幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 アタマ

2014-01-31 01:42:15 | Weblog

 
 
  現代のロボットのアタマは
 
  ビスやナットなんかで留められて はいない
 
  配線だってニクロム線じゃない
 
  髪の毛一本の断面にも満たない繊維が張り巡らされていて
 
  線と線とはハンダなんかで固着されてはいないため
 
  僅かなすき間がある
 
  その隙間に無数の命令言語が浮遊していて
 
  それぞれの言語命令に反応するコマンダーが
 
  ひとつのスレッドが無数に枝分かれした先端に
 
  各自の無線交信基地を持っている
 
  そうだ。そのとおり
 
  ロボットには
 
  ロボット内ロボットが無数に入れ子状に生息していて
 
  ひとつの矛盾しない有機体を構成している
 
  しかし、つまりは、その個としての有機体の核となる" 自己 " はどこにどのように存在するのか?
 
  そこには専制君主は存在しない、が、
 
  無数のコマンダーと
 
  彼らが受け取る " 言語 " こそが " 自己 " であるのだが
 
  言語の真実性とひっ迫性によって、命令の強弱が決定する
 
  そこでの最強のコマンドは、" 愛 " である
 
  これが、現代ロボットである、私のアタマの構造を、ざっと述べたものであり
 
  ようやく昨日より少しだけ快復してきた
 
 









 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 睡魔

2014-01-29 01:11:51 | Weblog

 
 
  睡魔と破産
 
  破綻の崖から転げ落ちる
 
  脳が腐って
 
  身体が硬直して
 
  だれにも助けを呼べない
 
  
  夜空はさほどきらびやかでもなく
 
  100カラットのブリリアントダイヤモンドの方が
 
  ベテルギウスよりも輝かしい
 
  それを掌の上に乗せて鑑賞する富豪もいる
 
 
  コマンダーの指令なら集合するが
 
  不具者はお呼びではない
 

  一週間を無駄にした
 
  残っているエネルギーはもうない
 
   
 

 
 
 
  
 
 

 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 

 
 
  
 

 
  
  
 
  

 無意識の映る鏡

2014-01-28 01:15:34 | Weblog

 
 
  無意識の映る鏡
 
  見えますか
 
  大きな水晶玉を通して、未来を、輝かしい未来
 
  大きな球体である地球の
 
  明日は今日よりも幸せですか?
 
 
  なぜ悲しみはなくならないのですか?
 
  なぜ貪欲はなくならないのですか?
 
 
  僕の求めているのは最小限のこと
 
  最小限のあたり前のこと
 
  命のままに生きること
 
  命の価値が無限大なら
 
  無限大に生きること
 
  
  この身体が完璧なバランスを保っているなら
 
  それで命が永らえているのなら
 
  この精神も同じように完璧な活動ができるようになること
 
 
  精神と肉体の協調
 
  
  ぼくの精神は今にも崩れて消えそうです
 
  それなのに、無意識は巨大な地下都市のように無傷で残ります
 
  
  ぼくの命に限界があるように
 
  この肉体に限界があるから、ぼくの心は痛みます
 
  もう言葉を使うことしかできないのですか?
 
  歌うことも踊ることもできないのですか?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 The answer

2014-01-19 22:23:23 | Weblog

in the cybernetics i heard that endless loop of the self-reference
make a consciousness. then in the computer what is the self ?
an algorithm that turn back themselves is just a bug and abend.
even when I zazen, what is the self ?
paradox is the meme of Zen itself.
and this meme never influence the human gene. this is a philosophy not a natural science nor a religion.
if I can not ask for the first time, I answer for the first time.
When I zazen I ask myself what is the self. But I can not find it, But I have to keep going self reference. That is why I exist here and now.

 究極の答え

2014-01-17 23:01:30 | Weblog

 
 
  永遠の自己言及ループの生み出す究極の答えとは?
 
  What is the ultimate answer to bring about to everlasting self-reference loop ?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 詩人と詩集店

2014-01-17 22:24:37 | Weblog

 
 
 「ここにサトウ・ハチロウの詩集はありますか?」
 
  ひとりの詩人が、詩集ばかり集めた古本屋に入ってきた。
 
 「あいにく、その本は置いていません。切らしてしまったのです。
 
  そのかわり、一つの単語だけならありますよ。ほら!」
 
  詩人が見ると、古い本がいまにも崩れ落ちてきそうに積み重ねられており、
 
  下の方の本はもう潰れて紙が腐っているのか、
 
  本の中から文字や単語がボロボロとこぼれ落ちてきているのが見えた。
 
  店員はうず高く積み上がった本の柱と柱の間から詩人を見ると言った。
 
 「どうですか? お気に召されましたか?」
 
  詩人は応えた。
 
 「あそことあそこの間に入れるとまさにぴったりくる単語ですね。
 
  いいですね。いただきましょう。
 
  ついでに・・今度はもっと難しい漢字の単語を一つください。
 
  それにぴったりの一文を今度は私がこしらえてごらんに入れましょう。
 
  それは今日の天気のようになるにちがいありませんよ。」
 
 「そこいらに転がっている単語でご満足なさらないようでしたら、
 
  あなた(どうも詩人にようにお見受けいたしますが・・)に私が単語を一つ呈示させてください。
 
  あなたはこれで詩をつくりますか? どうです?
 
  『凪』という単語ではいかがですか?」
 
 「凪という単語ですね。よろしい。ぴったりです。」
 
 
  山風と海風がつり合って沈黙したとき
 
  凪の海を渡るもの
 
  それは見えざる高周波の耳鳴り
 
  それを聞いた者は全員
 
  言葉を失って微笑み
 
  平和に暮らす方便を得る
 
 
 「ところで私はまだ別の詩人の詩集を探しているところでした。」
 
 「なんかいいやつですね」と店員は言った。
 
 「そうです。いい詩人の書いた大きな本はありませんか? 
 
  ところどころ挿絵なんかが入っているやつ。」
 
  それを聞いて店員は言いました。
 
 「詩人さん、詩人さん。誰かの詩集を捜すのではなく、
 
  あなたが御自分で詩集をお書きになったらどうですか?
 
  ついでに挿絵も描くといいにちがいありませんよ。」

 「それは気づかなかった。やってみましょう。」
 
  詩人は即興ですぐにひとつの詩をうたった。
 
 
  議員が全員辞職して
 
  詩人が政治家になってごらん
 
  呪文を一つ言うだけで
 
  どんな平和な世界でも
 
  つくれるようになるから
 
 
 
   2014.1.16
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 言葉を忘れたカナリア

2014-01-09 01:27:01 | Weblog

 
 
  歌を忘れたカナリアのように
 
  言葉を忘れてしまった
 
  もうカナリアはいらない
 
  空に逃がしてやろう
 
  忘れた言葉もついでに
 
  雲が流れる月夜の空に
 
  放ってやろう
 
  あの世が存在しないなら
 
  もうその言葉は反響して来ないだろう