本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

『ウィン ウィン』

2016-05-15 17:42:59 | 住職の活動日記

三菱自動車がえらいことに、

これからどうなることかと

思っていましたが、

日産自動車が手を差し伸べました。

その時、会見で

日産のゴーン社長

『ウィン・ウィン』とおっしゃていました。

お互いに有利になるよう、

という意味でしょう。

 

「Win」(ウィン)とは「勝つ」

という意味ですが、

Win・Winで、どちらも勝つ

どちらも得をする

ということなのでしょう。

 

その時ふと思ったのは、

昔から、滋賀県の近江商人の精神

「三方よし」ということがあります。

売り手よし、

買い手よし、

世間よし、

という考え方です。

ただ単に自分の利益だけを

考えるのではなく、

買うお客のためになるものを

売るという、

そして得た利益は

世間に還元する。

橋を架けたり、学校を建てたりと、

世間のためになることをする。

 

相互利益(ウィンウィン)だけではなく、

世のため人のためという

自と他というだけでなく、

そこに世界という精紳が加わってくる。

 

「方」ということで思いつくのは、

仏教では「十方」ということをいいます。

十方衆生とか十方浄土とか、

いつも読むお経の中では

「南無十方仏、

 南無十方法、

 南無十方僧、」

と、十方の仏・法・僧の三宝に

帰依する、という形でてきます。

仏教でいう十方とは

東・西・南・北の四方に

四維の東北・東南・西南・西北

を加え、上と下ということです。

十方に無数の世界があり、

無数の仏があるということです。

 

二方向とか三方とかにとどまらず

ありとあらゆる方向、

ありとあらゆる世界

ということを表すのです。

これは、一人ということは

ただ一人ということではなく、

一人という存在は

ありとあらゆる方向に

関係性を持っているということ、

 

「一人即一切命」

「一切命即一人」

一人はただ世界の中で

一人ではなく、

世界を代表している一人である

そういう事が言えるのです。

そして、一人が狂えば全世界が

悩み苦しむのです。

 

三菱の件でも

一人のトップの考えが狂えば、

全従業員、そして下請け、

その会社の車を買った人たち

ありとあらゆる人たちに

辛さと苦しさを絶望を

与えてしまいます。

 

昔、東寺にいた頃

お寺の修復事業があり

御寄付の勧進に歩き回りました。

最初は御寄付に歩く

なかなか難しく、若いせいもあって

恥ずかしさも伴い

なかなかうまくいきません。

ある時、

御寄付を出される方が

「有り難うございます。」

と、出される方がお礼を言って

渡される。

なんとも不思議な感じでしたが、

有り難く頂戴します。

そして、大切に使います。

次第にお寺の修復が

出来上がっていくと、

こんなに上手に使っていただいて

と、感謝されました。

 

このような経験を通し、

御寄付を頂くことの難しさ

さらに頂いたお金を使うことの

難しさ、

お金は儲けるのは簡単

使う方が難しい、

と聞いたことがあります。

使い方を間違えると

お金は「銭」になり、

お金に二つ矛が付く、

その矛で自分も傷つけ

人をも傷つけると、 …

 

ウィンウィンも大事ですが、

三方よし、ということもあり、

十方衆生、十方浄土と

無魔成満ということもあります。

十方衆生が喜び

十方の仏が賛嘆する

ありとあらゆる人々が喜ぶ

そういう道があるはずではないかと

思うのですが、 …

 

 

 

 

 

 

 

 

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