幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

二つの道

2014-09-30 22:27:41 | Weblog

二つの道のどちらを行きますか?

その選択、そんなに重要ですか?

ひとつは山へ、ひとつは海へ

そして結局、元いた処に

だとしても、迷いますか?

わざと迷いますか?

元いた処に帰れないように

絶対帰れないように

私は、球の上は歩きません

交わらない平行線が交わる処

それは、あなたと私

そして、彼女と彼









脳内と空

2014-09-28 21:02:07 | Weblog

僕は自分の脳内を食べている

黄色い蝶が回転しながら

透明なモスクのドームから滴る

ダイヤモンドの雨水を除けて飛ぶ姿を

太陽の光で焼かれてしまった目玉の裏で追いかける

プラチナでできた、地下深くに下るエスカレーターに乗る

間もなく、グランド・セントラル・ステーションだ

ここから国際空港に着く頃には

空はすっかり暗くなっているはずだ

そう思いながら、カウンターに座って

アイス・コーヒーを飲んでいる

見えるもの全てが醜い

聴こえる全ての音がうるさい

静かに目を閉じて考えてみれば

創造的アイデアがあっちこっちに浮かんでいても、表現するには時間が必要だ

試しに、ひとつのアイデアを採用して

一連の行動のルーチンに自分のやり方で参加する

でもあまりオリジナルになり過ぎないようにしなければならない

だれにも理解されないなら、存在していても意味がない

逆にあまりにポピュラーになり過ぎてもいけない

群衆の雑踏に踏み潰されるだけだろう

今のところ、脳内を食べ尽くすことはできそうにない

空は何もないクウだとしても

























お元気ですか?

2014-09-25 19:15:12 | Weblog

お元気ですか?

だいぶ涼しくなりましたね、と書きたいところですが、私は汗ばかりかいています。

台風が過ぎたみたいですけど、すごい湿度ですよね。蒸し風呂に入っているみたいに、私は汗ばかり流しています。

あれから、どうしていますか?

新しい友達ができましたか?

好きな友達とコンタクトとれましたか?

私は最近は、母が一人暮らししている実家の離れの家に寝泊まりしています。

洗濯機がないので、一週間に一度くらい、家に洗濯物を持って帰ります。

安い洗濯機でも買おうかな。

それでは、また機会があったら、お会いしましょう。

では、また。

燕京亭

2014-09-23 21:08:06 | Weblog

ペリドットの黄緑、トルマリンのピンク、アクアマリンの水色

えんきょうていの汚れた壁紙から悪霊が出てきた

怖くて狂っちゃうよ

ううん、ちがう

もうキチガイだから狂いやしない
ありきたりの、そこら辺にいる、パンピーと同じように、わたし正常

真っ白に輝く幽霊
まるでそれが、幽霊みたいな

夜中じゅう
ちょっとチューニングが合っただけ

半月を見上げても、ボヤけて見えないから、もう死のう

ブラーマの降臨したパキスタンの山で凍えじのう!
ハハハハ!

キャベツ白菜バナナ
食中毒
栄養なんて僕には必要ない
牛をして食らうなら
殺人だってわけなく同罪
クイーンエリザベスをして食らうか?
牛丼にして
280円

夜は、闇の中に、
あらゆる色を隠している
僕の意識と同じように
とてもビューティフル
死ななきゃ良かったのにね
天才だって神が言ってたのに
僕は、神とは正反対の所に行くから
もう永遠に会えない

森の奥の
森の奥の
森の奥

そこに
藝術があって
沈黙している
星空と同じように

この世が終わったあとの
星空と同じように









iPhoneからの投稿

藝術

2014-09-23 20:30:37 | Weblog

藝術を売って歩く
誰も買ってくれない藝術を
トラックの荷台に乗せて
助手席にはお腹が大きくなった女
ぼくの子を腹んでいる
なぜなら二人は愛し合ったから
そしてぼくは愛し合う男女を描いた
たくさん描いた
そして、誰もそれを称賛しなかった
そして、やがて新しい命が生まれる





iPhoneからの投稿

脳を温めても、暖かい夢を見るわけではない

2014-09-23 20:25:42 | Weblog


あたたかい暖房からの風が頭を熱くさせる夜

誰でも同じように齢をとるこの地上で

わたしもあなたも、虫も木も

ただただ齢をとっていくこの時間の中で

あたたかいエアコンからの空気は

熱力学の第三法則によって拡散していく

より冷たい空気を求めて

平衡を保とうとする

ぼくの頭は熱くなり

脳みそも

目玉も

ちょうどいい具合に

おでんの具のように煮えてきたら

たぶん精密機械は誤動作し

その現れとして

この認識している世界が変形したり

イエローとグリーンの光に見えたり

シュリヤントラの三角形と円の無数の組み合わせに見えたりするのだろう

ほんの0.数グラムの神経伝達物質の作用によって

この世の主観的認識は変貌し得るが

ぼくの精神によっては

この意識は驚くほど堅牢に変化せず

思想によっても

なにもまったくかわらない












炎と水

2014-09-23 20:21:17 | Weblog


今、水風呂に浸かっていた

インドの虎が身体を冷やすために、白昼、川に浸かっているように

僕は今日、亜熱帯の太陽に照らされた訳ではないが

自らの欲望によって、常に焼かれている

水風呂に浸かっていると、身体が冷えて、頭が冷えて、脳味噌が冷えて

心臓が冷えて

意識が冷えて

なくなってしまえば、いい

この僕が無くなれば

この苦しみも消える

そうに違いない

でも、この苦しみは、希望でもある

この肉体が存在していることの

そして息をし、血液が循環し、心臓がはち切れんばかりに鼓動していることの

そして僕は、魂だけの存在ではなく

この肉体でもあることの

そして、このカラダを、何か別の生き物のように感じる

コントロールできない、調教できない野生の虎

もう老いてはいるが

絶対に手なずけられない本能

一度それに火がついたら

水に浸かって心臓を凍らせるしかない

つまり、このカラダは、氷のように死ぬしかないのだ



僕の頭が言葉を紡いでいる

でもそんなこと、なんの役にも立たない夢なのだ

赤い炎が揺らいで

言葉すら焼き尽くそうとしているとき

必要なのはバプテスマの水

そして、あなたしかないのだから
























iPhoneからの投稿

感じられる思考と洗練されたアートと自由を理想とするアメリカ

2014-09-23 20:08:04 | Weblog


とっても精密な機械が壊れたら直せないときいていたけど

ついに今日、壊れたみたいに熱をもって暴走したり、動かなくなったり

オイルを交換したり、ガソリンを入れてみたり

そのくらいしか思いつかなくなったのも

ぼくの思考回路がいろんな塩基ペプチドをチャンポンに流し込んだから

暴走したりショートしたりして

ぼくは「頭が痛いな」なんて思考しているけど

はっきり言って、どう直したらいいのか分からない

きっと誰にも分からない

大脳生理学者の先生でも、製薬会社で働いている生物化学者でも

そんな人体実験までして、つまり、あれやこれやの複合汚染の

順列組み合わせを全ての合成物質で実験して検証した訳ではないから

この21世紀という新世紀を生きる脳内はいわば

フィールド実験場となっているのだ。

そうだよね。

テイラー?

「そうよ。だから、言わんこっちゃないでしょ?」

「言わんこっちゃない? それってどういう意味?」

「つまり、言わずもがな、だから自由にさせていたのよ。あなたの」

「それはそれはとっても優しいことで。感謝しますよ」

「アプリシエート? それには及ばないわよ。なぜって、あたしはなにもしていないもの」

「ねえ。どうすればいいんだろう? きみならわかるだろ」

「そうね。ダイエットしてジムに行って汗を流すのね。脳内の血管が切れる寸前まで心拍数を上げて、脳内の神経伝達物質の濃度と伝達速度を上げること」

「それはすでにやったよ。そうしたら、常時、心拍数が高くなって夜も眠れなくなっちゃたんだよ。まるで心臓が送り出す血が一斉に逆流しているみたいに、激流のように僕の身体の中を流れるもんだから、ぼくは悪魔憑きになったみたいにベッドから心臓を中心にして上半身が天井に持ち上げられるみたいに空中に持ち上げられるんだから、不気味だよ」

「ねえ。あなた、また、アメリカに来ない? あなたがかつてネイティブだったアメリカ大陸に来れば?」

「今じゃ白人だらけ、でもそうでもないかな、黒人もいるし、移民もたくさんいるからね。でもどうしてアメリカに?」

「アメリカは今、小さく小さくなっていってるの。建国の理想もすっかり自信を失って、アメリカの美徳である自由すら、窮屈なこじんまりとした自由になり下がってしまったの。だから、もう一度、クレージーな時代が来ることが必要なのよ。あなたがアメリカに行けば、本来の自分を発見すると思うの。ワンダラーとしての自由奔放なサバイバーよ。あなたは」

「たしかにそうかもね。ぼくが十代だったときは、カリフォルニアの白人に”カウボーイ! カウボーイ!”って笑われたよ。それがどんな意味なのかよく分からなかったけど」

「アメリカ人のカウボーイよりもカウボーイぽかったのかもね」

「アメリカか。いいかもね。やっぱりカリフォルニアがいいかな。大きな家がいいな。二階にアトリエを作って、そこで絵を描くんだ。ヨーロッパ的な繊細で暗い絵をカリフォルニアで描くんだ。少しエロティックで宗教的なヨーロッパの絵画の伝統と、日本や中国の書道の伝統を合わせ持ったような、かなり繊細な哲学を持った絵を、大雑把なアメリカのカリフォルニアで描くんだ。溢れんばかりのカリフォルニアの太陽の下で、イタリアルネッサンスのブルッネレエスキの作った礼拝堂の中の闇のような絵を描くんだ」

「そうでしょ。どんどんイマジネーションが湧いてきて止まらなくなるでしょ。いいんじゃない。片道飛行機のチケットを持って、1000ドルか2000ドル持って行くのよ。どう? 今のあなたに出来る?」

「ちょっと考えてみると、無理そうだな。だって、ぼくにぶら下がってる人がたくさんいるもの。インドのサドゥーのように、家族も何かも捨てて無一文の放浪者になるなんてぼくにはできないよ」

「あなたは、まるでサドゥーみたいにずっと自由でいようと思っていたのに、それができなかったのよね。どうして?」

「それは、”愛”があったからじゃないかな。それがとっても価値のあるものだと思ったんだ。それに勝るものは何もないと思ったから、だから、だんだんと身の回りが重くなってきて、もう一生、放浪なんてできないほど、身が重くなったのだと思うよ」

「あなたが今、若かったら、どうする?」

「今はもう時代が変っちゃって、今ぼくが若くても、今のカリフォルニアに行っても何もないと思うよ。でも、あの頃の時代に戻れるなら、僕はカリフォルニアで植物を栽培するだろうな。そして一年に一回、アメリカ大陸の東の端のニューヨークに行くんだ。そこで絵具だとかキャンバスだとかを仕入れて、カリフォルニアに戻って大きな絵を描くんだ。そして、個展を開くのはNY。ちょうど、ニューペインティングが始まる少し前の頃だよ。クッキ、キア、クレメンテ、そしてシュナーベルが人気者になる少し前だよ。きっとバスキアなんかとも友達になったかもしれないね」

「あなたなら、メアリー・ブーンに気に入られたに違いないわ」

「ぼくも、彼女が嫌いじゃない」

「でも、あのペインターの黄金時代は終わってしまったわ。もうとっくの昔に」

「そうだよね。だからぼくは、世紀末には、新しい宗教画を描いたんだ。ぼくが描いた天のウズメは新しい宗教画だったんだ。誰にも理解されなかったけどね」

「そうでもないわ。地球に来ている宇宙人たちには人気があったみたいよ」

「地球人はエログロとか、便所の落書きとか言ってたけどね」

「話しは飛ぶけど、分子生物学っていうのができて、脳内ホルモンの分子言語というのが分析され始めたのはつい最近だよね。そして、人間は自分の脳内物質と同じような化学組成を持つオピュームだとかモルヒネだとかを発見して使ってきたことが分かった。つまり、自分の脳の中に楽園があったってわけだ。今では、いろいろな薬が”精神の病”に処方されるようになった。大製薬会社の臨床実験を経て、日本では厚生省に認可されている訳だ。でも、太陽フレアとか、中心太陽のアルシオネとかフォトンとかの影響によって、人間の脳は変化し始めている。一昔前のケミカルドラッグの流行と違って、今では脳に変調をきたす人も増えていると思うよ」

「そうね。あなたもそうでしょ。とっても早く頭が回ったり、なにもしたくなくなったり、ただ寝て夢見ることがとても気持ちが良かったり。ときには夢の中でガイドと話をしているのだけど、あなたはそれをはっきり覚えていられないわ。揮発してしまうのよ。でもぼんやりとは覚えている。今日だってあなたのガイドから助言されたでしょ」

「たしかにそうだ。でもあれはただの夢か、ぼくの想像力が創作した人物にすぎないと思ったりしたよ。実際のところ、最近、ぼくは、何が良くて何が悪いのか、どうしたらいいのか、何をすべきなのか、まったくこんがらがってわからなくなってしまっているんだよ」

「あなたは混乱の波から脱け出せずにいるわね。もう少し、自分自身に安住してみたら。ひとつひとつ確認するのよ。そしてそれがふさわしいことなら、あなたはただ手を放して風船が飛んで行く所に自分も行くだけ。あなたはもともとワンダラーなんだから、風船のように風に吹かれて何処にでも行くことが得意なはずよ。いい? 今度、アメリカ人の友達ができたら、私が言ったことを思い出してね。ヨーロッパよりも洗練されたギャラリーをカリフォルニアで作るのよ。そのことを頭の隅の方でもいいからしまっておいて」

「わかったよ。もともとぼくはインディアンだった。だから、カリフォルニアはぼくの故郷だよ。そこで、ヨーロッパよりも洗練された最先端のアートをやるというのはいいよね。なんかヨーロッパ的な洒落たコンセプチャルなアートなんかよりも、もっとずっと実質的な魂を揺さぶるようなアート」

「そのために、あなたの頭の状態を良くしないとね。あなたはいろいろ実験しているみたいだけど、よくよく注意してね。自暴自棄になったりしないでね」

「わかった。おやすみ」

「おやすみなさい」











死ぬ理由

2014-09-23 19:59:28 | Weblog


死ぬ理由を探したりしない

そこらへんに転がっているカナブンの死骸

きっと交尾した後に死んだのだ

甲虫の羽根はまだエメラルドのように光っているのに

沢山の蟻がたかって食い散らかしている

宝石は死ぬと腐り

また卵から孵化する

それを誰かが貪り

夏が蒸発する





iPhoneからの投稿

ラヴレター

2014-09-23 19:53:42 | Weblog


言葉に色彩はない

言葉に個性はない

言葉は逐次的で全体性はない

言葉に隠匿性はない

でも、そんな言葉すら失いつつあるとき

僕はあなたに、どう伝えたらいいのだろう

いったい何を伝えたいのか、それすらも分からなくなってしまったとき

きっと言葉では掴むことができない具象を

僕は抱きしめたいだけなのだ

そして嗅覚によって、あなたの記憶に酔いたい、酔い痴れたいのだ

そして、その記憶を、現在によって、より甘美なものに更新することを望んでいる

僕は毎日、思考の内、95%、記憶の中で生き

その記憶を、繰り返し繰り返し

愛おしく

獣のようにも貪欲に

自らの魂に爪を立て

胸を掻きむしって

せめてもリアルにならないものかと

そのために言葉にして伝えることができないものかと

自問自答しながら

いつか、見知らぬ土地を走る夜行列車に乗って

言葉を探しに地の果てまで行こうと思っている

あなたへのラヴレターを書くために











iPhoneからの投稿

さらに重い病

2014-09-23 19:38:27 | Weblog


「人は、怪我をしたり病気をしたりして、カサブタができたり免疫ができたりして、以前よりも強くなるでしょ」

「確かにそうだけど、僕みたいに病院に行って薬ばかりもらっていたら、強くなれないよね?」

「それもそうだけど、あなたには無理よ。痛みに耐えることは」

「確かにそうだけど、痛みを感じないで、徐々に茹でカエルのように取り返しのつかないレベルまでいくのはやだな」

「そうね。だから、あなたが茹でカエルのように無知だったら大変だから、あたしが少し警告しておいてあげる。あなたは半分よりさらに少し越えるほど、もう取り返しのつかない所まで来ている。さらに、さらに重い病に最近かかってしまった。それがなんの病か、自分で分かるわよね?」

「もちろん分かるよ。自分のことだから」

「そう、それならよかった。自覚していることは、大切なことだから。その病は、治らないかもしれないわ。カサブタも免疫もできないし、重症になればなるほど、正気を失い、あなたは我さえ忘れてしまうかもしれない。いいえ、きっとそうなるわ」

「うーん、認めたくないけど、そうだということは分かるよ。多分、そうなるのだろうなという予感はある。それは呆けることでもないし、なにかに鈍感になることでもない。意識はしっかりしている。そして、告知されなくても、もう今の医学でできることは何もないのを知っている。それにその病は、身体の領域を超えて、魂まで到達している。もうどうしようもない。取り返しがつかないんだ」

「そう。その通りよ。おめでとう! 」

「ありがとう。お祝いしてくれて。僕は、重症になればなるほど、逆に幸せなのかもしれない。こんな病に罹ったのは初めてだ。そして、たったひとつのイメージが頭から離れない。それが麻薬のように僕を陶酔させ、そして同時に、とても意識的にさせる。覚めていて、とても静かだ。ただ、たとえてみたら熱すぎて逆に凍ってしまうほど、陶酔している。そして、陶酔すればするほど醒めていく。これ以上、確信的な方法がないほど巧妙に出来上がった運命のような捕囚。幸せな捕囚と言ってもいいかもしれない。だから、お祝いを言ってくれたんだね。もう治らない病かもしれないから」

「そう。よかったわね。あなたは、ひとつの新しい認識を得た。神聖な認識を。だから、よくよく気をつけていて。これは、とてもとてもデリケートなものだから」

「わかったよ」

「では、おやすみなさい」

「おやすみなさい」