保存鉄道車両巡りの旅2

鉄道車両の静態保存車を紹介するブログです。

レム5000とワキ5000 それぞれの前期型と後期型

2024-04-02 13:44:17 | 廃車体あれこれ

国鉄貨車のレム5000形とワキ5000。冷蔵車と有蓋車ですがいずれも廃貨車として各地に現存しています。

この2形式も前期型(初期型)と後期型で形態が異なりますので、ご紹介します。

 

●レム5000形

1964(昭和39)年から1461両(レム5000~5850、6000~6609)が製造されました。そのうち前期型は5000台の番号を持つ851両、後期型は6000台の番号を持つ610両が該当します。

レム5000形自体の数が少ないため廃貨車ではあまり見かけません。数の上では前期型の方が多いですが、冷蔵車ゆえに古いものは状態が悪かったせいか廃貨車で残るものは後期型の方が多い印象です。

 

前期型のレム5439です。

前期型と後期型では屋根の形状が違い、前期型は8本のリブ(垂木)が付きます。

 

同じくレム5439です。

俗に前期型ではなく5000番台とも呼ばれます。レム5851~5999は欠番になっています。

 

後期型のレム6490です。

屋根がワム80000形中期型以降のようなプレス素材になったためリブが多数あります。

 

同じく後期型のレム6496です。

こちらは後期型ではなく6000番台と呼ばれることがあります。

 

 

●ワキ5000形

1965(昭和40)年から1515両(ワキ5000~6514)が製造されました。そのうち前期型はワキ5000~5414の415両、後期型はワキ5415~6231の1100両が該当します。さらに両グループ内で装備する台車が違う車両がありました。

前期型は全数のうちの約27%です。ワキ5000形自体が1515両しかいなかったため廃貨車も少なめですが、地域に偏りがあるようで近隣に複数存在する地域もあります。ワム等より大きいので置ける場所が限られていることも関係しているのかと思います。

 

前期型のワキ5000形(番号不明)です。

前期型の特徴は屋根が丸く屋根上にリブが無いことです。

 

前期型のワキ5000形(番号不明)です。

ワム89000形ワム89000~89002をストレッチしたような外観です。

 

後期型のワキ5000形(番号不明)です。

後期型の特徴は屋根が角屋根のプレス素材になり、リブが多数設けられています。

 

余談ですが、前期型のワキ5015です。

前期型の内のワキ5000~5099は先行量産車とされ、その後の車両と比べると妻面の竪樋(雨樋の縦管)が無かったようです。しかしこのワキ5015は後天的な改造なのか竪樋を備えます。

さらに余談ですが、北海道の廃ワキ5000ではほとんどで竪樋が破損しています。これは融雪と凍結を繰り返すことにより樹脂製の竪樋が爆裂してしまうためです。


ワム60000とワム70000 それぞれの前期型と後期型

2024-04-02 10:18:24 | 廃車体あれこれ

国鉄貨車のワム60000形とワム70000形。国鉄で活躍した貨車ですが、現在も廃貨車(ダルマ貨車)として多く見かけるものです。

この2形式は前期型(初期型)と後期型があり、形態により区分出来ます。今回はそれらの違いを記述したいと思います。

 

●ワム60000形

1961(昭和36)年から8580両(ワム60000~68579)が製造されました。そのうち前期型はワム60000~61299の1300両、後期型はワム61300~68579の7280両が該当します。そのため前期型の方が圧倒的に少なく(全数の約15%)、廃貨車として見かける機会も少なくなります。

 

前期型のワム61270です。

前期型の特徴は、妻面にワム80000形(2代目。1960年より製造)と共通の部材を使用したため側面より妻面が出っ張っていることです。それに合わせて側面上部にも凸部があるため「額縁」と通称されます。

 

後期型のワム67148です。

後期型では妻面の部材が専用品に変更されたため、前期型にあった額縁状の突起が無くなりました。すっきりとした外観ですが、後に登場するワラ1形と酷似した外観になりました。

(ワム60000とワラ1の見分け方はこちら→ ワム60000とワラ1の違い(見分け方) - 保存鉄道車両巡りの旅2

 

 

右がワム60267、左がワム67433です。並べると違いがよく分かります。

 

 

●ワム70000形

ワム60000形より大きな番号ですが製造は古く、1958(昭和33)年より5710両(ワム70000~75709)が製造されました。

そのうち前期型はワム70000~71409の1410両、後期型はワム71410~75709の4300両が該当します。ワム70000形自体が廃貨車として見かける機会が少ないですが、前期型はさらにレアな存在(全数の約24%)となっています。

 

前期型のワム70000形(番号不明)です。

前期型と後期型では、屋根上のリブ(垂木)の形状が異なります。その他に側引戸のストッパー形状も違うそうですが、確認可能な廃貨車が近くに無いためこれは割愛します。

 

前期型のリブ部分の拡大です。リブ上面の形状が頂上から裾部(端部)まで一直線になっています。リブ自体の厚さは頂上から裾部にかけて徐々に薄くなっています。

 

同じく前期型のリブです。頂上部分が見えなくても裾部分で判別可能です。

 

後期型のワム70000形(番号不明)です。

後期型はリブ形状が違います。余談ですがワム70000形では車体の組み立てでリベットが多用されたため、ワム60000以降の貨車よりもゴツゴツしています。

 

後期型のリブ部分の拡大です。裾部が丸くなっているのが分かるでしょうか。リブ自体の厚さは頂上から丸みが始まるまで同じです。

なお後期型に該当する番号の車両でも前期型のリブを持つ車両がいるとの情報があり、製造所による違いなのか従前の分類が違っているのか、今後も調査を続けていきたいところです。


ワム80000形中期型の側面ドアリブ間隔の変更について

2024-02-20 11:51:07 | 廃車体あれこれ

国鉄ワム80000形貨車のうち、ワム83000~88999及びワム180000~188801のいわゆる中期型についての考察です。

過去に側引戸下部の戸車点検蓋についてと側面下部ドアレール長さについての記事を投稿しており、これらの続編になります。出来れば以下の2記事をご覧になってからお読み頂いたほうが良いかと思います。

ワム80000形中期型の側面下部ドアレールの長さについて - 保存鉄道車両巡りの旅2

ワム80000形中期型の引戸下部の戸車点検蓋について - 保存鉄道車両巡りの旅2

 

今回の考察は「中期型の途中で側面ドアリブの間隔が変更されたのではないか」ということです。

公式の記録として、ワム183700より側面の検査票差しを移動させたという記載があります。そこで現存する廃貨車を調査および計測してみました。

結論から言いますとワム183700以降の車両では、それ以前の車両より側面ドアリブが約3cm移動しています。1方向に単純に移動したわけではなく、下画像の赤矢印の方向にずれています。

(注:画像の車両はリブ移動後の車両「ではない」と思われます)

 

これは下画像の黄色実線の部分が太くなったため、干渉するリブを移動させた結果です。おそらくはドアを閉めた際に接触する部分を強化するための改良だったのかと思います。

 

リブ移動前か移動後かを判別するのに、一番簡単な方法は側面中央部の側引戸の合わせ目を計測することです。移動前の車両であれば、側引戸閉じ状態で凸部の縁から約14cmです(画像はワム88687)。

 

移動後の車両であれば、ここは約20cmです(画像はワム186412)。

 

ドア2枚で6cmの差ですから、ドア1枚で約3cm移動したと分かります。

全体の見た目ではほとんど分かりません。手すりやU字状のフックと凸部のバランスで違いがありますが、遠方からだと判別困難かと思います(画像はワム88687)。

 

同じアングルのワム186412(コンテナが邪魔で申し訳ありません)。

 

肝心の検査票差しですが、何両か計測しましたが位置はまちまちといった感じでした。本来ならワム183700以降では内側に約3cmずれているはずですが、個体によっては逆に外側に寄っているものもありました。参考までに画像を載せます(画像はワム84242。リブ移動前の番号)。

 

こちらはリブ移動後のワム187678です。

 

この検査票差しのまちまち具合が、製造所による差異なのか後年の修繕でこうなったのかは不明です。なお、車番下の大きな票差しはリブ移動前後でも位置は変わらいようです。

 

この結果を踏まえて、ワム80000中期型の形態差をまとめてみましょう。

・ワム83000~88999、180000~183699、188807~188818は、上部レールが短い、下部レールが長い、点検蓋が密閉型、側引戸リブは移動前。

・ワム183700~187676は、上部レールが短い、下部レールが長い、点検蓋が密閉型、側引戸リブは「移動後」。

・ワム187677~188306(ワム187865を除く)は、上部ドアレールが短い、下部ドアレールが「右側のみ短い」、点検蓋が「下部開放型」、側引戸リブは移動後。

・ワム188307~188801は、上部ドアレールが「長い」、下部ドアレールが「両側とも短い」、点検蓋が下部開放型、側引戸リブは移動後。

中期型の汎用車だけで4形態に分類出来ます。

 

ワム187865は、上部ドアレールが短い、下部ドアレールが『長い』、点検蓋が「下部開放型」、側引戸リブは移動後。という他に例の無い姿になっています。製造時からこの姿だったのか、補修等でこうなったのかは分かりません。

このワム187865を1形態に区分すれば、中期型の汎用車は5形態あることになります。

 

よくワム188307~のグループに分類されるワム188802~188806は側柱省略試験車で、形態は中期型ながら高さが60mm高くなっているそうです。そのため上記の分類からは除外しました(6cmの差なので遠目では判別不可能だと思いますが)。

また、ワム180808~180819はオートバイ輸送用の物資別適合車に改造・改番(583000番台)されたため、2代目がワム183700と同時期に製造され穴埋めされています。この2代目はワム183700と同形態だったのか元番号と同じ形態だったのか不明です(つまり1代目と2代目で形態が異なる可能性がある)。なおこのオートバイ輸送用の583000番台は1981年に汎用車に復元されています。しかし元番号はすでに穴埋めされていたため新たにワム188806の続番が振られています(ワム188807~188818)。

さらに他の物資別適合車や事業用車への改造が発生しているため後に欠番が発生しています。物資別適合車については追い切れていないというのが正直なところです。

 

このように国鉄時代には多数派でJRへ引き継がれたものがわずかなため総じて地味な印象があるワム80000中期型ですが、調べてみるとこんなにも形態差があって驚いているところです。貨車研究の奥深さを実感しています。

重箱の隅レベルの話なので、こち亀の中川に「全部同じじゃないですか」と言われそうですけどね。


ワム80000形中期型の引戸下部の戸車点検蓋について

2023-05-01 23:22:26 | 廃車体あれこれ

前回記事(ワム80000形中期型の側面下部ドアレールの長さについて - 保存鉄道車両巡りの旅2)の続きになります。ワム80000形中期型の下部ドアレールについての記事をお読みになっている前提で解説させて頂きます。

考察としては「ワム80000形中期型の製造途中で点検蓋の形状が変更されたのではないか」です。

 

ワム80000形では側面引戸の下部にある戸車を点検するための開閉可能な蓋があります。ごく初期のロットでは室内側に点検蓋があるため外から蓋が見えません。後のロットでは室外側より点検するように改良されたため、蓋自体を外から確認出来るようになりました。

前回同様にムサシノモデルの16番鉄道模型紹介ページ(16番ワム80000の写真紹介と作り分けの説明 2019.6.22 | ムサシノモデル)を参考にする形で紹介いたします。

 

ワム81461で初期型です。点検蓋が表側にありません。

ワム80000~80004、80100~82399が該当します。初期型の中でもごく初期に製造された車両です。

 

ワム82506です。こちらも初期型ですが、点検蓋が外側に変更されたロットです。蓋は四隅をマイナスネジで留めています。

ワム82400~82899が該当します。初期型のみで数えると点検蓋が外側にある車両の方が製造数は少ないですが、保存や廃貨車で現在まで残るものとなれば話は別です。

 

ワム186490です。「1969年度民有」で製造されたロットです。

中期型(2次量産車)に移行しましたが、点検蓋の形状に変化はありません。

 

右がワム187678、左の白いのがワム84242です。

ワム84242は先程までと同じ形態ですね。しかしワム187678はどうでしょうか?蓋自体が大きくなり、下部に戸車と思われる滑車が露出しています。

ワム187678は「1969年度第3次債務負担」で製造されたロットで、上記ワム186490の次のロットになります。

 

ワム188581です。グーグルストリートビューから拝借した画像なので粗いです。

この車両は「1970年度本予算」で製造され、側面上部ドアレールが車端まで延長されたロットです。しかし点検蓋は前ロットから変更されていないようです。

 

ワム188633です。同じく1970年度本予算で製造され、点検蓋も変更されていません。

 

番号不明ですが、下部ドアレールが向かって右側のみ短くなった車両です。点検蓋の形状からワム187678と同じ1969年度第3次債務負担で製造された車両と思われます。前回記事(ワム80000形中期型の側面下部ドアレールの長さについて - 保存鉄道車両巡りの旅2)で番号不明なのにロットを特定していたのは点検蓋の形状から判断したためです。

 

ワム283844で、後期型(走行安定化対策車、280000番台)です。点検蓋は以前のようにビス止めで滑車が外から見えない形状に戻っています。

 

整理すると、

・ワム80000~80004、80100~82399は外側に点検蓋無し。

・ワム82400~82899(ここまで初期型)、83000~88999、180000~187676は点検蓋あり、外から滑車は見えない(密閉型と呼びます)。

・ワム187677~188801は点検蓋あり、下部に隙間があり滑車が見える(下部開放型と呼びます)。

・ワム280000以降は点検蓋あり、密閉型に戻る。

となると思われます。

 

さらに前回記事の側面ドアレールと組み合わせると、

・ワム80000~80004、80100~82399は上部レールが短い、下部レールが長い、外側に点検蓋無し。

・ワム82400~82899(ここまで初期型)、83000~88999、180000~187676は上部レールが短い、下部レールが長い、点検蓋あり(密閉型)。

・ワム187677~188306は、上部ドアレールが短い、下部ドアレールの右側のみ短い、点検蓋あり(下部開放型)。(※ただしワム187865を除く)

・ワム188307~188801(ここまで中期型)は、上部ドアレールが長い、下部ドアレールが両側とも短い、点検蓋あり(下部開放型)。

・ワム280000以降は、上部ドアレールが長い、下部ドアレールが両側とも短い、点検蓋あり(密閉型)。

となり、中期型だけでも3形態あることになります。

 

 

続いて、ワムハチ中期型の途中より側面引戸のリブの間隔が変更されたのではないかということを考察していきます。

ワム80000形中期型の側面ドアリブ間隔の変更について - 保存鉄道車両巡りの旅2

 

※追記

1981(昭和56)年に製造されたワム89003では、1970(昭和45)年製造車を最後に採用されていなかった「下部開放型」点検蓋であることを確認しました。

ワム89003とはワム89000形の4号車です。ワム80000形280000番台の側引戸をアルミ製から鋼製に変更した車両で、重量増分は他の部分を軽量化することで相殺しています。形態的にはワム80000形280000番台とほとんど差異がありません。

ワムハチ後期型を大量に製造しておきながら10年の空白を経て「下部開放型」点検蓋が採用されていますが、鋼製ドアの最新図面を単純に流用したからではないかと思います。

ワムハチ後期型と同じ見た目で下部開放型の点検蓋の廃貨車があれば、番号が見えなくともワム89003だと断定出来ます(廃貨車で残っているのかは不明ですが)。


ワム80000形中期型の側面下部ドアレールの長さについて

2023-05-01 23:10:07 | 廃車体あれこれ

国鉄ワム80000形貨車のうち、ワム83000~88999及びワム180000~188801のいわゆる中期型についての話です。

このグループは「2次量産車」とも呼ばれ、1967~1970年の間に製造されたものです。形態としては初期型と比べて屋根上リブが増えたことが目立ちます。側面上下のドアレール形状や車輪軸距は初期型から引き継いでいます。

中期型の製造途中でいわゆるマイナーチェンジとして、ワム187677以降は「側面下部ドアレールを短くした」という記載を発見し、これが本当なのか現存する廃車体を調査してみました。

ちなみに上記ドアレールについての記載は、ムサシノモデルの16番鉄道模型の紹介ページのものです。リンクを貼っておきます。

 →16番ワム80000の写真紹介と作り分けの説明 | ムサシノモデル

 

まず最初に、側面下部ドアレールの長短についての紹介です。「長」だとドアストッパーの下までレールがありますが、「短」だとストッパーの下までレールが達していません(「短」で実際に戸車が載る部分だけに短縮したようなので、引戸そのものの開口幅に変化はないと思われます)。

 

ワム82056で、初期型の車両です。L字のストッパーの下までレールがありますね。

 

(画像はグーグルストリートビューより)

ワム188581で、ドアレールが短くなったロットに該当します。分かりにくいですが、ストッパーの下までレールが達していません。

 

ワム283844で、後期型と呼ばれる走行安定化対策車です。ドアレールが短く、かつストッパーの形状が変更されています。

 

以上が例題編でした。そしてドアレールが短くなったロットの廃貨車がありましたのでご紹介します。

ワム187678です。ロットは「1969年度第3次債務負担」です。

ムサシノモデルのHPによると下部ドアレールが短くなって間もない時期の車両です。現車はどうでしょうか?

 

右がワム187678、左の白いのがワム84242(中期型)です。

ワム84242のレールが長いのはいいとして、ワム187678も長いタイプです。

 

ワム187678の先程とは逆になる向かって右側です。引戸が開状態なので分かりにくいですが、ストッパーの下にレールがありませんね。

 

もう一例。こちらは車番不明ですが、上部ドアレールの長さと引戸戸車の点検蓋形状からワム187678と同じ1969年度第3次債務負担で製造されたと推察される車両です。

※引戸戸車の点検蓋形状については、こちらの記事(ワム80000形中期型の引戸下部の戸車点検蓋について - 保存鉄道車両巡りの旅2)で解説していますが、この記事をお読みになってからご覧頂いた方が良いかと思います。

 

向かって左側の下部ドアレール。ワム187678と同じように長いです。

 

向かって右側は短いです。

 

次の例として、ワム188633です。

このロットは「1970年度本予算」で、上部ドアレールが側面一杯まで長くなり後の後期型(走行安定対策車。いわゆる280000番台)と同じ形態になりました。車号ではワム188307~188801が該当します。

 

向かって左側の下部ドアレール。短いです。

 

向かって右側のドアレール。こちらも短いです。

冒頭で紹介したワム188581も1970年度本予算で製造されており、このロットは下部レールの左右とも短いのだと思われます。

 

整理すると、

・ワム187676以前の車両は、上部ドアレールが短く、下部ドアレールが長い。

・ワム187677~188306の1969年度第3次債務負担で製造された車両は、上部ドアレールが短く、「下部ドアレールの右側のみ短い」。

・ワム188307~188801の1970年度本予算で製造された車両は、上部ドアレールが長くなり、「下部ドアレールが両側とも短い」。

となると思われます。

 

ただし例外となる車両を発見しています。

ワム187865です。1969年度第3次債務負担で、下部ドアレールが「右側のみ短い」グループです。

 

しかし長いタイプのドアレールです。

 

反対側の側面も、本来短いはずのドアレールが長いです。これはひょっとすると同じロット内でも製造所によって違うのかと思ったので、別の車両も調べてみます。このワム187865は川崎重工業製です。

 

ワム187936です。上記ワム187865と同ロットかつ同じ川崎重工業製です。この車両はドアレールが短いですね。

 

反対側もやはり短いです。

つまり本来ドアレールが短いはずなのに長いものが付いているのは、製造所による差異ではなくワム187865特有の姿だということが分かりました。

 

ワム80000形には物資別適合車も存在し、車体各部は同時期の基本番台とほぼ同じ特徴を有しているそうです。しかしこちらまでは手が回らなかったため割愛します。

次の記事では、「中期型製造途中に側面引戸の戸車点検蓋の形状が変更されたのではないか」という疑問について検証します。

 

続く→ ワム80000形中期型の引戸下部の戸車点検蓋について - 保存鉄道車両巡りの旅2