幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

炎と水

2014-09-23 20:21:17 | Weblog


今、水風呂に浸かっていた

インドの虎が身体を冷やすために、白昼、川に浸かっているように

僕は今日、亜熱帯の太陽に照らされた訳ではないが

自らの欲望によって、常に焼かれている

水風呂に浸かっていると、身体が冷えて、頭が冷えて、脳味噌が冷えて

心臓が冷えて

意識が冷えて

なくなってしまえば、いい

この僕が無くなれば

この苦しみも消える

そうに違いない

でも、この苦しみは、希望でもある

この肉体が存在していることの

そして息をし、血液が循環し、心臓がはち切れんばかりに鼓動していることの

そして僕は、魂だけの存在ではなく

この肉体でもあることの

そして、このカラダを、何か別の生き物のように感じる

コントロールできない、調教できない野生の虎

もう老いてはいるが

絶対に手なずけられない本能

一度それに火がついたら

水に浸かって心臓を凍らせるしかない

つまり、このカラダは、氷のように死ぬしかないのだ



僕の頭が言葉を紡いでいる

でもそんなこと、なんの役にも立たない夢なのだ

赤い炎が揺らいで

言葉すら焼き尽くそうとしているとき

必要なのはバプテスマの水

そして、あなたしかないのだから
























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