幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 どうして?

2010-09-19 00:12:27 | Weblog

 
 
  どうしたんだろうって思う
 
  いつもならやらなければならないことがたくさんあって
 
  それをしないと不安なのに
 
  今日のこと明日のこと
 
  思い煩い
  
  あの人のこと、この人のこと
 
  心配なのに
 
  
  夜
 
  空を見上げると星が輝いていて
 
  あの遠い星までの空間が上空にあって
 
  あの遠い星の輝き
 
  永遠の時間が今ここに無限に広がっていて
 
  存在していること
 
  全体が
 
  あたりまえのように理路整然と今ここに存在していること
 
  わたしもその中の一部なのだから
 
  明日が来るのも
 
  昨日が過ぎ去ったのも
 
  永遠の時間の中の一部なのだから
 
  どうして心配ばかりしている自分がいるのだろう
 
  存在することを選んだのは自分じゃない
 
  すでに今ここに存在しているのは
 
  自分が決めたことじゃない
 
  だったら未来も過去も
 
  この全体の中の一部なら
 
  大いなる全体を信頼するしかない
 
  それがこの自分でもあるのだから
 
 
  どうしてなのだろうって思う
 
  小さな自分が全体から分離して存在していること
 
  あの遠い星に還れないこと
 
 
  なぜなのか
 
 
  宇宙は無言で存在している
 
 
  小さな自分を包み込むように
 
 
  まるで全てが謎であるかのように
 
 
  この小さな自分が
 
 
  大いなる全体から分かれているかのように
 
 
  殻に閉じこもり
 
 
  発芽する前の種のように
 
 
  宇宙に放り出されて
 
 
  謎のなかでまどろんでいる
 
 
  内側を見つめ
 
 
  夢見ている
 
 
 
  どうしてなのだろう
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

  

 絶対

2010-09-13 00:19:00 | Weblog

 
 
  たった今さっき
 
  本当の権威が雲の間から現れて
 
  絶対はあると言った
 
 
  その絶対は世間にはない
 
  だから手放す
 
 
  相対界の絶対の法則
 
  それが光速の絶対性なら
 
  その光より速いものがあったら
 
  この世の時間はひっくり返る
 
  法律も政治も道徳も
 
 
  だから絶対を手放し
 
  手放すことによって
 
  絶対界を意識する
 
  この世、
 
  この相対の世間にあって
 
 
  ぼくは肉体を持ったひとつの限界
 
  精神も弱いし意志も弱い
 
  そこに相対の時間がのしかかったら
 
  簡単に壊れてしまう
 
 
  絶対が支えてくれない限り
 
  たったひとつの息もできないはずなのに
 
  ぼくはその絶対を手放す
 
  なぜならぼくはひとつの限界として
 
  この相対の世間に存在し
 
  壊れることを受け入れなければならないから
 
 
  やがて壊れる
 
 
  肉体を
 
  心を
 
  記憶を
 
 
  失う
 
 
  そのときが絶対だ
 
 
  それ以外
 
  絶対という言葉はあり得ない
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 

 たった一度

2010-09-07 23:34:51 | Weblog

 
 
  さっき木枯らしが吹いて凍えそうになったかと思ったら
 
  今度はべたついた潮風に真夏の蒸し暑さがからみついたような熱気
 
  でも本当は
 
  エアコンのリモコンをたった一度、ピッと押しただけ
 
  即効ってやつ
 
  押したり、解除したり
 
 
  スイッチひとつでこんなに簡単なのに
 
  未だに難しいことがある
 
  たとえばあなたに会うこと
 
 
  いつどこでどうやって?
 
 
  でも本当は簡単
 
 
  だれかほかの人のようにはいかない
 
  すでに見たストーリーのようにはいかない
 
  当たり前のこと
 
  ただそれだけのこと
 
  なぜなら
 
  一瞬一瞬はオリジナル
 
  あなたとわたしもたったひとつ
 
 
 
  
 
  一杯の水
 
  
 
  たったひとことの言葉
 
 
 
  一度だけの夜
 
 
 
  それとも朝
 
 
  
  昼でもいい
 
 
 
  なにもしなくてもいい
 
 
 
 
 
  たった一度
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 

 星空

2010-09-06 01:34:42 | Weblog

 
 
  さっき、星空を見に外に出た
 
  星空と言っても東京の空は星もまばら
 
  たぶん木星だろうか
 
  天頂に輝いていた
 
  その他の星はほとんど見えない
 
  それでも星たちの存在を感じた
 
  全身で
 
 
  ダンスをした
 
  木星に祈った
 
  天空の星星に祈った
 
  全生命、全宇宙の存在の幸せを
 
 
  愛を
 
  降り注ぎ給え
 
 
  存在の不思議と
 
  存在することを受け止められる強さを
 
  私に与え給え
 
  
  蝉がひっくり返ってそのままの形で死んでいた
 
 
  来年、また夏がくると蝉が鳴きだす
 
 
  鳴いて、交尾して、子孫を残す
 
  自分と同じ姿、形
 
 
  生命は循環し、生まれ変わる
 
 
  人間は死を悲しむ
 
 
  動物は悲しまない
 
 
  人間は死者を想う
 
 
  死者はいなくなり
 
  想いは残る
 
  生者の中に
 
  受け継がれていく
 
 
  目に見えない循環
 
 
  生も死もない存在の総体
 
 
  巡り巡りながら
 
  愛を増していく
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 その日のうちに

2010-09-02 00:40:07 | Weblog

 
 
  ことばで遊ぶ
 
  イメージで遊ぶ
 
  
  いいことを思いついても
 
  時間が追い越していく
 
  もう手が届かない
 
  過ぎていく時間は
 
  やっぱり死に向かっている
 
  逃れられない
 
 
  なにを基準にしていいかわからない
 
 
  それでも自然に湧き上がってくることを
 
  ただ
 
  そのときそのとき
 
  こなしていくしかない
 
 
  未来が見えない
 
  明日のことなどなにも
 
  わからないから
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

  

 絵筆をはじめに置くとき

2010-09-01 01:38:35 | Weblog

 
 
  真っ白なキャンバスに
 
  絵筆を置くとき
 
  黒い絵具が
 
  何かの形に見えてくるとき
 
  
  内側から
 
  作用反作用のエネルギーが湧き上がってきて
 
  記憶と祈りが吊り合って
 
  どんどん深く深く胸をえぐる
 
  
  それでいい
 
  それじゃだめ
 
  せめぎ合って
 
  どうすることもできない
 
  でもたったひとつできることがあるとしたら
 
  どうする?
 
 
  それをするには
 
  とっても慎重にやらなくてはならない
 
  失敗したら全部おしまいだ
 
  でも同時に
 
  とっても大胆にやらなくてはならない
 
  びくついていたら
 
  最初から失敗だ
 
 
  気合いを込める
 
  失敗なんて有り得ない
 
  なんでも、どんなことでも
 
  すべてはオーライ
 
  
  目が見たものが
 
  情熱と混ざり合って
 
  自ら姿を変えていく
 
  
  生命のエネルギー
 
  性のエネルギー
 
  記憶の
 
  タブーの
 
  個人の
 
  社会の
 
  神話の
 
  感情、トラウマ、夢、祈り、欲望
 
  全てが混沌と混ざり合い、触発し合って
 
  色彩が混交し
 
 
  目に見えるものが世界に変貌していく