本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

雑華荘厳

2017-05-06 19:51:42 | 住職の活動日記

雑華荘厳(ぞうけしょうごん)

と読めるでしょう。

雑華でもって荘厳する。

ここから出てきた言葉が「華厳」

ということです。

『華厳経』という経典もあり

この経典がもとになって作られた

仏さまが奈良の大仏さまです。

 

「雑」という言葉ですが

雑草とか動物では雑種、

最近は雑種と言わなくてミックスと

しかし、

もとの意味は色々の布を集めて

作った衣服とあります。

ちょうど、袈裟ということも

ぼろ布を集めて作った衣ですから

どこか共通するところがあります。

そこから意味は、

まじる、まじわる、まじりあう、

ということになったようです。

 

「雑用雑事は仏さまの仕事」

ということがあります。

いかに雑用雑事を

巧みにこなしていくか

そこに人生の妙味があるようです

雑用雑事をおろそかにしていると

とんでもないしっぺ返しを受けます

 

また、

「雑念」ということもあり

三昧・定を妨げる、

対治しなければ大切な修行の

一つがあります。

雑念、

とても悩ましく苦しむもの

失くそうと思えば思うほど

雑念というものは沸いて出てきます

 

ここで言う

「雑華荘厳」ということは

色々な花で荘厳するという

日本では花も少なかったのでしょう

一輪差しとか、

数少ない花で荘厳(飾る)する

でも、インドという所

花もふんだんにあったのでしょう

華鬘(けまん)といって

花の部分だけを取りレイにするとか

散華(さんげ)と言って

通り道に花をまく、

そこから

色々な花がたくさんあり

それぞれの花が競い合うことなく

入り混じって咲いている

「雑華」いろいろの花

「荘厳」それ自身を完成する

ということが出て来るのでしょう。

 

今の時期、

季節の移り変わりとともに

いろいろな花がそれぞれの美しさを

比べることなく咲ききっています

それぞれの花がそれぞれの主体を

表現しているのです。

 

振り返って、

私たちを見てみると

どうでしょうか

私たちを表現するものは

仏教では昔から

「三業」(さんごう)

といわれています。

身・口・意(しん・く・い)

ということですが、

いつもお唱えする「十善戒」では

 

身(殺生・偸盗・邪淫)

口(妄語・綺語・悪口・両舌)

意(慳貪・瞋恚・邪見)

 

というようにいわれています。

私たちの行動をこの十の中に

納めているのです。

この十善戒の行いが完成することが

私たちの人生を完成する

つまり、

人生を荘厳していくことです

荘厳ということも

美しい世界があるのではなく

やはり、動詞として、行として

荘厳という世界を

一歩一歩の歩みの中に完成させて

いくということでしょう。

 

スマップの

「世界に一つだけの花」

ということも

この、「雑華荘厳」ということを

表しているのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

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