保存鉄道車両巡りの旅2

鉄道車両の静態保存車を紹介するブログです。

今はなき貨車改造駅(その3)

2022-03-12 22:54:00 | 貨車改造駅

廃止された貨車改造駅や、貨車改造駅舎が撤去された駅を紹介しています。

●駅そのものが廃止された貨車改造駅

◆宗谷本線上幌延駅(2021年3月13日廃止)

設置されてから塗り直されたことがあるのかは分かりませんが、塗装はヒビだらけです。この駅も下沼駅と同様に出入り口妻面の窓ガラスが無くなっています。


設置当初の形態をよく残していますが、トイレには板が打ち付けられています。


◆日高本線節婦駅・東静内駅・春立駅・日高三石駅(いずれも2021年4月1日廃止)
2021年4月1日付で日高本線鵡川~様似間が廃止されたことにより、多数の貨車改造駅が廃止されました。
鵡川~様似間は2015年1月の高潮被害により列車の運行が出来なくなり、一時期静内~様似間で運行が再開されたものの同年2月にさらなる路盤流失が発生したため列車の運行が止められ、以来6年以上列車が来ないままでの廃止となりました。

これら4駅は国鉄民営化前後に旧来の駅舎が取り壊され貨車改造駅になりました。
1993~2008年頃に再度改修され一般的な待合室が新築されたため、廃止時は貨車改造駅ではありませんでした。設置後短期間で撤去(再改修)された貨車改造駅舎が日高本線には多いです。


◆日高本線荻伏駅(2021年4月1日廃止)

ワフ29500を改造した貨車改造駅です。かつてのデッキを出入口に活用し、貨物室の扉部分にも引き戸を取り付けて出入口としています。
「海抜9m」の看板が貼られた窓は新設されたものです。


反対側の側面も同様になっています。塗装は地元高校生によるもので、何度か変更されているそうです。
屋根はトタンを張り直され、側面全体に及ぶ雨樋が取り付けられています。


この駅で特筆すべき点は、かつては簡易委託駅であり乗車券を販売していたことです。2011年に簡易委託は廃止され無人駅となりましたが、室内の一部を区切った事務室はそのまま残っていました。


◆日高本線鵜苫駅(2021年4月1日廃止)

ワフ29500を改造した駅舎で荻伏駅とほぼ同様です。事務室は無いため、その部分は待合室と配電盤室になっています。


塗装は地元中学生によって行われたものです。しかし海に近い環境のため腐食が進んでいます。
画像では分かりにくいかと思いますが、妻面にあった尾灯が撤去された部分は、平滑に埋め込まず鉄板を溶接またはリベット留めするだけで処理されています。本社直轄地域の貨車改造駅舎は、他地域と比べ簡素な改造で済ませている箇所が目立ちます。


◆日高本線西様似駅(2021年4月1日廃止)

ヨ3500を改造したもので、浜厚真駅と同じ形態です。
函館支社の蕨岱駅や中ノ沢駅とも同じように見えますが、配電盤室の設置場所が違います(函館支社はデッキの一部を潰して設置、本社直轄は元の室内に設置)。


塗装は地元中学生により行われたもので、協力者の氏名も掲示されています。
海から少し離れた場所ですが痛みが見られます。北海道の中では比較的温暖で雪の少ない地域ですが、満足に保守されていないのでしょうか。


車体には現役当時の銘板が残ります。「東京 日本車輌 昭和29年」で、日本車両製造東京支店で昭和28年度に製造されたヨ3500形はヨ4430~ヨ4444が該当します。昭和28「年度」ですので、この車両は昭和29年1~3月に製造されたのですね。


そして特筆すべき点として、台枠に「日本国有鉄道 苗穂工場 昭和55年改造」という銘板も残っています。
これは何の改造を示すものなのでしょうか。石炭ストーブから石油ストーブへの換装を示すものかもしれません。まさか貨車改造駅舎に改造する工事ではないと思いますが(わざわざ銘板を付けるとも思えません)、真相は不明です。


◆宗谷本線歌内駅(2022年3月12日廃止)

比較的きれいに見えますが、出入り口妻面の窓ガラスや側面の通気口が無くなるなど痛みが見られます。


トイレ部分の側面は、かつての車掌車デッキ部分の埋め込みが浮かび上がるように錆びています。トイレに臭突が残っていますが、この駅は果たして汲み取り作業が必要なほど利用者がいるのでしょうか・・・?


(この画像のみ2022年2月3日撮影)
2021年4月より自治体管理駅に移行しましたが、それから1年足らずで廃止されました。特段補修は行われなかったようでボロボロのまま最期を迎えました。


【目次】
https://blog.goo.ne.jp/hozonsyameguri/e/ad85cf3f4385cfb2268bd21e1740c17e