保存鉄道車両巡りの旅2

鉄道車両の静態保存車を紹介するブログです。

貨車改造駅これくしょん(本社直轄編)

2016-01-28 21:46:00 | 貨車改造駅

かつての国鉄北海道総局、現在のJR北海道本社管轄地域にある貨車改造駅です。当ページでは「本社直轄」と記載します。
以前は札沼線や日高本線に貨車改造駅が多数存在しましたが、2021年4月以降は以下の1駅のみになっています。


◆日高本線浜厚真駅

日没後の撮影のため暗い画像で申し訳ありません。
ヨ3500を改造したと思われる貨車改造駅舎です。かつては薄いピンク色に塗装されていましたが、2015年6~12月の間にこのような塗装に変更されました。


元の車体にあまり手を加えず再利用されています。本社直轄地域で多く見られる形態で、デッキは両端とも出入口として活用されています。妻面の開口部には車体外側からアクリル板を取り付けています。


トイレはありません。側面窓1つ分を潰して配電盤を収める機器室を設置しています。照明は変更されていますが、天井は車掌車時代のものに塗装しただけかと思われます。

本社直轄エリアの貨車改造駅は、最低限の改造で済ませている印象を受けます。旭川や函館のように手の込んだ改造が行われた地域とは対照的です。


【目次】
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貨車改造駅これくしょん(函館支社および道南いさりび鉄道編)

2016-01-06 20:14:00 | 貨車改造駅

函館支社管内および道南いさりび鉄道の貨車改造駅です。函館支社は、北海道内では函館本線熱郛駅以南および室蘭本線礼文駅以西が管轄エリアになります。

◆函館本線二股駅

ワラ1を改造したとされる貨車改造駅です。ワラ1を改造したものは道内では唯一の存在です。
有蓋車を改造した貨車改造駅は、道内では函館支社にしかありません。


かつて貨物を積み込むための側引戸を撤去して壁を作り、そこに出入口を設けました。窓は元の車体に穴を開けています。


元々人を乗せる車両ではないため、壁と天井の内装が新調されています。トイレは無く、ストーブが設置されたことも無いようです。


◆函館本線尾白内駅

ワム80000を改造したものです。中央部の2枚の側引戸を撤去して壁を新調し、出入口と窓を設けています。
両端の戸は種車のものを使い、窓部分を開口しています(ワム80000は側面全てが引戸のためこのような書き方になっています)。


ホームと同じ高さに貨車改造駅舎を配置するため、わざわざ脚を付けてかさ上げしています。これも函館支社独特の方式です。
道南地方は道北や道東とは違い、使える土地に余裕が無いことからこのような方式になったのでしょうか(それでも本州以南と比べれば十分広いかと思いますが)。


◆道南いさりび鉄道東久根別駅

ワム29500を改造した駅です。元の車掌室部分、貨物室部分共に待合室に転用されています。地面からかさ上げされていますがホームとツライチではなく、線路とほぼ同じ高さに設置されています。


貨車改造駅舎は旧来の木造駅舎の取り換えのために設置されたものが多いですが、東久根別駅は駅の開業に合わせて設置されたという点が特徴です。1986(昭和61)年に東久根別臨時乗降場として開業し、貨車改造駅舎はおそらく開業時点から設置されていると思われます。
さらに特筆すべき点として、道内の貨車改造駅では唯一と思われる水洗トイレが設置されています。また20時~翌日7時の間は施錠されるため室内に入れなくなります。


かつてのデッキ部分を閉塞して扉を設置し、貨物室の側引戸部分も出入口に転用されています。「HIGASHIKUNEBETSU」の文字の下にある窓は種車のものが流用されています。


◆道南いさりび鉄道釜谷駅

ワム80000からの改造で、尾白内駅と同じ形態です。


有蓋車改造の貨車改造駅舎は函館支社に複数ありますが、元々人を乗せるためだった車掌車とは違い改造にはかなり手間がかかっているものと思われます。
種車となる車掌車や有蓋緩急車(ワフなど)が払底していたとも考えにくいため、どのような事情があったのでしょうか。
ここからは憶測ですが、改造当時(昭和60年頃)に合理化や業務縮小のため検修や工場の人員が余剰になっており、それらを活用する(稼働させる)目的があったのではないでしょうか。そうなると改造にかかる手間やコストは度外視出来ますし、もっと言えば「あえて改造に手間のかかる車両を選んだ」可能性もあるのではないでしょうか。


駅舎内の様子。室内では委託を受けた地元住民が乗車券の販売を行っていますが、訪問時は営業時間外のようで詳細は不明です。
室内にはストーブがあり、座布団等も置かれ暖かみのある雰囲気です。他人の家に上がり込んでいるような感覚になり落ち着かないという見方も出来ますが・・・。


そしてこの貨車改造駅舎には、種車時代の銘板が残っています。割れていますが「日本国有鉄道」と「日本車輌 昭和44年」です。昭和44年に日車で製造されたワムハチはワム187712~187811が該当します。

函館支社管内には設置方法や貨車の改造方法で、他地区では見られない特徴を持った貨車改造駅が多いです。

 

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