幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 ぐるぐる回る地球は詩人を必要としている?

2013-06-28 00:36:11 | Weblog

 
 
  ぼくのこと、詩人だと思う?
 
  きみにとっては、初めて出会う詩人
 
  いろんな引き出しがあって
 
  いろんな経験をしてる
 
  でもどれも中途半端
 
  完結しているものなんて何一つないんだ
 
  普通に考えたら、中途半端で何の役にも立ちやしない
 
  こんな人間
 
  生きているだけで、酸素と炭素とH2Oとたんぱく質の無駄使いっていうもんだ
 
  でも、普通には考えないような方法で考えたり
 
  普通ではしないような行動をしたりする
 
  なぜなら僕がありきたりの方法で考え始めたりしたら
 
  地面に頭を埋めてしまうと思うよ
 
  頭のとさかに火が付いたニワトリのようにね
 
  天の邪鬼のように見えるかもね
 
  ときには嘘つきに見えるかもね
 
  でも、本当はとっても正直なのが分かるだろ?
 
  でも、詩人の言葉は、ときには釈迦の方便ってことだってあるかも
 
  でも、騙されても、怒ったりしないよね
 
  だって、騙して金品を奪おうっていうんじゃなくて
 
  愛をただ与えたいだけなんだから
 
  そのためには、なんだってする
 
  言葉巧みに、ハートに火をつけるような詩を書けたらいいなと思っている
 
  こんなふうに、語った人は他にいた?
 
  ぼくみたいな詩人、他にいた?
 
  自分で自分を詩人と呼ぶような男に、今まで出会ったことなんてあった?
 
  もし、ぼくが最初なら、お話ししようよ
 
  楽しいお話を
 
  ぼくの話しを聞いて
 
  ぼくはきみのお話しを聞くよ
 
  何時間でも、何日でも、何年でも
 
  そして、感じ合おうよ
 
  いつもと違うことを
 
  今まで一度も経験したことのないことを
 
  でも、地球はぐるぐる回っている
 
  きみとぼくを乗せて
 
  宇宙を永遠に旅している 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 心臓に突き刺さった矢

2013-06-27 01:04:37 | Weblog

 
 
  魅力的なあなたが放った 存在という矢が ぼくの心臓に突き刺さった
 
  血しぶきを撒き散らしながら ぼくは あなたのもとに走った
 
  どうしたの? その心臓 とあなたは言った
 
  きみがこうしたんだよ とぼくは言った
 
  あなたがぼくの心臓から 矢を引き抜こうとしたしたとき ぼくは言った
 
  どうかそのままにしておいてくれ!
 
  どうかそのままに
 
  たとえぼくが死んでしまおうとも
 
  あなたは言った どうしよう 死んじゃう
 
  ぼくは自分の破けた心臓をあなたに見せつけながら
 
  あなたを強く抱いた
 
  苦しい とあなたは言うけど ぼくはもっと苦しい
 
  だから もっと強く抱き締めさせてくれ
 
  もっともっと強く
 
  息もできないくらい強く
 
  この破れたハートで あなたの存在のすべてを
 
  抱き締めさせてくれ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 

 満月の夜

2013-06-24 15:07:57 | Weblog

 
 
  A,B,C,D

  熱帯魚の水槽の泡が

  水面に向かって上っていく

  天上界に憧れる魂のように

  千のフローレスダイヤの輝き


  ブルーの光が反射しているトンネルを抜けると

  僕の真っ赤な心臓は熱い

  僕の意思とは無関係に

  まだ鼓動をやめない

  別の生き物のように
 
  胸の中で暴れている


  目と鼻と口がついたこの顔は

  さながら悟性的感覚センサーの集積機だ

  それでも、ただ見て聴いて味わうだけでは

  それが何か、すべてを知ることはできない

  ハートの命じるまま
 
  (それがなにか知らなくても)

  触れて感じなければならない

  この全身で

  目に見えず、耳に聞こえず、舌で味わえず、鼻で嗅げない神聖なる神秘

  宇宙の被造物にして、この世でもっとも美しい生命

  息をし、

  僕も息をし、

  彼女の息を僕の息で吸い込む

  ハートは鼓動し、ついに耐えきれず

  破れ

  感情が見えない血しぶきとなって

  飛び散っていく

  満天の星空の
 
  宇宙の一部として


  満月の夜
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 僕は、まちがったやり方しかできない

2013-06-21 01:12:45 | Weblog

 
 
  とがった鉛筆のような
 
  細い指に
 
  僕の指を絡めて
 
  あなたの冷たさを確かめ
 
  僕の熱を伝えようとする
 
  細い両腕を掴んで
 
  抵抗できなくして
 
  でも
 
  だめだとささやくのが聞こえ
 
  僕は筋肉を弛緩させ
 
  両手をほどく
 
  こんなやり方じゃない
 
  だめだ
 
  一番まちがったやり方だ
 
  子鹿に飛びかかり
 
  前足で羽交い締めにして
 
  細い首に牙を立てるライオン
 
  こんな狩みたいなやり方
 
  死の恐怖しか与えない
 
  小鳥がメスを呼び入れる暖かいベッドをつくり
 
  その前で羽を広げて鳴くように
 
  直接触れたらいけない
 
  指一本だって触れ合わず
 
  ひたすら合意を請いつづけ
 
  恋つづけ
 
  歌いつづけなければならない
 
  天使を抱くには
 
  自らの肉体を
 
  虚しくしなければならない
 
  胸の奥の燃える炎は
 
  たった1滴でも
 
  欲情を含んではならない
 
  僕は二度とまちがったやり方はしない
 
  そう心に誓うけれど
 
  僕には、はたして、正しいやり方ができるのだろうか
 
  小鳥は本能のままに歌い、ダンスするけれど
 
  僕は、本能のままには行動できなくなってしまった
 
  曲がりなりにも、理性を持つ人間だ
 
  ホモサピエンスだ
 
  動物ではないが、天使にもなれない
 
  その中間で、夢見、昇華できない欲情を
 
  あなたのような神聖な存在に出会って
 
  恋い焦がれる
 
  獣に近い存在なのだ
 
  天使にとっては、永遠にまちがったやり方しかできない
 
  進化の途上の野蛮人なのだ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 夜

2013-06-05 00:37:40 | Weblog

 
 
  夜、涼しい夜
 
  あなたは今、なにをしているのだろう
 
  ぼくだって、自分で思う
 
  ぼくは、いったい、なにをしているのだろうって
 
  あなたは今、ぼくがあなたのことを想っているように、ぼくのことを想っているのだろうか
 
  ぼくがあなたの姿形をイメージしているように、ぼくの姿形をイメージしているのだろうか
 
  あなたの目
 
  あなたの脚
 
  あなたの唇
 
  あなたの胸
 
  あなたの舌
 
  あなたはぼくのどこを想い浮かべているのだろう
 
  あなたがぼくに自分のことを話してくれたとき
 
  ぼくはあなたの身体を見つめていた
 
  仔細に、詳しく、今、想い出している
 
  あなたの目
 
  あなたの肩
 
  あなたの脚
 
  ぼくはあなたの記憶を見つめる
 
  夜なのに
 
  眠れず
 
  あなたが目の中にいる
 
  ぼくの身体の中にいる
 
  あなたの声は
 
  ぼくの身体に流れる
 
  熱い血
 
  心臓の鼓動
 
  あなたの言葉は
 
  ぼくの身体の中に流れ
 
  ぼくの身体は熱く
 
  あなたを想い
 
  眠れずにいる
 
  夜