幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

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 春の風

2013-03-09 05:08:11 | Weblog

 
 
  春の青い空に聞こえてくるなつかしい音
 
  ぼくはじっと耳を澄ませて聴いていた
 
  それはぼくの深い深い中から聞こえてくる音と混ざり合って
 
  高揚した未来へ向けた郷愁のように
 
  この身体がぼくにとって未知であるくらいに
 
  何処へ向かって行けばいいのか
 
  わからないまま汽車に飛び乗るように
 
  やってみたんだ
 
  思いだせるかどうか
 
  忘れてしまった神秘
 
  もともと全てが新鮮で不思議だった
 
  まるで神がぼくを相手になぞなぞ遊びをしているみたいに
 
  とっても言いようのないほど
 
  その前では言葉なんて出ないほど
 
  いろいろななぞを出して来るんだ
 
  もちろんぼくには答えることなんてできない
 
  それをおもしろがっているのかどうかわからないけど
 
  ときには悪いことも、でも、悪いことばかりじゃなくて
 
  自分の中にその答えがあるような問いを
 
  わざときいているような
 
  でも、ぼくにはわからない
 
  ますますわからなくなる
  
  ますますわからなくなって
 
  気付くんだ
 
  春のような風が吹いてきたことを
 
  地球は太陽の周りを回っている
 
  ぼくっていう存在だって
 
  この宇宙の神秘の中に存在している
 
  なぜこの宇宙が存在しているのか
 
  答えられそうにもないなぞなぞを
 
  わざとぼくに問うているように
 
  ぼくは、無力になったり
 
  でも、その自分っていったい何なんだろう
 
  春の風のように
 
  どこかに吹いて行けるのだろうか