幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 終わりの始まりの日

2011-04-20 09:46:03 | Weblog

 
 
  今日は特別な日
 
  終わりの始まりの日
 
  ぼく一人だけで
 
  祝福する
 
 
  幼い子供の頃から知っていた
 
  創世記から始まったこの世界は
 
  もうすぐ黙示録を迎えることを
 
 
  そしてたどり着いたキーワードは

  天上界、UFO、日本だった
 
 
  霊的奔流に巻き込まれ
 
  訓練をさせられるはめになったが
 
  それが何の役に立つのか
 
  ぼくはわざと訊かなかった
 
 
  世渡りの上手い連中には
 
  KYと言われるが
 
  ぼくは違う空気が読める
 
  世俗に漬かっていたら
 
  その片鱗すらも感じることはできない
 
  とても霊妙な空気
 
  意思があり
 
  なにかを無言でささやいている
 
  人間は誰もそれに耳を傾けない
 
  でも、イルカはそれを聞いているにちがいない
 
 
  本当の知性は
 
  無限の美と平和をこの世に実現できる
 
  ただ人間だけは
 
  耳を傾けることを忘れてしまった
 
  悲鳴を上げ、雑音を発しながら
 
  自滅に向かって闇雲に走り始めてしまった
 
  目隠しして、ギャーギャー騒いで
 
  他人を蹴落とし、追従する仲間を増やしながら
 
  もし止まったら、それでもう自分の存在意義は失われるのだと思い込んで
 
  自滅に向かって走り始めた
 
  あと少し行けば
 
  断崖絶壁に差し掛かる
 
 
  海には心地よい風が吹いていて
 
  上空の空気は澄みきっている
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 夜の鼓動

2011-04-13 00:35:03 | Weblog

 
 
  僕の身体は重く
 
  頭も回らない
 
  眠っても休まらず
 
  悪夢を見ては目を覚まし
 
  目覚まし時計を見つめる
 
  まだ夜中だというのに
 
  もうすぐ起きなければならないような気がする
 
  楽しい夢も見られないし
 
  ぐっすり眠ることもできないのだから
 
  結局は
 
  また寝返りを打ち
 
  心臓の鼓動を聞く
 
  心臓の鼓動は速く
 
  こんなに速く打つのなら
 
  早く死ぬのだろうなと思う
 
 
  一生とは心臓の鼓動なのだ
 
 
  快楽もなく
 
  ただ速くなったり遅くなったりして
 
  終いには止まるのだ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 あまりかわりはしない

2011-04-07 02:24:13 | Weblog

 
 
  あまりかわりはしない
 
  10年だろうと30年だろうと70年80年だろうと
 
  違いはない
 
  
  違うとすれば
 
  埃っぽい空気に
 
  熱せられ、照らされた昼下がり
 
 
  日曜日に礼拝に行き
 
  家に帰る道すがら
 
  聖なるものを選び
 
  地面を見つめる
  
  善と悪が隣り合わせに
 
  右足と左足
 
  
  昼食を食べ
 
  進化論を否定し
 
  思想で遊ぶ
 
  夕暮れの光と戯れるように
 
  響いてくる黄昏
 
 
  子供は子供であることを忘れ
 
  今いる所すら忘れ
 
  たしか10だったはずなのに
 
  なにもかも忘れ
 
 
  そのとき
 
  80は不要かもしれない
 
 
  醜い屍のようになって
 
  輝くような回想のみが
 
  唯一の夢だとしても
 
 
  存在するものはすべて老い
 
 
  朽ち果てる
 
  
  10を数え
 
 
  指を折り
 
 
  また開いて
 
 
  太陽にかざす
 
 
  10でも80でも
 
 
  変わりはしないのだとささやき
 
 
  埃っぽい地面に堕ちる