おはよう
きみはまだ寝てないの?
僕がこんなに早くに起きているのは
まだ寝ていないからです
メールを何度もしたんです
でも電話のようには応えてくれなかった
電話ボックスは海岸にありましたね
覚えてる
あなたのかわいい頭の形
そうあの
電話ボックスに行くには
(なかなか行けないけど)
高速を降りてゆっくり走って
誰もいない明け方だから
それなりにダルくて
気づいたら海が見える
それ以上先がない
海だから
あそこだよね
あの電話ボックスの前
僕が電話した
訳もなく
だって
どんな理由がある?
きみを誘い出すのに
どんな正当な理由がある?
ありゃしない
理由なんか
ただ
そうしたいだけ
だから
そうしただけ
だから
そこには
きみと僕しかいなくて
あそこはまるで二人だけの舞台
まるで映画のセットのようだったね
海岸の岸壁
冷たいコンクリート
その先には塩辛い海が波だっていて
そこに電話ボックスがあった
誰と交信する?
あの世との交信
もうこの先の命がないとしたら
あなたは誰と交信する?
もちろん僕だったらきみだよ
だからきみと交信したんだ
あのとき
そしてきみはやってきた
そして僕はメールした
覚えていますか?
何通も何通も
でもきみは
電話のようには出てくれなかった
あのときのように
僕の前には来てくれなかった
おはよう
きみがまだ寝ていないとしたら
それは眠れなかったから?
それとも今起きたから?
僕はまだ寝てない
眠れない
でも、もしかしたら
もう眠っていて
ただ夢を見ているだけなのかもしれない
知らないのは私だけのようです
私はまた振り出しに戻ってしまいました
ゲームを1からやり直しです
それは、それで、仕方のないことだし、
なにか理由があるのでしょう
そうだとしたら、
わたしはまた、
今度も初めから、
たった一人で、
同じ道を辿るしかありません
また、あそこで、
あのように出会えるかもしれないと
映画の巻き戻しのようには期待できないのは知っています
もう、すでにゴールしてしまったのですから
2年前、
3年後と言った時は、
あと1年後に迫っています
でも、今年がすでに2022年ですよね。
2023年はどうなるのでしょう。
今のわたしにはまったくわからなくなっています
果たして
インドにいるでしょうか?
それとも、シャスタ山の麓に?
それとも、カルデラの島?
気が向いたらいつでもメールください
昔の、ショートメール・・・
思い出したよ
きみと一番最初に交わした
ショートメール
I love you って
他に思いつかなかったの?(笑)
でもあのあと
ロスト イン トランスレーションになって
でもまだ一度も愛していると言ったことがないと
え? それって、声で?
そのあと
一時期
その声に恋焦がれたけど
それでは、
楽しいことがたくさんありますように。
Genji Murasaki
でもこのミュージック・ビデオを見ると
いろいろなことを思い出すんだ
まるでこのビデオに出てくる一人ひとりに
全部見覚えがあるみたいに
あんなこともあったな
あの人は今何をしているんだろう?って
このミュージック・ビデオを見つけたのは僕が最低のときだった
疲れ果てて立ち上がることもできずに
スマホでYouTubeを検査してたら
このミュージック・ビデオが見つかった
だいたい
最低のとき
最高なものが見つかるものだ
なんだか
このミュージック・ビデオは
僕の人生を凝縮しているみたいに感じて
思い出した
最低に落ち込んでいるとき
僕のそばに来て慰めてくれる人がいたことを
そういう子が
今では思い出になってしまったのだけど
ときどき強烈に思い出す
でも
あのときには戻れない
戻ったとしても
そのときは気づかないんだ
でも今になってわかる
あの子の気持ちが
僕は鈍感だから
分からなかったけど
もしかしたら
僕のことが好きだったのかもしれない
でもそんなことが重要なんじゃない
あの子は僕のことを誤解していたんだ
僕の安アパートには何もなかったし
僕は金持ちの息子でもないのに
なんで僕のところに来るんだろうって
でも本当は若いって
そういうこと
無一文の二人が出会って
無一文から始める
それが若いということ
僕には自信がなかった
でもあの子は
僕には自信があるように見えたのだろう
だから僕について来ようとした
でも本当は僕は
明日をも知れない
何も
何一つ
どうやって明日を迎えたらいいのかも
まったくわからず
ただ彷徨い
なんとか生き延びて
疲れて
世の中を呪った
でもそんな僕のそばに来て
なぜかあの子は慰めてくれた
それが何故なのか
僕には分からないまま
出会って
ひと時を過ごして
別れた
繰り返し
繰り返し
だから
繰り返すうちに
だんだんと
歳をとっていくと
身体の関節が硬くなって動かなくなってくるように
心も臆病になり
出会いを避けるようになる
出会いの後には
別れがあるのが
分かってくるから
私は自分の身体をコントロールできているのだろか?
それとも、自分の身体に閉じ込められて、がんじがらめに拘束されているだけなのだろうか?
オリンピック選手のように身体を使えなくてもいい
ただ、重力から解放されたいだけだ
私にとって地球の重力は重すぎて身体が動かせない
身体が動かないと想像していることと私が分裂を始める
イマジネーションの空を自由に飛んでいる鳥は
私よりもはるかに進化している
私の身体は重たい鉛の塊
指先一つ自由に動かすことができない
少しだけ微笑むだけの頬の筋肉ひとつ
動かせない
ほんの少しでも
微笑むことさえできたなら…
でも微笑む理由など
どこにもないのだけれど…
見えるものがすべて醜く
接するものがすべて悪意に満ちているとき
少しだけ
苦笑したくもなるのだが…
それでも
筋肉が引きつって動かなかったら
それこそ
絶望というものではないか
空を飛ぶ鳥は
まるで神のようだ
翼を持つ天使
それに比べれば
肉という鉛に覆われた私は
堕天使ですらない
ただの
アリ地獄に吸い込まれていく
絶望
唯一
希望があるとしたら
残された時間の最後の瞬間
一瞬の夢の中に
この重力の世界では
けっして起こり得ない物語りを想像して
それに浸るだけ
私は私の創作した夢を見ている
それが私の人生
私の夢は私の作品
それは誰とも共有できない
私の身体は
客観的に存在している
私の口が話す言葉が私のものだと誤解されている
でもそれは私とはなんの関係もない
鉛の塊の人形が
勝手に言葉を自動生成しているだけにすぎない
本当の私とは無関係に…