幻の詩集 『あまたのおろち』 by 紫源二

幻の現在詩人 紫源二 の リアルタイム・ネット・ポエトリー

 指の爪は一つ目

2010-10-30 23:55:28 | Weblog

 
 
  指の爪は一つ目
 
  食べることを我慢している
 
  勉強家ではないから
 
  
  目をいたわっていると
 
  動物によって見えるものが違うことが分かる
 
  幻視
 
 
  キャンプには出掛けない
 
  大勢は嫌いだから
 
 
  山に生える植物を見つめる
 
  現実は、たったひとつではあり得ないから
 
 
  名前をつける
 
  現実が固定化され
 
  柔軟性がなくなり
 
  導きを失う
 
 
  夜、いつまでも待っていると
 
  行き場所を失って
 
  忘れてしまう
 
  目玉で見ることを
 
 
  指の爪のような一つ目
 
  目玉が十個もある
 
  十の現実
 
  同じ日、同じ場所で交わる
 
 
  そのときぼくは見てはいけない
 
  聴いてはいけない
 
  言葉は感覚ではないから
  
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 

 詩人のやることは光を増すこと

2010-10-30 00:36:32 | Weblog

 
 
  今日、詩人の詩を見た
 
  んーと思った
 
  
  たとえば現代詩っていうのもある
 
 
  それなりの評価の世界があって
 
  芸術として小難しく哲学されているらしい
 
 
  たとえば俳句っていうのもある
 
 
  大家とか家元とかがいて
 
  権威となって
 
  弟子がぶら下がっているらしい
 
 
  そいういうのが”詩”というらしい
 
 
  ところが詩は
 
  見世物じゃないから
 
  あらゆる所に転がっている
 
  活字の中におとなしく収まって何百万部と出版されるものではない
 
  まるで魚のクローンを出荷しているようなもの
 
  刺身にしても焼き魚にしても気味が悪くて喰う気がしない
 
 
  これだって”詩”
 
  かもしれない
 
 
  ちがうかもしれない
  
 
  どうでもいい
 
  詩なんて
 
 
  ただ僕は詩人
 
 
  と言ったら笑う人もいるだろう
 
  嘲笑したり
 
  確かにそうだと笑ったり
 
 
  ただ、こう祈っている
 
  ぼくを通過したものは全て
 
  光輝きますように
 
 
  だから結局
 
  ぼくはどうなろうとかまわない
 
  どっちに転ぼうが
 
  かわらない
 
  かわりようがない
 
 
  ただ
 
  光を増すことができますように