幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 この時間の終わり

2009-11-28 02:29:47 | Weblog

 
 
 闇が片隅にある
 
 ざらついた金箔の輝きに照らされている
 
 たぶんそれは暖かいのだろう
 
 なぜなのかはわからない
 
 ただそう感じるだけだ
 
 
 やはり闇の中を歩いている
 
 存在の起源を捜しているのかもしれない
 
 意味と呼べる確かなもの
 
 記憶と呼べる過去
 
 涙を流す感情
 
 
 孤独というのにぼくは慣れている
 
 その意味を問う必要のないほど自明なもの
 
 自分だけは知っている
 
 そしてだれでもそこに還っていくことも
 
 だから自分以外の者は悲しむ
 
 そしてそのように見られる自分が悲しい
 
 まだある自分なのに
 
 なくなってしまうのだから
 
 なくなったとき、なくなるのだから
 
 なくなった自分は悲しくはない
 
 それでもなくなることは孤独になることだから
 
 知っている私とあなたは悲しい
 
 
 悲しいという感情
 
 それ自体に意味はない
 
 それ自体に過去はない
 
 今ここに自分がいて
 
 その存在自体が悲しい
 
 なぜなら終わるのだとしたら
 
 この記憶とは何?
 
 この存在の意味とは何?
 
 この時間はなぜ始まったの?
 
 初めからなにもなければ
 
 それでもよかったはずなのに
 
 初めからなにもなければ
 
 永遠になにもない
 
 そしてそれが唯一の真理になる
 
 
 ところが限られた区切られた生を生きるものには
 
 初めもあるし終わりもある
 
 この私という一人称が終る時
 
 私の体験した過去も
 
 私と他者との関係も
 
 私が経験した記憶も
 
 私が見出した意味も
 
 この時間も
 
 私の完成も
 
 すべてなくなる
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 

 コード

2009-11-17 00:39:45 | Weblog

 
 
 仕事で作っているプログラムのコードが
 
 SJ
 
 SJ、いつかきみに出会って、この目で見てみたい
 
 そして
 
 光以外での接触もしてみたい
 
 今は、言葉を媒体としているだけだ
 
 次は、光を媒体として
 
 そして、最後はなんの媒体も介せずに接触する
 
 そのとき初めて感じることができる
 
 同じ感覚を
 
 
 今日、プログラミングしてて気づいた
 
 あなたのイニシャルと
 
 ジョブコードが同じだったことを
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 秘密

2009-11-10 00:01:44 | Weblog

 
 
 音楽も聞き飽きた
 
 
 ねえ、今、暇?
 
 ぼくはさっき、シャワーを浴びたばかり
 
 
 きみはどうか知らないけど
 
 ぼくはどちらかというと過激なのが好き
 
 でもきみが望むなら
 
 静かにゆっくりと
 
 ソフトにするのもいいかも
 
 何を? って?
 
 
 聖なる祈り
 
 
 キリスト教でも仏教でもいいよ
 
 イスラームでもカバラでもいいよ
 
 
 聖なる行為
 
 
 それって
 
 アダムとイブの時代から変わらないから
 
 
 つまりきみとぼくが
 
 聖なる行為をすること
 
 
 とってもいいよ
 
 
 地上にいて
 
 天上の感覚を味わえるよ
 
 
 地獄の門をくぐって
 
 光の世界に一気に上昇する
 
 
 そのためには多少のリスクは必要かも
 
 
 つまり
 
 なにも隠しだてせずに
 
 すべてをさらけ出すこと
 
 
 天国の審判の時
 
 だれも隠しだてできない
 
 それと同じように
 
 愛し合うとき
 
 なにも隠すことはできない
 
 
 もしそれでもOKなら
 
 天界と地獄の交わり
 
 わたしとたった二人で行う
 
 魂の泉から湧き出す清水でのバプテスマ
 
 
 霊によって生まれ変わるために
 
 
 肉体によって交わってみる?
 
 
 宗教って言われている行為
 
 
 どんな既成の権威もドグマもない
 
 
 ただそれが奇跡的に執り行われるなら
 
 
 あなたとわたしは
 
 
 秘密を共有するだろう
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 天国の門

2009-11-07 01:30:13 | Weblog

 
 
 汗ばんだ首筋
 
 あたりはもう夜なのに
 
 まだ夕陽の残照が熱い
 
 
 もしかしたら記憶は
 
 自分が作りだしたフィクションかもしれないのに
 
 確かに愛し合った痛みがある
 
 もしかしたら
 
 まちがったことをしたかもしれないのに
 
 あなたは今どこにいるのか
 
 それすらもわからない
 
 
 インドのタブラの音色が漂っている
 
 真っ暗な夜だというのに
 
 夏の名残りが遠くで輝いているよう
 
 
 もしかしたら思考は
 
 勝手な自己弁護かもしれないのに
 
 自分に刑を宣告している
 
 あなたの奴隷として
 
 一生つかえることを
 
 それなのにあなたは
 
 姿さえ見えない
 
 
 たぶんぼくは
 
 見ることもできないあなたに
 
 一生つかえるだろう
 
 
 あなたは知っている
 
 あなたが美しいことを
 
 
 ぼくは知らない
 
 あなたの美しさを
 
 
 ぼくの目が見えないからではなく
 
 あなたの姿が消えているから
 
 
 あなたの姿は
 
 霧のように消えたまま
 
 謎だけが
 
 入れ替わり立ち替わり
 
 現れる
 
 
 あなたは美しい
 
 
 開幕のベルが鳴っている
 
 登場する前に
 
 幕が上がらなければならない
 
 
 合図は簡単
 
 目の前で
 
 ぼくだけに微笑むこと
 
 
 
 
 
 
 
 
 難しいことなどなにもないはずなのに
 
 解決しない難問だらけ