幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 くもったそら

2005-06-29 19:21:07 | Weblog

 
  綿毛の雲に
  包まれて

  まどろみ

  離脱する

  あの子のかを

  ねぇ
  見てよ
  こんなに

  なにしても
  いいよ

  でも
  しゃべらないで

  いい?

  なにしても

  笑わないで





 汗ダラダラ

2005-06-27 22:22:37 | Weblog

 
  油汗をダラダラ流し
  固い腱を指でたどれば
  横滑りして
  埋没する
 
  女はバーチャル
  青紫のシグナルで誘惑し
  走り去る
 
  肉のスティックを
  柔らかい粘土に突っ込み
  一気に引き抜くと
  スポンと穴が開いて
  痛痒い
 
  女は言葉になる
 
  にじみ出た
  尻の海に
  月が碧く映る
 
  もうすこし本気で
  からかったら
  詩になったかもしれない
 
  そう
  窓から
  街路樹の上に
  放り出した
  魂
 
  ドクター
  拾い上げて
  コレクションしてくれよ
 
  きみのジョーク
  殺してやるから
 
  食卓に並べて
 
  メイクラブしようじゃないか
 
  鏡に映った
  逆さまの
  文字
 

  

 赤黒い

2005-06-17 11:24:06 | Weblog

 
  ルビーのスープに
  オニキスのパン

  食べられるのは
  エメラルドのパセリだけ

  かじって
  つばを吐く

  欲情した死体

  赤い絵の具
  と
  黒い絵の具
  で
  死に化粧

  トパーズの裸石つまんでくわえ
  イエローブルース唸れば
  ザクロの匂い
  はじけて刺さる

  まつげの先端




 考えることより

2005-06-08 22:11:57 | Weblog

 
  考えることより
  睡眠を必要としている

  昨日は3時

  今日は何時?

  哲学の先生
  ごめんなさい
  居眠りしてしまって

  豚に真珠
  いや
  釈迦に説法

  とても気持ちよかったんです
  涅槃に行っていたんです

  けっして
  先生のお話しが
  眠たいわけではなかったんです

  それどころか
  とっても興味深かったんです

  でももう
  限界で
  考えるより
  眠ってしまったんです

  目覚めると
  授業が終わり

  斜め後ろの女の子が笑っていた

  けっして先生の授業がつまんなかったわけでは
  なかったんです

  ただ彼女の笑い顔が

  やわらかな頬とえくぼが

  とっても魅力的で

  目覚めてすぐに

  勃起してしまい

  ズボンのポケットに手を入れて押さえながら席を立ち

  先生に会釈もできなかったんです

  何食わぬ顔で

  やっと教室から出たら

  少し眠ったので

  スッキリしていることに気づきました


  頭が


  それ以上の爽快は
  欲望しません

  彼女の笑顔を
  現象学的純粋意識に
  必当然的に

  記憶するだけです

  だって宇宙は
  extensio

  そして私は
  cogito

  だから

  しかし

 「我あり、故に神あり」?

  彼女と議論したくても

  実用的じゃないからしたくない ね?

  それより
  したいことあるから?

  でも しないのは

 “意志”が“悟性”からずれて 突っ走り

 “誤謬”を生むから




 六本木の夜明け

2005-06-07 11:58:04 | Weblog

 
  六本木の夜明け

  木もない
  川もない
  鳥もいない

  朝日に白んだネオンの上を
  カラスが旋回し

  夜を明かした
  異国の男女が
  交差点を渡る

  極東のクラブで踊り明かし
  16ビートのリズムで腰を動かし

  成金、ホステス、不法外国人

  始発の地下鉄で
  消えて行く

  そびえ立つ
  666ビルディングの最上階

  見下ろす
  支配者の地面に

  堕ちる
  小金、小金、小金

  ついばむ
  カラス、カラス、カラス