幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 今日の夜

2010-12-26 23:13:38 | Weblog

 
 
  ぼくは詩人だと
 
  シリウスに向かって言った
 
  そうしたら、東の空に昇る
 
  半分に欠けた月が光っているのに気づいた




 夜

2010-12-20 01:11:04 | Weblog

 
 
  夜は神秘的だ
 
  眠っている間に
 
  想像もつかないようなことが
 
  次々に起きる
 
 
  無限の時間が内蔵されていて
 
  宇宙がひとつ終わり、また始まっているかもしれない
 
 
  それなのに
 
  どうやってぼくは
 
  昨日と同じ自分でいられるだろう
 
 
  きみを抱いて寝たこともないのに
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 

 あの鳥と一緒に

2010-12-20 00:32:59 | Weblog

 
 
  ぼくも早くあの鳥と一緒に天国に行きたい
  
  ぼくが一番愛しているのはあの鳥だ
 
  きみがもう一度羽ばたけたら
 
  ぼくはなにもいらない
 
  いのちさえも
  
  だから、それだけを神に祈る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 ぼくの詩

2010-12-20 00:08:31 | Weblog

 
 
  ぼくの詩は
 
  眠れないときに読んでほしい
 
  明日が不安で眠れない時
 
 
  ぼくの詩は
 
  悲しいときに読んでほしい
 
  自分ではどうにもならないほど悲しい時
 

  ぼくの詩は
 
  苦しいときに読んでほしい
 
  美しい理想を実現できずに苦しい時
 
 
  弱く、無力で、途方に暮れたとき
 
  ぼくの詩は
 
  あなた次第で無限になる
 
  
  言葉の意味は受け止める人によって変化するけれど
 
  ころころ変わるようなものじゃない
 
  永遠だ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 ぼくの本質

2010-12-14 03:53:19 | Weblog

 
 
  ぼくはなんにも進歩していない
 
  同じ所をぐるぐる回っている
 
  悪夢のように
 
 
  明日も仕事を休むだろう
 
  これから眠れてももう朝だ
 
  まったく行く気がしない
 
  病気だ
 
  
  わるいが、病名はつけられない
 
  うつでも統合失調でも人格障害でもない
 
  死に至る病でもない
 
  ニーチェ病でもない
 
  まして中二病でもない
 
 
  自分病だ
 
 
  宗教的な病
 
 
  存在の根源的な病
 
 
  本来あるべき姿である病
 
 
  わたしは本来、健康ではなかった
 
  そして、その苦しみが好きだった
 
  健康で幸せよりも
 
  病気で不幸の方を選ぶ
 
  なぜなら
 
  この世に健康で幸せな状態で享受したい喜びなどないから
  
  
  自己否定であり
 
  他者否定であり
 
  存在の否定だ
 
 
  社会の否定であり
 
  時代の否定であり
 
  未来の否定だ
 
 
  このような病の周期は十代を迎える前から始まった
 
 
  厭世的になり
 
  なにもしなくなり
 
  時間の感覚が狂ってくる
 
 
  神と話をしようとするが
 
  そうすると、そのときに限って、不覚にも眠ってしまう 
 
  
  唯一、神に似た存在があるとするばそれは
 
  母の愛だ
 
  でもそれとても、世間の色に染まっている
 
 
  だから脱け出す術はない
 
  いつの間にか自分自身の小さなサークルのパターンに閉じ込められ
 
  繰り返しが始まる
 
 
  なにが善でなにが悪か
 
  だんだんあいまいになり
 
  コントラストを失って混ざり合っていく
 
 
  そんな中で
 
  自分、自分、自分と叫んでいる人たちの言動がうるさく響く
 
  そして 
 
  だんだんと
 
  すべての言動が無意味になり
 
  人間のしゃべることが全て空虚になる
 
  ただのたわごとの集積
 
  
  唯一、自分の肉体の生理だけがリアルだが
 
  それとてもかなり低い代謝で維持されている状態
 
  怠惰と言われればそれまでだが
 
  神秘的、啓示的、トランス的リアリティーに飢えているという点で
 
  ただの愚鈍な怠惰とは区別される
 
  まあ、それとても
 
  自分の中だけに通用する意味でしかないのだが
 
  私という存在は、そのように無意味で
 
  しかも低俗過ぎるほどの神秘性を帯びている
 
  
  つまり、この私の本質は
 
  今までなにも変わることなく
 
  長い年月の間に、少しも進歩せずに
 
  小さな同じサークルの上を
 
  グルグルグルグル回っていただけだったのだ
 
 
  だから今となってはもう
 
  自分を諦めるしかない
 
 
  私は何もできない
 
  もう少しも努力できない
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 地球幻想 Ⅱ

2010-12-11 01:04:13 | Weblog

 
 
  数学を解くようにはいかない
 
  難しいのは分かっている
 
  でも簡単
 
  
  地球の上って
 
  とっても限られているけど
 
  ぼくのいるところはもっと限られている
 
 
  それがあなたのいるところと交わらないだけ
 
  とっても簡単な理由
 
 
  昔、近くの市場に何を買う訳でもなく遊びに行った
 
  いろいろな色の野菜が並んでいて
 
  それが食べ物ではないかのように見えた
 
 
  命は老いていく
 
  野菜は熟したとき収穫される
 
  それを食べると美味しい
 
  人間は収穫されず、朽ちる
 
  その醜さが悲しくて
 
  ぼくは夢を見る
 
 
  あなたも知っているはず
 
  
  夜空の星たちの輝きは永遠に見える
 
  でもスケールが違うだけで
 
  死に向かっている
 
 
  同時に誕生もある
 
 
  生まれ来る光は無垢で無邪気で
 
  過去の記憶がない
 
  死も知らない
 
  まだ言葉も知らない
 
 
  
 
  

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

   
 

 地球幻想

2010-12-04 02:18:58 | Weblog

 
 
  血が固まらないまま
 
  黄色い花粉の上に落ちる
 
  雨がやみ
 
  急に風に雲が吹き飛ばされて
 
  青空が輝く
 
  
  高原には誰もいない
 
  音すら聞こえない
 
  人間がいないと
 
  地球はとてもいい所だ
 
 
  ハエの羽音だけが
 
  さっきから響いている
 
  どこにも見当たらないのに
 
  きっと幻聴なのだと思う
 
 
  ぼくという存在は
 
  ここでは無意味だ
 
  ぼくですら
 
  ぼくが無意味な気がするから
 
 
  だからそのうち
 
  消えてなくなるのだろう
 
  どこかに名簿が残っているかもしれない
 
  名前だけが書かれた
 
  なんの意味もない記号の羅列
 
 
  言葉を忘れる前に
 
  書いておきたいことがある
 
  それは
 
  とっても難しい思想のエッセンス
 
  つまりはこういうこと
 
 
  風の冷たさが気持ちいい
 
 
  太陽の輝きは
 
  持続している機械仕掛けの幻燈
 
  誰か意志のある者が営んでいる幻想
 
  僕だけにはわかる暗号化された象徴
 
  
  夢見の映画館で上映される作品は
 
  人口1人の僻地で受賞したサイレント
 
  題名は「輝ける闇」
 
 
  紺と紫の夜に
 
  水銀の星が散らばっている