幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 孤独

2010-10-11 23:11:56 | Weblog

 
 
  孤独だったんだね
 
  ぼくもそうだった
 
  でも不思議と
 
  それが好きだった
 
  それが大好きだったと言ってもいい
 
  そうじゃない?
 
  きみは、どう?
 
  孤独が好き?
 
 
  夜の暗さがいっそう暗く
 
  冬の寒さがいっそう寒く
 
  逆にそこに光が差したり
 
  あったかいストーブにあたったりすると
 
  明るさ、暖かさが
 
  眩しくて、気持ち良くて
 
  逆に孤独っていいもんだと思う
 
 
  そうだった
 
 
  だれとも話すこともなく
 
  何日も過ごした
 
  実際、しゃべり方を忘れてしまった
 
  
  言葉なんて、そんなもの
 
 
  言葉になんの意味がある?
 
 
  暖かさ、明るさがない言葉なんて
 
  しゃべる価値もない
 
 
  孤独の意味が今わかる
 
 
  氷漬けにされて
 
 
  やっと解凍されて
 
 
  ぼくはこうして海を泳ぐことができるようになった
 
 
  この海
 
 
  冷たく、暖かく、
 
  暗く、明るい海
 
 
  孤独が好きかい?
 
 
  ぼくも好きだよ
 
 
  だってそこが、
 
 
  ぼくの育ったところだもの
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 

 Read me !

2010-10-11 02:51:51 | Weblog

 
 
  Read me !
 
  読め
 
  言葉なんてどうでもいい
 
  ただ読め
 
  私を
 
 
  肉体を鍛えても
 
  きみの精神はそのままだ
 
  秘密を解き明かすには
 
  人生を賭けなければならない
 
  宝くじを買うようにはいかない
 
  億万長者になっても変わらない
 
  汚い銭湯に入らなければならない
 
 
  すべてをやり尽くしたと言えるなら
 
  あなたは警察に捕まるのが落ちだ
 
  アーティストのヒラメキなんて
 
  詩にもならないほどありふれているから
 
  創作なんてしないように自重して
 
  あなたは日々を決まった義務の遂行のために
 
  ついやせば
 
  泣きっ面をしないで済むだろう
 
  商店街の雑踏の中で
 
  泣かなくてすむだろう
 
 
  だってあなたは強面で
 
  だれも近付かない
 
  それなのに優しいなんて
 
  自分で思っているだけ
 
 
  ぼくにお茶を入れてくれようとしたのを
 
  ぼくは知っているが
 
  それは
 
  ぼくを殴ろうとしているのも同じこと
 
 
  あなたが泣いているのを知っている
 
 
  人生は辛いものだから
 
 
  太陽を浴びれば
 
  幸せになれる
 
 
  大学の講義を聞いたって
 
  真理を知ることはできない
 
 
  未来は輝かしいものではなく
 
  老いることだから
 
  一度死んで
 
  その先にある未来に
 
  自分の過去を託せれば
 
  きっと還ってくる
 
  青く輝く宝石
 
 
  青
 
  それがキーだろ?
 
  確かにそう聞いたのを覚えている
 
  忘れてはいない
 
 
  青色に乗って
 
  構築された夢の暗号が解かれる
 
 
  そして、青は紫に変色し
 
  すこし夕方になったら
 
  秘密を知っている人だけは
 
  道端に立ち止まったりせずに
 
  例えば、インドの神秘主義の夕日
 
  壁に映る影を隠さないように
 
  行くところにいくしかない
 
 
  たとえば、そこに恋人がいて
 
  待っているかもしれないが
 
 
  ぼくの腹がダブついていたら
 
  笑い物になるだけだろう
 
 
  ちゃんと義務を果たし
 
  お互いに信頼し
 
  決して裏切らないことを知っているとき
 
 
  あなたはなにをする?
 
  ぼくになにをする?
 
  言葉で教えてくれる?
 
  それとも他のやり方がある?
 
  ぼくには、秘密の方法があるのを知っている
 
  それは、遠くに行くこと
 
  幼いとき
 
  はっきり決めていたこと
 
  忘れているのなら
 
  思い出させてあげるから
 
  Read me !