指の爪は一つ目
食べることを我慢している
勉強家ではないから
目をいたわっていると
動物によって見えるものが違うことが分かる
幻視
キャンプには出掛けない
大勢は嫌いだから
山に生える植物を見つめる
現実は、たったひとつではあり得ないから
名前をつける
現実が固定化され
柔軟性がなくなり
導きを失う
夜、いつまでも待っていると
行き場所を失って
忘れてしまう
目玉で見ることを
指の爪のような一つ目
目玉が十個もある
十の現実
同じ日、同じ場所で交わる
そのときぼくは見てはいけない
聴いてはいけない
言葉は感覚ではないから