幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 癒し

2014-02-25 00:10:03 | Weblog

 
 
  数年前
 
  伝説的な日々があった
 
  あの頃、天使は無理して天使を演じていたのかな?
 
  ミカエル大天使は、ルシファーだったのかな?
 
  ぼくにはわからない
 
  その後の消息のことについて
 
  聞いたことも、見たこともない
 
  
  ぼくにはカウンセラーが必要なのだ

  今も、あのときも、あのときからずっとそうだったのだ
 
  安楽椅子に横になったぼくを精神分析する優秀なカウンセラーだ
 
  でも、フロイト流の精神分析はごめんだ
 
  そして、料金がべらぼうに高いのもごめんだ
 
 
  電話でのカウンセリングは受けたことがある
 
  でも長続きはしなかった
 
  ぼくには何事も長続きはしないのだ
 
  だから、電話でのカウンセリングで治ることなんてなかった
 
  当然だ
 
  そんなに簡単に治る訳がない
 
  僕は、もっと、もっと、もっとずっとひどく、ひどくひどく
 
  病んでいるのだ!
 
  だれもこのぼくを癒せる人はいないだろう
 
  たとえ天使でも
 
  速足で逃げて行った
 
  逃げて行った
 
  目を伏せて、ぼくを見ないようにして、速足で
 
  逃げて行った
 
 
  ぼくを癒せる人なんてどこにもいないのだ 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 精神性

2014-02-23 22:02:26 | Weblog

 
 
  「精神性か」
 
  「それがどうした?」
 
  「そんなもんたいしたもんじゃないぜ」
 
  「そんなこととっくに知ってるさ」
 
  「なんだかみんな後生大事にしてるけど」
 
  「ホロコーストに会った人には大切だろうけど」
 
  「そうじゃない普通の人間には無縁の代物だろ」
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 ニルヴァーナ

2014-02-14 23:38:21 | Weblog

 
 
  ニルヴァーナ
 
  って言ってもグランジの奴じゃないよ
 
  仏陀のニルヴァーナ
 
  人間の意識の最終形
 
  想像することすら出来ない境地だから
 
  それについて議論するなんて野暮なことだよね
 
  でもそれが仏陀だけのものだったら
 
  凡人には関係ないんだったら
 
  そんな言葉が存在すること自体が無意味だよね
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



 頭

2014-02-14 23:23:42 | Weblog

 
 
  がまんのコツを少しつかんだよ
 
  頭で考えないようにすること
 
  あらゆることは移り変わっていく
 
  僕が僕でいられるのも
 
  あと僅かな時間だけ
 
  そんなことばかり考えている僕の頭
 
  だんだんと鈍感になっていくんだよ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  

 
 
 
 
 
 
 


 夜が暗いように

2014-02-13 02:54:13 | Weblog

 
 
  誰にとっても夜は暗いように
 
  ダイヤモンドの光は眩しいように
 
  フランス料理は美味しいように
 
  誰に訊いても同じ答えが返ってくるだろう
 
 
  どんなに不幸が自分に降りかかってこないように祈っても
 
  明日なにが起きるか誰にもわからないと
 
  
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  

 逃げろ!

2014-02-13 02:34:51 | Weblog

 
 
  みんな逃げろ、逃げろ
 
  道端に転がる前に、道の果てまで走れ
 
  押し寄せてくるぞ!
 
  
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 僕は確かにそこにいた

2014-02-05 02:47:15 | Weblog

 
 
  僕は確かにそこにいた
 
  がたがた座りの悪い丸テーブル
 
  汚れてベトベトしている
 
  大きな窓ガラスから外が見えるが
 
  暖かい雨がパラパラ降っている
 
  雨は強い風に吹かれてあっちへ行ったりこっちに行ったり
 
  街路樹の柳の枝もフサフサと揺れている
 
  大きな窓ガラスには真っ赤なカーテンが端っこによせてあって
 
  ちょうどビロードの光沢のように外の光を反射させて赤く光っている
 
  丸テーブルにパイプに布地が張っていある折りたたみ椅子
 
  まるでガーデンデッキに置くのにぴったりのテーブルと椅子だが
 
  こんなレストランの中に配置されている
 
  こんなに安っぽくて薄汚いレストラン
 
  僕は確かにそこにいた
 
  そこにわざわざ船に乗って渡って来た
  
  店員も誰もいないが、向こうに家族連れの客が見える
 
  まだ注文の品は運ばれていないようだ