本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

「ことぶきかぎりなし」と書いて寿限無

2017-01-06 21:00:35 | 漢字

お正月にはよく見かける字です

「寿」(ことぶき)

目出度いときにも「寿」という字を

書きます。

祝儀袋にも正月の祝箸にも

寿とよく目にします。

 

古い字形は「壽」と書き、

受ける、ということがもともとの

意味のようです。

そこから、

老いるまでに受ける久しい年を

意味するようになりました。

長年は最もめでいたいので

ことぶきの意味になった

ということです。

 

仏教の方でも「寿」は

とても大事な字になります。

お経では、

無量寿経というお経があり

その仏さまが無量寿如来

つまり阿弥陀如来のことです。

宝船に乗っておられる七福神

福の神々とあって寿の付く仏さまは

福禄寿、寿老人、恵比寿さまと

福禄寿、頭が長くお経を杖に

結び付けている幸せの神さま

寿老人、長寿を授けるという神さま

恵比寿、商売繁盛の神さま、と

よきことが多い神さまです。

 

しかし、

寿ということもおめでただけでなく

「寿命」というと

また違ったニュアンスがあるようです。

仏教辞典には

インドのアーユスという言葉の訳で

命根(みょうこん)とか寿命とあり

厳密には

この世に生を受けてから

死に至るまでの期間

体温と意識のハタラキを

持ちこたえるもの

という意味になります。

私たち人間が生きている

ということは一つには

煖(なん)という体温があり、

これは肉体的はたらき

ということでしょう。

それだけではなく、心がある

それを意識といっているのです。

肉体と心のはたらきを「寿」とか

「寿命」とか「命恨」といったのです。

 

まあ、こういうことが

「寿」、「寿命」ということの

本来な考え方なのでしょう。

 

寿も「ことほぐ」で

言葉で祝うこと。またはその言葉。

と広辞苑には出ています。

そこからもっぱら

お祝いごとの意味で「寿」という字が

使われるようになったのでしょう。

 

また、

「めでたい」ということも

目出度い、とか芽出度いと

書いたりしますが

どうも当て字のようで

愛でる、いたし(甚)という

「めでる・いたし」、が

めでたいに

なったということのようです。

好み愛したい感じがする

「愛と甚」

愛する、愛でる、といいますが

本来は人にものを与えるという

という意味、

甚ははなはだし、と読みますが

甚の下にある「匹」という部分は

男女の和合を表すということのようで

甚は夫婦の和合を表し

ひいてはそれは楽しみであるから

はなはだの意味になったということ

のようです。

愛と甚、そういうことからすれば

「めでたけれ!」

ということも頷けるような気がします。

 

何気なく使っている字ですが

やはり語源というか

もともとの成り立ちの

意味があるようですね。

 

 

 

 

 

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