蟻の行列のような雨粒が
窓ガラスを伝う
明かりを消すと
寒くもなく
暑くもない部屋の向こうに
光る雨粒
窓ガラスに言葉が光る
誰かがそこにいて
自動書記で書かれた文字
幾筋も伝う
滴り落ち
連なり
砕け
飛び散る
滑らかな表面に 執着もせず
拒絶もしない記憶の向こうに
落ちる雨粒
もっと遊べばよかった
欲するまま
試せばよかった
それで終わったとしても
終わりは終わり
永遠に続くものなど
なにも存在しないのだから
雨粒のような汗
滴り落ちる欲望
雨が上がれば
すっかり濡れた髪も乾き
一粒一粒の雨粒は
蟻の行列のように
小さな穴の中に消える
でも 雨は止まない
窓ガラスの外
びしょ濡れの風が
吹きつけている