幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

デパートにいた金持ち(2022.10.16)

2022-10-17 19:03:00 | Weblog
 
(詩人気取り? 違うか? ww)
 
貧乏人
 
ぼろアパート住まい
 
デパートに貧乏人が行った翌日
 
汚い街から出てはいけないと思い
 
薄汚い押し入れに篭って
 
夢想した
 
子供の頃の思い出
 
素性を見破られ
 
侮辱された
 
殴って
 
逃げたが
 
あの
 
俺を嘲笑した金持ちの息子は
 
くちびるがえげつなかった
 
昨日行ったデパートには
 
くちびるが
 
生まれつき金持ちそうな女がいて
 
(そう、俺はくちびるを見ればたいていのことは判る)
 
ガラス窓の向こうで
 
高そうな何かを喰っていた
 
くちびるの中に

ナイフで切ってフォークに刺した何かを
 
金持ちがよくやる仕草で
 
押し込んでいた
 
高い金を払ってるんだろう
 
それを自慢したいのか?
 
それとも
 
肉が旨いのか?
 
それなのに
 
微笑みもしないのは何故か?
 
食われた肉の主が憐れだからか?
 
でも何の肉だか分からない
 
豚でも牛でも鳥でもマトンでもない
 
きっと金持ちにしか喰えない種類の肉だ
 
七面鳥とか
 
ウコッケイとか
 
なんとか類の
 
新種の特別天然記念物で
 
モナコ公国の島にしか生息が許されない
 
フォアグラとか
 
キャビアとか
 
カピバラとか
 
オレは喰ったことがないから分からないが
 
そんな名前の食い物に違いない
 
そんな名前の食い物が
 
一番高級だと聞いたことがある
 
 
でもオレが贅沢して喰えるのは
 
福袋チェーンの
 
500円ワンコインの
 
レバニラ炒め定食特別仕様バージョンだ
 
賞味期限切れのレバーを使っている
 
貧困層用特別メニューだ
 
それを喰うには
 
マイナンバーカードの提出が義務付けられている
 
過去6か月の間
 
666円以上の
 
飲食代の支払い履歴がある者は
 
“貧困層特別メニュー”を注文できない
 
 
でもこんなオレでも
 
こんなに汚い格好をしてても
 
高級デパートの中に
 
入ることはできる
 
そして
 
吊るしてある服を汚い手で触って
 
値段の札なんかをひっくり返して見て
 
並んでいる数字の桁を数えたりすることもできる
 
一、十、百、千、万、十万
 
十万の位!
 
ワオ!
 
オレが買えるのは
 
せいぜい百の位のやつだ
 
昔、先生がそう教えてくれた
 
算数の先生だ
 
君が大人になって買える服は、
 
百の位の値札がついたものだけよ。
 
そう言われた
 
嘲笑されながら
 
クラス中に
 
嘲笑されながら
 
 
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なにかを失くしてしまった?(2022.10.15)

2022-10-17 19:00:00 | Weblog
 
(詩人気取り? ww)
 

こういうときはどうしよう?
 
つまり
 
なにかがなくなってしまったようで
 
頭がふらふらしている
 
つまり自分の中にあったなにかが
 

まず街中に出るのはよそう
 
夜中なら静かでいいが
 
日中はとても危険だ
 
なぜなら
 
太陽だけが静かに照っているような場所は
 
まずこの辺りにはあり得ないから
 
 
図書館にでも行こうかと思うが
 
図書館も満員
 
 
車を修理に出した
 
自分も修理したい
 
 
病院は満員
 
公衆便所も満員
 
蕎麦屋は昼過ぎにはすいている
 
でも冷たいもりそばばかり食べない方がいい
 
なぜなら
 
たまには温かいそばを食べて

あなたと出会い

もしできれば
 
そのままどこかへ行ってしまいたいから
 

あなたは昨日のあなたじゃない
 
そうだろ?
 
私も昨日の私じゃない
 
それが自由ってことだから
 
誰かがぼくを見たとしても
 
誰も気付かない 
 
あなたを見たとしても誰も気付かない
 
自分で規定した枠の中に収まって
 
それが自分だと思っていたら
 
それは額縁であって絵じゃない
 
絵はイマジネーション
 
枠の中に無限の空間が拡がっている
 
 
あなたは
 
誰かとした交わした
 
約束を忘れて
 
もっとリラックスするべきだ
 
本当は
 
なにもすべきではない
 
記憶を喪失して
 
ただありのまま
 
そこにいるだけでいい
 
そこにいないことなんて、だいいち、できない
 
でも
 
ただそれが
 
ぼくと重ならないことが不満
 
つまりは
 
重なってしまうということ
 
 
重なってしまうと
 
消えてしまうだろ?
 
つまりは
 
存在は
 
消えるまでの
 
過程でしかない
 
 
みんな消えてしまった
 
どこに?
 
不可知なところに
 
ひとりで?
 
そう
 
ひとりで
 
あの人も
 
あの人も
 
 
残ってうごめいているのは
 
不完全だからだ
 
つまり
 
記憶なんて
 
喪失するまでの過程だ
 
執着し
 
自分に
 
あなたに
 
そして
 
つまり
 
なにかをなくしてしまった
 
 
 
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