保存鉄道車両巡りの旅2

鉄道車両の静態保存車を紹介するブログです。

【福岡】北九州市 九州鉄道記念館の車両たち(その2)

2016-09-17 13:53:00 | 福岡・佐賀


場所:福岡県北九州市門司区清滝2丁目3-29 九州鉄道記念館
保存車両:多数(画像と共に紹介)
(2016年8月30日訪問)

(その1)からの続きです。
クハネ581-8です。581系電車の先頭車であり、九州へ向かう列車にも多数使用されました。あまりにも有名な系列ですので説明は省略します。


この車両は国鉄末期に近郊化改造を行いクハ715-1へ改造されました。現在では塗装が原形に戻され原番号であるクハネ581-8として保存されていますが、増設された出入口や開閉可能な田の字窓などはそのままに保存されています。
JR九州手持ちの581系(元581系)はこれしか無かったため、やむを得ず保存しているのではないかと思います。


室内も715系のままです。中段寝台を改造した荷棚や妙な位置にある仕切りなどが改造車であることを物語ります。
581・583系改造の近郊型電車が全廃されてしまった現在では、貴重なものかもしれません。


車端部の斜めになっている壁は洗面台を閉鎖した部分です。2カ所あったトイレは1カ所を閉鎖したそうですが、使用しないトイレは撤去されること無くそのまま残っていました。


スハネフ14-11です。2013(平成25)年より保存されています。
14系寝台車は分割併合が容易であることから、九州内でもさくら(長崎・佐世保行き)、みずほ(大分・熊本行き)等で活躍しました。
なおこの車両は、2016(平成28)年4月時点でも車籍が残されています。営業線上を走ることはもう無いでしょうが、このまま永久保存されるのか気になります。


室内は現役当時のまま残されています。シートモケットはJR九州独自のデザインのものに変更されています。


セラ1形セラ1239です。
北海道ではボギー台車式の石炭車で石炭輸送が行われましたが、九州では二軸のセムやセラで石炭輸送が行われました。
九州の産業を語る上で大変貴重な車両ですが、展示スペースの都合からか間近で見学することが出来ません。隣接する鉄道記念館駐車場より全体を撮影出来るのみです。


カットモデル状態で展示されているクハ481-246、ED76-1、EF30-3です。運転台部分以外は解体されています。


運転室を見学することが出来ます。場所の制約や保存状態などによりやむを得なかったのでしょうが、1両丸ごと保存されていれば・・・と思わずにはいられません。


こちらは博物館建屋内で保存されている車両です。チブ37です。
明治42(1909)年に九州鉄道として製造され、1929(昭和4)年に大分交通耶馬渓線へ譲渡されました。1971(昭和46)年までの長期にわたり活躍し、廃車後は民間へ売却されていました。
後年JR九州へ寄贈され、製造時の姿に復元して保存されています。


建物2階からは屋根も観察することが出来ます。


【福岡】北九州市 九州鉄道記念館の車両たち(その1)

2016-09-11 18:10:00 | 福岡・佐賀


場所:福岡県北九州市門司区清滝2丁目3-29 九州鉄道記念館
保存車両:多数(画像と共に紹介)
(2016年8月30日訪問)

JR門司港駅に隣接する九州鉄道記念館です。九州を代表する多数の車両や資料が保存されています。
正面入り口に置かれ、来場者をまず出迎えるのが59634です。ピカピカの状態で、足回りのロッドは磨き出されているかと思われます。


九州では多数の9600が活躍しましたがこの59634は東北地区への配置が長く、廃車直前に後藤寺へ転属してきました。そのため九州のSLならではの装備がほとんどありません。
形態的にも標準的で、数ある9600の中でもプレーンな姿です。


C59-1です。1941(昭和14)年に製造された特急牽引用の蒸気機関車です。
C51やC62と並ぶ直径1750mmの巨大な動輪を持ちます。


製造後は東海道・山陽本線で特急や急行の牽引に活躍しましたが、1956(昭和31)年に門司港へ転属し鹿児島本線で活躍しました。
その後電化が進みましたがC59は軸重が16t超と過大であったため転用出来る線区が少なく、1965(昭和40)年に廃車されました。華々しく特急列車を牽引する姿は長くは続きませんでした。


EF10-35です。EF10は1934(昭和9)年より製造された貨物用電気機関車です。
関門トンネルにも戦時中の輸送力増強のために多数が投入されました。そのうちの35号機を含む5両は、関門トンネル内での塩害対策のために車体がステンレスに置き換えられています。


ステンレス車体ですが、24号機以外はこのようにブドウ色で塗装されていたそうです。
このEF10-35号機は最後は豊橋で1978(昭和53)年に廃車されています。EF10はこの35号機が唯一現存する個体です。


ED72-1です。門司港~久留米間が交流電化されたために1961(昭和36)年に製造された車両です。
交流電気機関車としては初期の車両です。鳩胸と呼ばれるくの字に突き出した前面が特徴です。客車列車牽引に備え、SG(蒸気発生装置)を備えます。


この1号機は実質的には試作機であり、3号機以降が量産機とされています。
特急列車やブルートレイン、貨物列車の牽引にも活躍しましたが、九州の交流機の決定版であるED76が登場すると、以降の機関車の増備はED76へと移りました。1号機は1976(昭和51)年に廃車されました。15年間の短い活躍でした。


キハ07-41です。
戦前のガソリンカー(ディーゼルカーではないことに注意)の完成形とも言える形式で、1937(昭和12)年に製造されました。
その後はディーゼルエンジンへの換装などが行われ、1969(昭和44)年まで活躍しました。
廃車後は豊後森機関区や大分運転所で長らく保管されていましたが、九州鉄道記念館開設にあわせて整備のうえ展示されています。


卵型の前頭部の半室部分に設けられた運転室。現代の気動車とはブレーキ弁の位置が左右逆であること、マスコンはアクセルペダルであることが分かります。


客室内もよく整備されています。座席の背もたれが低いですが、当時の気動車は非力なエンジンの出力をカバーするために車体そのものが軽量に設計されていました。座席ついても座り心地を犠牲にしてでも軽量化する必要がありました。


クハ481-603です。
1969(昭和44)年にクロ481-5として製造され、仙台に配置されました。急勾配が存在する板谷峠を走行するため「サロ」を連結する余力が無いという都合からクロが製造されました。
1983(昭和58)年にクハ481-603へ格下げ改造され九州へやって来ました。1995(平成7)年に廃車されています。


グリーン車格下げ改造車のため、窓の位置と座席のピッチが合っていません。九州にゆかりのある車両ですが、485系としてはずいぶんマニアックな車両を残したものだと思います。

(その2)へ続きます。


【福岡】福岡市 貝塚公園の車両たち

2016-09-09 11:56:00 | 福岡・佐賀

場所:福岡県福岡市東区箱崎7丁目8-35 貝塚公園
保存車両:49627、ナハネフ22-1007
(2016年9月1日訪問)

福岡市地下鉄貝塚駅のすぐ西側にある公園で保存されている車両です。
2011年頃に再塗装などの整備がされたようですが、錆や雨垂れなど若干痛みが見受けられます。


逆光で大変見づらい画像ですが、機関車のデフレクターは門鉄デフになっています。保存後に取り付けられたものだそうですが、鈍重な9600とスマートな門デフが何とも言えない組み合わせです。


ナハネフ22-1007も整備が行われたため、美しい姿になっています。
末期は急行列車に使用されていたためクリーム色の帯が2本になっており、保存後もそのままの姿です。


ナハネフ22は20系客車の2等寝台緩急車として製造され、特急寝台列車に使用されていました。
1970年代になるとそれまで急行列車に使用されていた寝台客車(10系など)の老朽化、14系寝台車の登場により20系そのものの陳腐化が目立つようになったため、20系寝台車を急行列車に転用することになりました。
一部の車両に12系座席車との併結改造が行われ、それらの車両には原車号に1000または2000が追加されました。
このナハネフ22-1007も12系との併結改造がなされた車両で、改造後は急行日南や急行かいもん等で活躍しました。


室内への立ち入りは通常出来ませんが、隣接する通路から室内を見学出来ます。
原形をよく留めていると共に、何と枕やシーツ、ハンガー、スリッパまでもが再現されています。ここまで現役当時の小物が再現されている保存車はあまり無いのではないでしょうか。

【福岡】北九州市 和布刈公園の保存車たち

2016-09-08 23:35:00 | 福岡・佐賀

場所:福岡県北九州市門司区門司3491 和布刈公園
保存車両:EF30-1、オハフ33-488
(2016年8月30日訪問)

門司港レトロ観光線の関門海峡めかり駅に隣接する、和布刈(めかり)公園に保存されている車両です。
かつては北九州市内の新勝山公園で保存されていましたが、門司港レトロ観光線の開業に当たり2009年にこの場所へ移動しました。


EF30は有名な機関車ですので、私の拙い説明は不要でしょう。交直流対応、急勾配かつ海水滴る海底トンネルなど関門トンネルの特殊な環境を克服するために誕生した機関車です。
この1号機は1960(昭和35)年に製造されました。EF30には900番台が存在しないため、この1号機が実質の試作機でした。


この1号機は2号機以降の量産機と比べ、車体が若干長いことや側面のコルゲートが無いなどの特徴があります。
一部窓はガラスが失われ、鉄またはステンレスの板で塞がれています。


客車はオハフ33-488です。1948(昭和23)年に製造された車両で、戦後型オハフ33に分類されます。妻面は折妻ながら屋根の絞りが無く、俗に「キノコ折妻」と言われる形態です。
車輌の奥に見えるのは、本州と九州とを結ぶ関門橋です。


オハフ33の車内は一部の座席が取り払われ、カフェとして営業しています。門司港レトロ観光線が運転される日は営業していると思われます。非営業日には車内を見学することが出来ないかもしれません。


関門海峡めかり駅を出発した門司港レトロ観光線のトロッコ列車。保存車両の脇をかすめて走ります。

【佐賀】鳥栖市 鳥栖駅付近のSL

2016-09-08 11:58:00 | 福岡・佐賀


場所: 佐賀県鳥栖市京町 JR鳥栖駅付近
保存車両:国鉄268
(2016年8月31日訪問)

JR鳥栖駅東側に保存されている車両です。
鳥栖駅のホームからもよく見えますが、駅出口はこの車両と反対側にあるため、駅を出てから歩道橋を渡るとこの車両にたどり着きます。


国鉄230形蒸気機関車の内の1両で、1905(明治38)年に北越鉄道(新潟県)18形として製造されました。1907(明治40)年に国鉄に買収され、後に268へ改番されました。
その後は大阪周辺で使用されていましたが1945(昭和20)年頃に鳥栖へ移動し、1954(昭和29)年に廃車されるまで鳥栖で活躍しました。国鉄線上では最後まで残った230形でした。

なお230形蒸気機関車は、これ以外にも2両が保存されています。
・233(京都府京都鉄道博物館)
・BK24(台湾台南市成功大学。台湾へ直接納入されたものですが230形と同型)


立派な屋根が設けられています。
車両右側の線路は鳥栖駅構内の現役の線路、背後にはサガン鳥栖のホームグラウンドであるスタジアムがあります。