ドイツ国鉄)で使用されました。液体式ディーゼル機関車です。先のV180とは同世代の機関車で、東西に分割されたドイツでそれぞれ活躍していました。
日本ではDD13やDD51などの設計で大出力の液体式変速機開発に四苦八苦していた頃に、このような大型の液体式ディーゼル機関車が実用化されていたことに、ドイツの技術水準の高さが窺えます。


VT95形レールバスです。「795-465-4」と標記されています。附ずい車(キサハ)や制御附ずい車(キクハ)も含めると1000両以上が製造され、ローカル線で活躍しました。
この車両を参考に作られたのが、日本のキハ01~03です。


一番手前は入換用の小さなディーゼル機関車です。標準軌の車両ですが、バッファーの高さからこの車両の小ささがお分かり頂けるかと思います。


標準軌の二軸貨車に、ナローゲージの機関車が載せられています(形式不明)。


軌間600mmのナローゲージの蒸気機関車です。ナベトロが連結されています。


鉱山で使われた電気機関車です。画像では切れてしまっていますが、パンタグラフは通常の物の他に斜め側面へ開く物が搭載されており、3器設置されています。使い分けていたのでしょうか?


ベルリンのSバーン(地下鉄または近郊電車)で使用された車両です。下回りは無く、前面のみがカットモデル状態で置かれています。


扇形庫の横に置かれていた鉱車。軌間508mmかそれよりも狭いかというような小さな車両です。プランター代わりになっているのか草が生えています。

3回に渡りドイツ技術博物館の車両をご紹介しました。帰国後に調べたところ、撮影し損ねている車両がいくつかあったことが分かりました。くまなく探したつもりだったのですが、改めてこの博物館の広大さを感じさせられます。

【ドイツ】ベルリン ドイツ技術博物館の車両たち(その2)

2015-10-28 18:13:00 | ドイツ

場所:ドイツ ベルリンTrebbiner Straße 9 ドイツ技術博物館
保存車両:多数
(2015年8月27日訪問)

(その1)記事からの続きです。
かつて操車場で使われていたであろう転車台と扇形庫が残され、ここにも車両が保存されています。


客車が扇形庫から飛び出した状態で置かれています。扇形庫と車両の隙間にはアクリル板が設置されており、通り抜け出来ないようになっています(隙間は狭いため見物客が怪我しないようにとの配慮かと思われます。)。


扇形庫の外に置かれている2軸のタンク貨車。保存されているのでしょうが錆が目立ちます。これから修復されるのでしょうか。


先程の扇形庫から飛び出していた車両の庫内側。こちら側の車体は緑色になっています。この客車は半室食堂車だったようです。


何の変哲もない木造貨車に見えますが、この貨車はナチスドイツがユダヤ人を強制収容所へ移送する際に使われたものです。側面には風がやっと入るような小さな窓しか無く、これに押し込められて輸送されていたかと思うと何とも言えない気持ちになります。
このような負の遺産も保存するドイツの人々の考え方は見習いたいものです。


BR50 001です。5軸の動輪を持つ貨物用蒸気機関車です。


BR52 4966-2です。先程のBR50を戦時設計に変更し各部を簡略化した機関車で、6000両以上が製作されました。日本なら戦時設計のD51やD52に当たる車両です。


BR01 1082です。3軸の動輪を持つ急行型蒸気機関車で、最高速度は140km/hだそうです。


E19 01電気機関車です。1938年に製造されました。正面にナチスドイツの国章であるハーケンクロイツ(鉤十字)と鷲が取り付けられています。
現在のドイツではハーケンクロイツを公共の場で掲出する事が法律で禁じられています。手前に吊るされたパネルに何が書かれているのかは分かりませんが、ハーケンクロイツの掲示を禁止する獅竄アの機関車が許可を得て特別に展示されている獅ヲしているのだと思われます。


反対側の前面はナチスドイツの国章が取り外されています。


E71 28電気機関車です。


E44 131電気機関車です。


BR97 504蒸気機関車です。5軸の動輪を持つタンク式機関車です。日本にも同じような形態の機関車があり、4100と4110がE型のタンク機関車です。


扇形庫の前に置かれていた謎の車両。小さな車輪とバッファーが無い姿ながら標準軌の線路に載っています。どう見ても後から乗せられたであろう上回りも怪しげなものです。

【ドイツ】ベルリン ドイツ技術博物館の車両たち(その1)

2015-10-25 16:50:00 | ドイツ

場所:ドイツ ベルリンTrebbiner Straße 9 ドイツ技術博物館
保存車両:多数
(2015年8月27日訪問)

ドイツの首都・ベルリンの中心部にある博物館です。特に鉄道関連の展示が充実していますが、航空機や船舶、印刷や映画技術など様々な工業関連の展示もある巨大な博物館です。
かつてのベルリン・アンハルター駅の跡地に建てられており、たくさんの車両が保存されています。
画像が多いため、3記事に分けてご紹介します。また、各車両の解説はほぼ省略して画像を紹介する程度に留めます。

1枚目画像は、「BEUTH」というプレートが掲げられた蒸気機関車です。鉄道黎明期のものと思われます。これはレプリカだそうです。


こちらは、最初期の貨車と台車のようなものです。手前側の車輪にはフランジが無く、レールがL字となることで脱線しないようになっています。


2軸貨車です。かつては上回りがあったように見えますが、どうだったのでしょうか。


「680」と書かれた蒸気機関車です。通常は車輪内側に備えられる軸バネと台枠が車輪外側に露出している特異な外観です。


680形の後部です。


古典客車を復元したものと思われます。コンパートメントタイプの客室です。


「2755」と番号が書かれた客車です。


おもちゃのように見えますが鉄道車両です。1879年に製作された電気機関車で、ここに置かれているものはそのレプリカです。


蒸気機関車のキャブ部分のカットモデルです。キャブを見学出来るようになっています。
スペースの都合からこのような展示になったのか、ひょっとすると機関士の養成用設備だったのかもしれません。


形式不明の蒸気機関車です。


復元されたと思われる昔の客車です。手前側の客室の椅子はかなり豪華で、一等席のような客室かと思われます。


ガーラット式の蒸気機関車・南アフリカ鉄道83です。機関車の前後に炭水車を装着したような外観が特徴です。こちらは前側です。


こちらは後ろ側です。


ナローゲージ用と思われる小さな客車です。

(その2)へ続く

【ドイツ】ニュルンベルク DB博物館の車両たち(その2)

2015-09-30 21:05:00 | ドイツ

場所:ドイツ ニュルンベルク Lessingstrasse 6 90443 DB博物館
保存車両:多数
(2015年8月26日訪問)

(その1)記事からの続きです。
蒸気機関車、Bay.BV型ノルドガウ号です。1853年に製造されたドイツで現存するSLとしては最古のものです。


この機関車は、車体の片側が切開され内部の構造が分かるようになっています。見づらいですが、ボイラー付近の管で赤色と青色のLEDが光っているのが分かるでしょうか。蒸気機関車が動く仕組みを説明するための仕鰍ッです。
近くのボタンを押すとこのようにLEDが光り、石炭を燃やすと水を加熱して煙突から排気されたり、ボイラーで熱せられた水がシリンダーに伝わったりする順路が分かります。


E6902号電気機関車です。1909年にシーメンス社で製造された車両です。何と1982年まで現役だったそうです。


右側の車両は蒸気機関車アドラー号、左側はICE3のモックアップです。
アドラー号は1835年にドイツで初めて開業した鉄道で使用されたSLです。これは復元されたもので、1935年にアドラー号100周年を記念して復元されました。しかし2005年の火災で復元車は消失してしまったため、2007年に2度目の復元車として蘇ったのが現在保存されている車両です。
現在でもイベント列車の牽引を行うため博物館の外へ出る事があるそうです。


青い塗装と各所に金の装飾が施された豪華な客車です。これはバイエルン国王・ルートヴィヒ2世が乗車するサロンカー(貴賓車)です。屋根上に載せられた王冠が王族の権威の象徴でしょうか。


サロンカーと同様の意匠の展望客車です。中央に小さな客室があり、両端がオープンデッキになっています。


5号客車です。1872年に製造され、プロイセン王国首相・ビスマルクが使用した貴賓車です。
ルートヴィヒ2世の貴賓車から一転して地味な外観ですが、一般の客車と区別しにくいようにあえてこのような外観になったそうです。


本館に収蔵されている車両は少なめですが、縮尺1/10の模型が大量に保管されています。とても精密なものや中には製作から100年以上経った模型もあるそうで見応え充分です。


2階にはHOゲージの巨大なジオラマが設置されています。中央で操作する人の大きさからジオラマの広大さが分かるでしょうか。模型はメルクリンのものと思われます。

【ドイツ】ニュルンベルク DB博物館の車両たち(その1)

2015-09-30 20:26:00 | ドイツ


場所:ドイツ ニュルンベルク Lessingstrasse 6 90443 DB博物館
保存車両:多数
(2015年8月26日訪問)

ドイツ中南部の都市ニュルンベルク。その市街中心部にあるDB博物館で保存されている車両たちです。DB(ドイツ鉄道)直営の施設で、貴重な車両や鉄道資料が数多く収蔵されています。
紹介する車両は、本館に展示されているもののみです。少し離れている車両ホール、ゴブレンツ支所、ハレ(ザーレ)支所などにも車両が保存されているようですが、そちらは時間の都合で見学出来ませんでした。
画像が多いため、2記事に分けてご紹介します。


1829年に製造された石炭車です。イギリスで使用されていたもので、イギリスより永久貸与されているそうです。連結器がありませんが、馬に牽かれていたようです。


1835年にドイツで初の鉄道であるバイエルン・ルートヴィヒ鉄道が、ここニュルンベルクに開通しました。その際に用意された客車です。コンパートメント式の車内に車体側面より出入りする、日本で言えば明治期のマッチ箱客車の様な構造です。


2両のSLは、右がS2/6型3201号機、左がBad.IX型フェニックス号です。
S2/6は1906年に王立バイエルン邦有鉄道が高速試験用として製造した機関車で、2B2(4-4-4)の軸配置を持つ機関車です。
フェニックス号は1863年に製造された機関車で、2A(4-2-0)の軸配置を持つシングルドライバー(動輪1軸)式です。最高速度は120km/hだそうです。


S2/6型3201号機の動輪付近。動輪は直径2.2mもある巨大なものです。1907年に行われた高速度試験では154km/hを記録し、当時の世界最速記録となりました。日本はまだ明治時代だった頃にこれほどの速度を出せる機関車があったことに驚きます。


161号客車です。1868年に製造された1等2等合造車です。この客車は室内中央に通路があるため、側面に扉がありません。


Berlin1419号です。屋根が2段になっている郵便車で、1888年に製造されました。下回りは固定3軸です。


G3型3143号蒸気機関車です。1884年に製造され、プロイセン鉄道で使用されました。
動輪3軸(C形)の貨物用機関車で最高速度45km/hだそうです。貨物用らしからぬ美しい緑色に塗装されています。


2軸の無蓋貨車です。1870年に製造されチェコで使用されていました。車輪のスポークにも装飾が施されていることが分かります。

(その2)へ続く