(詩人気取り? 違うか? ww)
貧乏人
ぼろアパート住まい
デパートに貧乏人が行った翌日
汚い街から出てはいけないと思い
薄汚い押し入れに篭って
夢想した
子供の頃の思い出
素性を見破られ
侮辱された
殴って
逃げたが
あの
俺を嘲笑した金持ちの息子は
くちびるがえげつなかった
昨日行ったデパートには
くちびるが
生まれつき金持ちそうな女がいて
(そう、俺はくちびるを見ればたいていのことは判る)
ガラス窓の向こうで
高そうな何かを喰っていた
くちびるの中に
ナイフで切ってフォークに刺した何かを
金持ちがよくやる仕草で
押し込んでいた
高い金を払ってるんだろう
それを自慢したいのか?
それとも
肉が旨いのか?
それなのに
微笑みもしないのは何故か?
食われた肉の主が憐れだからか?
でも何の肉だか分からない
豚でも牛でも鳥でもマトンでもない
きっと金持ちにしか喰えない種類の肉だ
七面鳥とか
ウコッケイとか
なんとか類の
新種の特別天然記念物で
モナコ公国の島にしか生息が許されない
フォアグラとか
キャビアとか
カピバラとか
オレは喰ったことがないから分からないが
そんな名前の食い物に違いない
そんな名前の食い物が
一番高級だと聞いたことがある
でもオレが贅沢して喰えるのは
福袋チェーンの
500円ワンコインの
レバニラ炒め定食特別仕様バージョンだ
賞味期限切れのレバーを使っている
貧困層用特別メニューだ
それを喰うには
マイナンバーカードの提出が義務付けられている
過去6か月の間
666円以上の
飲食代の支払い履歴がある者は
“貧困層特別メニュー”を注文できない
でもこんなオレでも
こんなに汚い格好をしてても
高級デパートの中に
入ることはできる
そして
吊るしてある服を汚い手で触って
値段の札なんかをひっくり返して見て
並んでいる数字の桁を数えたりすることもできる
一、十、百、千、万、十万
十万の位!
ワオ!
オレが買えるのは
せいぜい百の位のやつだ
昔、先生がそう教えてくれた
算数の先生だ
君が大人になって買える服は、
百の位の値札がついたものだけよ。
そう言われた
嘲笑されながら
クラス中に
嘲笑されながら
2022.10.16 facebook に投稿